チネチッタで会いましょうのレビュー・感想・評価
全5件を表示
面白くはない
無性にミニシアター系の映画が観たくなり、ポスターの雰囲気等々からこれだ!と事前知識ゼロで観ました。
ベテラン映画監督が今の時代に映画を作る事を通して現代の生き方とか考え方を描いている。例えば監督の意図を無視して好き勝手な演技をする女優や離婚しようとしているプロデューサー兼妻は、現代なりの多様性とか女性の生き方だろう。
ネットフリックスがついてないと資金がショートするなんてのは実際にある事なんだろうし、その土俵でウケるには「短時間でクソヤバい事態になる映画」を作る必要があるというのは制作側もそうだし、観客もそれを安易に求めているという皮肉だろうか。
ただ、ベテラン監督なら昔から同じような苦労はしてきたはずだろうに、一々右往左往していてなんだか癇癪持ちの子供みたいだった。周囲の迷惑を無視して自分のこだわりを押し付け続ける監督に対して、観客も周囲の人間も下に見て見放すような作りになっている気がする。
その後にみんな笑ってパレードをするエンディングは、「ようやくクソヤバいジジイ監督とおさらばできるよ!!!」と喜んでいるように見えた。
Corner
川崎にあるチネチッタの元になった場所で映画を撮る話なのかなーとぼんやり思っていましたが、邦題はちょろっとしか関係のないタイプでした。
でも原題をそのまま翻訳したやつよりかはフワッとチネチッタというワードを入れてくれたおかげで興味を持った節はあります。
でも全然ポップな作品では無かったです笑
こだわりの強い監督が1本の映画を作るまでを映画撮影の模様と変化が起きまくる日常生活を入り乱れながら描く作品で、モレッティ監督の過去作だったり、過去作の出演者だったりをふんだんに盛り込んだ上で映画とはなんぞやというのも多くぶち込みまくっているのでかなり入り組んだ作りになっていました。
主人公を筆頭にめんどくさすぎる人物が揃っていたのも今作の面白いところです。
ジャンニは後輩監督の撮影現場に出向いてラストシーンについて延々ダメ出しをし続けますし、暴力性について説き続ける割には自分の意見ではなく他の人の撮り方だったりを話に持ち出してくるので、映画の観客として見る分には滑稽だなぁと笑いながら観れるんですが、あの現場にいたらいつ手を出してもおかしくないくらいの状況でしたし、奥さんがヤキモキしているのは大変に辛そうでした。
モレッティ監督の演技がなんともいえないねっとりした感じが余計に腹立たしく見えるのが絶妙なスパイスになっていました。
ジョヴァンニの撮ってる映画の主演女優も中々に厄介で、とにかく自分なりに解釈する割には共演俳優とイチャコラしまくるし、監督がこうだって言ってるのに私はこれがいいのと押し切りまくるのでこの現場にもリアルタイムではいたくないです笑
別れたいのに話を聞き入れてもらえず、プロデューサーとして入ってる現場にジョヴァンニが乱入してくるもんですから奥さんの胃がもう持たなさそうです。
でも2人で車で音楽を流してウキウキなところはとてもキュートでした。
突然街から郊外まで巻き込んでクルッと踊り出したり、そんなに登場人物いたっけ?ってくらいの人数引き連れて大規模パレードをやるラストは置いていかれましたが、監督自身が手を振ってお別れしてくれるところはなんだかホッコリしました。
映画っていう創作物は本当に作るまでの過程が難しいですし、とにかく人と人との衝突の避けられないものなんだなと改めて感じました。
今作の登場人物ほど厄介な人が実際にもいるんだろうなと思うと口角が上がりきりませんが、これからも数多生まれてくる映画たちに出会えることに感謝を。
鑑賞日 11/26
鑑賞時間 10:00〜11:40
座席 D-2
映画における暴力表現の先にあるのものが、もしもの世界なのだろうか
2024.11.26 字幕 アップリンク京都
2023年のイタリア映画(96分、G)
苦悩するこだわりの強い映画監督を描いたヒューマンドラマ
監督はナンニ・モレッティ
脚本はフランチェスカ・マルチャーノ&ナンニ・モレッティ&フェデリカ・ポントレモーリ
原題は『Il sol dell’avvenire』で「未来の太陽」という意味、英題は『A Brighter Tomorrow』で「輝かしい明日」という意味
物語の舞台は、イタリア・ローマにあるチネチッタスタジオ
映画監督のジョヴァンニ(ナンニ・モレッティ)は、新作『Il sol dell’avvenire』の撮影に入っていた
妻のパオラ(マルゲリータ・ブイ)は映画プロデューサーとして彼を支えていたが、若き監督ジュゼッペ(ジュゼッペ・スコディッティ)の映画制作にも絡んでいた
