「81/2を撮りたい?」チネチッタで会いましょう 山の手ロックさんの映画レビュー(感想・評価)
81/2を撮りたい?
ナンニ・モレッティ監督作品は、生真面目そうな印象で食指が伸びずにこれまで未見だったが、今作は映画づくりを題材にしたコメディということで、初めて観てみた。
監督自身が主人公の映画監督を演じるということで、自分の姿と重ね合わせて描いていくのだろうと思って観始めるが、とにかく傲慢で独りよがり、裸の王様のような監督像を演じていて、はたしてこれは戯画化を狙っているのか、それとも本当に自らを卑下しているのかと、戸惑いながら観続けることとなった。
サーカスが大きくフィーチャーされていることもあり、どうしても昔観たフェリーニの81/2を思い出す。あの時は、わけがわからないながらも、溢れ出るイマジネーションの視覚化に呆気にとられた記憶が残っている。
モレッティ監督も、老齢になって、もっと81/2のような自由な映画を撮りたい、と考えたのか?それにしては理屈っぽいし、弾けてない。
自分の好きな映画や音楽をふんだんに取り入れて、撮ってみたかったミュージカルシーンも撮ってみました、という感じで、残念ながら、作品全体に主人公と同様の独りよがりな感じを受けてしまった。
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