「美術教師の冴えなさと大自然の広大さ」二つの季節しかない村 りあのさんの映画レビュー(感想・評価)
美術教師の冴えなさと大自然の広大さ
冬が長く雪深いトルコ・東アナトリア地方の村に、プライドの高い美術教師サメットが赴任してきた。しかし、最初は村人たちから尊敬され、女生徒セヴィムからも慕われていた。なのに、田舎は嫌いだとか、置かれた環境などに文句を言い、不満タラタラで生徒に当たり散らし、早く去ろうと思うばかりの生活をしていた。そんなある日、サメットは同僚ケナンとともに、女子生徒のセヴィムたちから身に覚えのない、不適切な接触、を告発され、また、美しい義足の英語教師ヌライとも知り合った。さてどうなる、という話。
とにかく主人公である美術教師のサメットが嫌なやつ。人をバカにした発言はするし、生徒を怒鳴し、物を投げるし、美少女のセヴィムをエコ贔屓したり、告発されたら罰を与えたり、同僚は裏切るし、とても教師には見えない、ろくでもない奴だった。こんなやつを主人公にして撮った作品で何を伝えたかったのだろう、あの白銀の大自然の中で、こんなちっぽけな男が居た、と言う事なのか?そうだとしたら、ここまで長く尺を取る必要はなかったように思った。
サメット役のデニズ・ジェリオウルはもう顔も見たくない、と思ったから狙い通りだったのかも。
ヌライとベッドに入る前のセットから出るシーン、あれは何を意図して入れたんだろう?必要性を感じなかったが。
ヌライ役のメルベ・ディズダルは真面目で言ってる事に頷けたし義足を外す所とか美しかった。
日本版のポスターになっているセヴィム役のエジェ・パージは大人びた演技で可愛かった。あの雪がチラつくシーン、美しかった。
確かに絵になる、と思った。
東アナトリア地方には標高5,137mのアララト山もあり、一度訪れてみたい、と思わせる美しい山の自然が観れた。