二人にはエンマ(ヴァレンティーナ・ロマーニ)という娘がいて、彼女は父の作品の劇伴を務める作曲家だった
ジョヴァンニの映画は1950年代のイタリアを舞台にして、共産党機関紙の編集長エンニオ(シルヴィオ・オルランド)と同志の共産党員ヴェーラ(バルボラ・ボブローバ)の関係を描いていた
彼らはブダヴァーリサーカス団を街に招いていたが、その公演の最中にポーランド侵攻が起こってしまう
それによってサーカス団はストライキを起こし、エンニオはどうすれば良いのか悩むという内容になっていた
映画は、ジョヴァンニの撮影スタイルに意見を挟む女優バルボラ(バルボラ・ボルローバ)が描かれ、それによって撮影が中断しまくる様子を描いていく
さらに友人の映画出資者ピエール(マチュー・アルマレリック)は実は文無しで、映画のセットに住み込んでいたことがわかる
映画の資金は底をつきかけていたが、ピエールはNetflixとの提携を提案し、パオラは韓国人スタッフを招き入れて出資を募ろうと考えていた
だが、ジョヴァンニは自分の映画の理想と合わないことを理由に突っぱねるものの、やむ無く韓国人スタッフを入れて、制作を再開させることになったのである
映画は、ジョヴァンニの考えるイタリア共産党というテイストで始まり、それが「もしも共産党員が自身の理想のためにソ連との距離を取っていたら」という世界を描くに至る様子を描いていた
また、劇中でジュゼッペの映画における暴力についての議論を始めたり、友人の専門家(3人とも本人役)の意見を聞かせたりする
そんな、自分の聞きたい言葉だけを集めてきたジョヴァンニがパオラの決意を突きつけられて変化するという内容になっているのだが、これがまた非常にわかりにくいつくりになっていると感じた
映画内映画と映画の切り替えがどこで起こっているかわかりにくく、現代パートだと思っていた娘とのドライブシーンがいきなりミュージカル演出に変わったりする
映画についていくのが大変なのに、映画哲学とかの論議が突然始まったりするので、字幕で追うのは難しい映画だと思った
いずれにせよ、監督作品のコアなファン向けの映画で、かつある程度の古典映画に詳しくないと劇中の引用はほとんど意味がわからない
このあたりはパンフレットに解説があるので、意味を知りたい人ならば購入するのも良しだと思う
監督のロングインタビューなども掲載されているので思った以上に内容は濃い
映画好き向けの映画だが、かなり説教くさいところがあるので、好き嫌いが分かれるのではと感じた
予想以上に雰囲気系の作品でした 反面、予想外に赤い洗礼を受けました
正直感想を言おうにも、もにょもにょと口ごもってしまうする映画です。
ストーリーはあるものの、明確に語られない要素が多くある作品で、話を楽しむ余地が少なかったように思います。
自分の感性ではなかなかついていけない点が多く、好意的に努力してメッセージをくみ取ろうとした結果、
1.自分の信条や経験、過去の友人の出す全く実用的でない意見とに凝り固められてしまった映画監督と、教条主義的に党の言うことだけを是として孤立する映画の主人公や、現実に崩壊してしまった集権的な共産主義との対比
離婚の申し出や妻の不安、娘の結婚を受け入れ、映画製作にも柔軟に向き合った結果、映画生命や自分自身の命を未来につなげられた監督の姿と、ソ連の姿勢を共産主義の理想像と決めつけず、現実に即した姿勢を貫いた結果現代まで命脈を保っているイタリア共産党との対比
この二つの堆肥が物語の主軸になっているのだ、という解釈に落ち着きました。
人に勧められる感じの作品ではなかったです。
ラストシーンの終わりかた。
5年に一度、映画を撮るイタリア映画監督ジャンニと、40年に渡りプロデューサーとしてジャンニを支える妻パオラの話。
夫ジャンニと別れたいのに別れわれずにいる精神科医に相談するパオラと、父ジャンニとほぼ同年代の彼氏がいる娘のなかで新作映画を撮ろうとなるが…。
見せ方?自分の理解力?でストーリー、人物達の把握が出来ない序盤、ジャンニの新作映画撮影となるけれど、ヒロイン婦人の最終的な熱烈アドリブキス連発はデフォだったり。
他の制作チームでも仕事するパオラに付いていけば、ラストシーンを撮影中断させての監督のダメ出し、説教し始めるジャンニには、自分の撮る作品の世界観の中でやれば?だし。何故ラストそんなに拘る?ラストに死を持ってくるのはダメ?と感じながらも。
車に乗っては陽気に歌い出し踊りだすジャンニには笑えたものの、自身の撮ってる作品のラストシーンと思ったらキャスト、スタッフでクルクル回りだした世界観にはどういうこと!?で、大筋のストーリーは何となく理解出来たものの何か分かりにくかった。
全5件を表示