落下の解剖学のレビュー・感想・評価
全451件中、241~260件目を表示
なんだか、モヤモヤする解剖学
疑わしきは、
落下の解剖学は淡々としたフランス映画だった
謎が謎を呼ぶサスペンスかと思いきやそうではなかった。
感想としては、フランス映画を楽しむ素養はまだまだ自分の中には育っていないようだ。
・物語
ある日、父が死んでいるのを息子が見つけ、妻には殺人の嫌疑がかけられる。
そのため、裁判では段々と複雑な夫婦関係が明らかになって行く。
・ああフランス映画
フランス映画は同じ物事を表現するためにアメリカ映画より2倍か3倍ぐらいの時間をかける。この映画も例に漏れずそうだった。
たとえば裁判の公判でひたすら話し合うシーンに30分ほどかけたりする。
そして映画全体は2時間半ほどもある。
まるで編集という概念がなくなってしまったみたいだ
もちろんフィクションなのだが、それよりはドキュメンタリーの記録に近いテイストだ。
一体なぜなのだろう。
フランスの人はこれを普通に楽しめるのだろうか。やはり文化や趣向の違いが根本にあるのだろうか。
世の中には様々な映画があるが、フランス映画はきっちり「フランス流」を貫いている。
・観客の民度
この映画を見ている間、やたらと周りのマナーが良いことに気づいた。ひどく咳き込む声が聞こえることもなかった。静かな映画なのに。
フランス映画を観るぐらいの映画好きは鑑賞マナーが良いのかもしれない。
意志というものの混沌
広報が悪いのかな…
「あの日、あの場所で、いったい何があったのか?」
これが広告としてのアオリではなく見た人間の中に残る疑問になるなんて予想していなかった…
もしかしたら色んな瞬間に意味があったのかも知れないけど、やっぱりサスペンスだと思って最後の最後まで見ていたから、正直あの素晴らしい役者犬が主人公の隣に添い寝して、クレジットが出始めた時にえっっっ……と思ってしまった。
息子が視覚障害という設定も重要だと思ったから、現場検証のシーンで記憶に間違いがあった時、誰かがあの時テープを貼り替えていた?などと考えてワクワクしたが特にそういうわけでもなかった。
帰宅して50セントのPIMPを聴いたら、「音楽が一度止まってまた鳴り始めた」というのはPIMPインストバージョン自体の構成だった。
でも現場検証の時にずっと流してるはずだし気がつかないわけないよな?とも思うし。
とにかく、出て来る設定がことごとくあんまり活かされないまま気持ち悪いまま事態は終息を迎える。
しかしそれはある意味でリアル。映画の中で誰もが知り得ないことを、観客である私たちも知ることが出来ずに終わるだけ。
考えれば考えるほど湧いて来る違和感も、これは制作上の意図?あるいは天然でこんなことに?という不快感も、重要になりそうな設定が特に意味を帯びないリアルさも、
「そういう映画」だと思って見てみたらよく出来ているのかも知れない。
でもこれはチラシ見たら「ある男の不可解な死、その真実のカギを握るのは視覚障害のある息子ただ1人ーーー」という、東野圭吾的な最終的にパーッとスッキリ全部が解明されるサスペンスドラマだと思って見てしまうのもしょうがない…
「落下の解剖学」というタイトルもあんまりピンと来ない(原題直訳ですが)。
犬の演技は本当に凄かった。
夫婦とは(2024年8作目)
フランス映画らしい。
盛り上がりはなくて、あとはご自由にお考え下さい?的な?
結局主人公が黒なのか白なのか分からない。分からないけど皆が各自、自分が真実だと思うことを真実だと思って生きてくしかないのよね……。
これ男女逆だとさー、家の中で子供の世話だけしてる奥さんが浮気する旦那さんにあなたも少しは協力してよ!!!みたいに怒ってさ、旦那さんがウジウジうるせえ!なら稼いでみろや!って言ってさ、旦那さん感じ悪くない??でもよくあるパターンだね。って。
奥さんが稼いで旦那さんがウジウジしてるからなんか奥さんが可愛げ無いな、とか奥さんが浮気してるから奔放な女性だとか、そういう言われ方するけど、いや、実際にそうなんだけど、それとこれ(殺人を犯すか)は違うんだけど、そういう部分だけで見ると彼女黒なの……?みたいな。
夫婦喧嘩は犬も食わないってか?真実は神のみぞ?
結局どっちなの………
ワンコと息子さんの演技に感動。
息子さんのどっちか。選ばなければならないならママ。と決めた葛藤。辛いな
ちょっと期待外れ…
予告を観ておもしろそうだなと思っていたのとあらゆる映画賞の評価もあるので期待値が高かっただけに少し期待外れだった。
終わり方がもう一捻りあるのかと思っていた。
フランスの裁判の仕方などは単純に面白かったけれど証人として登場する人物が1人の人生を大きく左右する問題にも関わらず客観的証拠もなくそんな軽はずみに主観で話すのかと驚いた。
また、途中で夫婦喧嘩の様子が出てくるが妻(母の身でありながら)があまりにも自己中心的で妻や母としての自分よりも1人の人間としての自分を優先しすぎているし夫はあまりにも被害者意識が強すぎてどちらの主張も納得も共感もできなかった。
唯一11歳の息子が可哀想と思っていたが終盤の犬のくだりでこのクソガキ!という気持ちになってしまい登場人物の誰も好きになれない後味のあまりよくない映画だった。
「落下の解剖学」というタイトルにもっとフィーチャーした内容かと思えばそれもあまり…
主演のザンドラヒュラーの演技は良かった。
夫婦仲に横たわるグレーゾーンの脆さ
本作で女性監督として史上3人目のカンヌ国際映画祭パルムドール(最高賞)を獲得したというジュスティーヌ・トリエ(のこる2人は『ピアノ・レッスン』のジェーン・カンピオンと『TITANE/チタン』のジュリア・デュクルノー)。彼女は今、フランスで最も旬な監督の一人に挙げられているそうだが、今回その監督作品を初めて見た。
あからさまなキャメラ目線で抜いたショットや左右にブレる映像を随所に挟み込んだり、ビスタサイズの横長画面のど真ん中に登場人物をクローズアップで捉えるなど、一種の「ドキュメンンタリータッチ」が持ち味のようだ。個人的にはあまり好みでないけれど。
本作について「スリリングな法廷ドラマ」といった感想を多く見かけるが、私自身は、たとえば『シカゴ7裁判』『ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男』のような“法廷モノの丁々発止の面白さ”が全く感じられなかった。いや、むしろモヤモヤ感をずっと残しつつ事態は推移していく。なぜなら殺意の有無や計画性を示す明白な証拠があるわけでもなく、もっぱら状況証拠と供述証拠、そして憶測のみに裁判は終始するからだ。
その意味では、法廷シーンのセリフ数の多さや判決の行方に気を取られることも特になかった(劇中で示された「事実」からは「無罪」以外に考えられないでしょ)。むしろ本作は、是枝監督の『怪物』やパク・チャヌク監督作『別れる決心』のように、「真実」をエサ(?!)にラストまで引っ張っていくという印象が強く、一定程度それに成功していると思う。
その最大の「牽引力」が、万人も認めるとおり、妻・母役のザンドラ・ヒュラーだ。当て書きされたというキャラクターの造形は圧倒的で、たしかに彼女以外には考えられないほど。母国語のドイツ語は封印してフランス語と英語で対話し、映画『ゴーン・ガール』にでてくる妻のような強靭な意思を兼ね備えた人間ではなく、どこにでもいる一人の女性として、薄氷を踏むように夫婦仲のグレーゾーンをあぶり出してみせる。
こうした夫婦間のすれ違いや脆さに主軸をおいているという点では、法廷ドラマというより、映画『マリッジ・ストーリー』や『ブルーバレンタイン』、『クレイマー、クレイマー』などの系列に連なる1本ととらえた方がしっくりくると思う。
ただし、登場人物たちを冷ややかに見据えた視線や、アルベニス作曲の「アストゥリアス」とショパン「前奏曲第4番 Op.28-4」を挿入曲として扱う手並みなどには、アート系映画として「いかにも」な印象を正直受けた。
それにしても、愛犬を“実験台”に使ってしまう子どもの発想には驚いた。ついでに言うと、本作の法廷シーンでは、子どもが証言台に立って一人前の人間として大人と対等に扱われる点にもビックリ。
これまで映画の中の「裁判シーン」でお国柄がよくでているなぁと妙にナットクしたのが、『シチリアーノ 裏切りの美学』や『シシリーの黒い霧』で描かれた、あまりにビックリな喧騒感。本作『落下の解剖学』の法廷シーンもフランスのお国柄がよく顕れているという点において、先の2本に匹敵するインパクトがあった。
もやもやする
仮に夫の自殺であったとしても妻が殺していたとしても、結婚を継続することそのものの大変さを描いている様に感じました。脚本が作り込まれていてパルムドールも納得。
本当のことは誰にもわからない?から、もやもやしましたが、世の中なんてこんなことの連続ですね。家族関係含めて、推理小説より身近な人間関係の方が難しいわ。
233 真実は常にひとつ、ではなくいっぱいある!
中盤の法廷劇に突入してから眠気が一気に醒めた。
夫婦って自分はいつも相手のために引いている、
の連続と思っているが
引く前の線がいったいどこにあるのかで
相手の気持ちも変わるのね。
昭和(オトン、オカンの時代)だと9対1で旦那の方が強く
平成(ワタシらの時代)でも7対3か
つまりオトンが1引いてもオカンからしたらそれでも2対8
五分五分にするにはあと3つお前引けよ、と。
って親の介護中昔話を互いに聞かされ
今回は身に染みた次第。
で、真相はどうなんでしょう?
自殺も他殺もそれぞれ血の降り方を説明しているし
法廷って決定的な証拠もないのに
こんなにストーリーをいっぱいつくって
相手を陥れる場合もあるのか、と驚く。
ワタシはこいつが意外な犯人(根拠なし)、と
思っていたのだがエンドロールに突入した。
東野圭吾の某作品のような気持ちです。
70点
イオンシネマ草津 20240303
パンフ購入
裁判劇。
売れてる作家妻と、作家目指してる夫と事故で視力を失った息子。夫の死は自殺か他殺か?
裁判での証言、証拠、現場検証により家族の中にあった暗部が否応なく炙り出される。
つまりそこが解剖なんだと思う。
普通の裁判物と違い二転三転どんでん返し見たいな盛り上がりはない。小さな隠し事や、気づかなかった事、思っていたけど言わなかった事レベルの物がジワジワ関係を悪化させていたことが開示される。
いやむしろ知らなくて良い事だったかも知れない。
裁判だから結果は出る訳だがカタルシスはない。
むしろ母と息子この先うまくいくんかい?と心配になる、、それも監督の狙いらしい。
イケメン弁護士の助手おばさん、なんか見た事あるなと思ったら最近見たバスドヴォボス監督の「ゴーストトロピック」のおばちゃんだったww
152分を感じない
人里離れた山小屋で、作家の男性が転落した。
家には、妻と視覚障害の息子の3人だけ。
殺しか?事故か?はたまた自殺?
裁判になっていき
サスペンスになっていく。
嘘をついている?事実は?
なかなか面白い作品だった。
脚本が秀逸すぎる、、
つまらなく感じた私たちは、まんまと製作陣の思惑にハマっているのだろう。
本作はスクリーンを通り越して「私たちの感情の動きも含めて一つの作品になっている。」から。
作中で主人公サンドラが見ているTVの中の人たちが言ってくれています。
「彼女が(事実を元にした作品を書く)小説家だから、今回の事件が単なる自殺だとつまんないよね」って。それに加えて、視覚障害を持つ息子に夫婦の不仲。
この事件をドラマティックにする材料なんていくらでもある。なんならわざと観客がミスリーディングしてしまう要素をふんだんに詰め込んだハッピーセットのような作品だから。
要するに、これは「事実より自分達が解釈したいように事実を捻じ曲げる「私たち」に対するアンチテーゼ」であり、そのミスリーディングを楽しむ作品。それこそがこの作品の伝えたいこと。だから脚本賞を獲ったんだと思う。もう一回観たい。
観終わってもモヤモヤする
サスペンス好きなので、予告の雰囲気に惹かれて鑑賞してきました。悪くはなかったですが、期待したほどでもなかったかなという印象です。
ストーリーは、雪山の山荘で両親と穏やかに暮らしていた、視覚障害をもつ息子が、家の外で倒れている父を発見し、当初は転落による事故死と思われたものの不審な点も多く、やがて妻のサンドラに殺人の疑いがかけられ、法廷で新たな事実や証言が出される中、事件の真相とともに家族に隠された真実も明らかになっていくというもの。
集められていく証言、科学的な見解、新たな状況証拠など、少しずつ明らかになっていく事実が、仲がよいと思われた家族の裏側をあぶり出し、サンドラの立場をじりじりと追い詰めていく展開は見応えがあります。それはそのまま転落死の真相に迫っていくことでもあり、観客は法廷での判決の行方を固唾を飲んで見守ることになります。憎々しいほどの推論を展開する検事のいやらしさは強烈だし、録音音声から描かれる夫婦喧嘩のシーンも圧巻です。
しかし、証言も証拠も殺人を裏付ける決定的なものではなく、検察側がそこから導き出す主張もすべて推測に過ぎません。結果、検察側も弁護側も、主観と可能性をぶつけ合っているだけで、真相に迫っている雰囲気はあるものの、実は1ミリも近づいてないのではと思わされます。
では、いったいこの裁判は何を明らかにようとしているのでしょうか。はからずも弁護士がサンドラに向かって「事実はどうでもいい」というようなことを言うのですが、要は「第三者の目にどう映るのか」が重要だということです。つまり、それぞれが自分に都合のいい真実に導こうとして、周囲の印象操作をしているだけなのです。そんな大人たちの姿から学んだダニエルが、最後に渾身の名演技で証言をしたようにも見えました。果たして、ダニエルの証言は事実なのでしょうか。全てがもっともらしく、全てが嘘くさく思えてきます。
最終的に下された判決も、当然誰もが納得できるものではありません。ラストのオチは、「ザリガニの鳴くところ」のように秘密を墓場まで持っていくのか、「梟-フクロウ-」のように実はダニエルは見えてましたかと思ったのですが、どちらでもなかったですね。所詮、真実を知るのは当事者だけなので、亡くなった父の証言が聞きたいものだと強く感じました。真相はどうであれ、残されたサンドラとダニエルは、完全に崩壊してしまった家族を、これから時間をかけて再生していくことになるのでしょう。
主演はサンドラ・ヒュラーで、その胸の内が読めそうで読めない妻役を好演しています。脇を固めるのは、スワン・アルロー、ミロ・マシャド・グラネール、アントワーヌ・レナルツ、サミュエル・セイスら。
全451件中、241~260件目を表示