落下の解剖学のレビュー・感想・評価
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夫婦がライバル関係であることの難しさ
作家として成功している妻、作家になりたいがなれていない夫。そう考えると妻が夫を殺すのはないなあ。殺す理由がない。仮に衝動的に怒りがこみ上げたとしても、人が人を殺すことはそう簡単なことではない。あの激しいやり取りを見ても妻が夫を殺す?ないなあ。逆ならばあり得るけど。
小説の題材にと夫婦のやり取りをこっそり録音する夫。あの大喧嘩も予め夫が予想していたものかもしれない。だから妻に不満をぶちまける。妻の反応、反論、その後の妻との激しいバトルも創作のヒント、題材にもなると考えていた可能性もある。間違いなく夫は行き詰まっていた。いや、壊れていた。大音量の音楽、プライドもかなぐり捨てた妻への挑発。毎日の生活に追われ、余裕のない生き方を強いられる夫にとって妻は妬ましい存在だったに違いない。しかも不倫までしていたんだから赦せないだろうなあ。子供に障害を負わせてしまったことへの負い目、自分の地元に妻を住まわせている負い目だってある。妻は自分を訪ねてきた学生とのやり取りの最中に大音量の音楽で邪魔をされても不快な表情を一つも見せていないんだよなあ。
視覚障害のある少年は冷静に父と母を見(感じ取っていた)、そして父の死について判断したと思う。
見ることの出来ない真相
ある雪の積もる人里離れた山荘で、作家のサミュエルが死体となって発見される。
第一発見者は目の見えない彼の息子ダニエル。
これは事故なのか、自殺なのか、それとも殺人なのか。
やがて状況証拠から彼の妻で同じ作家でもあるサンドラが容疑者として起訴される。
ほとんどのシーンが裁判での供述なのだが、この映画は真相を突き止めるためのミステリー要素に重きを置いているわけではない。
サンドラは夫を殺していないと主張するが、それを証明するための物的証拠がない。
逆を言えば彼女が殺したという決定的証拠もないのだが。
法廷で彼女は徹底的に攻撃されるが、裁判の印象を良くするために彼女は言いたいことを抑制されてしまう。
真実はどこにあるのか、あくまでもこの映画では登場人物の主観しか語られないために最後まで曖昧なままだ。
中盤までは観ているこちら側もサンドラに感情移入させられるが、サミュエルが録音していた彼女との喧嘩の内容が明らかになってから見方が一変する。
自分の時間が奪われたと主張するサミュエル。
一方、サンドラは自分は何も強制していない、小説を書けないのは自分のせいだとやり返す。
お互いに自分の正義を譲らないために、話し合いは激しい口論へと発展し、やがて泥沼状態になってしまう。
正直、このやり取りを聴くとサンドラの無慈悲さを思い知らされる。
ただ、だからといって彼女がサミュエルを殺した証拠にはならない。
物語はダニエルが証言台に上がるところでクライマックスを迎える。
彼は目が見えないため、実際に何が起こったのかは分からない。
彼は過去にサミュエルが自殺未遂したことにも気づいていなかった。
彼は母親の無実を主張するが、それも彼の主観でしかない。
結局、大きなカタルシスを得ることもなく物語は幕を閉じる。
サンドラ自身、もっと裁判が終われば何か見返りがあると思っていたと語るように、何もなく映画は終わる。
最後に彼女はダニエルと共にすべてを見てきた犬のスヌープを抱き寄せる。
言葉を喋れないことから、スヌープもまたすべてを見ていたとしても真相を明らかにすることは出来ない。
重厚な作品ではあるものの、展開が一辺倒なので時間が長く感じられてしまった。
解剖学してない
無意味だった仮説s。
作家夫妻と視覚障害のある一人息子とワンコの家に起こる話。
雪の積もる山奥に住むその一家、犬の散歩から自宅に戻る息子ダニエル、そこで目にしたのは自宅前で血を流し倒れる父親だった…、自宅三階からの転落死と思われたが、転落死とは別の外傷が見つかり…。
スルーするつもりでしたが話題性と予告の「背筋が凍りつく、息もできない、最高傑作」という文字を目にし鑑賞。
結果から書いてしまうと私には合わない作品だった。長尺約150分使って何かうやむやな感じでスッキリしない、本作が100分位の作品なら納得出来るかもだけど。
死因にあたって数人の人間から色々な仮説が出るけど、その会話シーンも正直引き込まれず、旦那が録音してた音声とその時の映像シーンには、「おっ、ここからか!」何て思ったけど…。
この本作のテーマ、メッセージって予告にもあったけど「仲睦まじい夫婦でも…、調べれば色々ありますよ」的な?長尺使ってこのスッキリしないのは嫌だな!(笑)
でっ、無罪だった奥さんが実は犯人でOK?
あの録音の音からすると。
あと、ダニエル役は上白石萌歌!?
夫婦喧嘩はUSBメモリに記録しておくとよいという話
落下の解剖学
神戸市内にある映画館「シネ・リーブル神戸」にて鑑賞 2024年3月5日(火)
パンフレット入手
交通事故が原因で視覚に障害のある11歳 ダニエル(ミロ・マシャド・グラネール)がピアノ演奏するシーンが印象的です。
残念なことにパンフレット内に説明がないため、以下の2曲を解説します。
1エンリケ・グラナドス作曲 スペイン舞曲集Op.37-5 アンダルーサ
グラナドスはスペイン生まれの作曲家。アンダルーサは代表曲のひとつ。スペインのフラメンコダンスのような情熱的メロディー
ピアノ曲ですが、クラシックギターで演奏されることが多い。
2.エンニオ・モリコーネ作曲 映画「ニューシネマパラダイス」(1988年)で使用された曲
美しく、優しいメロディー ピアノ曲に編曲されたものをダニエルは演奏している。
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本編
ドイツ人のベストセラー作家サンドラ(サンドラ・ヒュラー)は自宅で学生からインタビューを受けていた。屋根裏部屋のリフォームをしていた夫のサミュエル(サミュエル・タイス)が大音量で音楽をかけ始める。サンドラは取材を中断し、また別の機会を、と学生を帰らせる。
サミュエルが生まれ育ったフランスの人里離れた雪山に佇む山荘。
サンドラは、教師の仕事をしながら作家を目指す夫サミュエル、11歳の息子ダニエル、愛犬スヌープの家族3人と1匹で暮らしている。
事件が発覚したのは、ダニエルがスヌープの散歩から戻ってきたとき。山荘近くの雪の上で頭から血を流し、横たわる父親に気づいていたのだ。ダニエルの叫び声を聞いたサンドラが駆けつけると、すでにサミュエルの息は止まっていた。
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検視の結果、死因は事故または第三者の殴打による頭部の外傷だと報告される。事故か自殺か他殺かー殺人ならば、状況から容疑者はサンドラしかいない。サンドラはかつて交流があった弁護士のヴァンサン(スワン・アルロー)に連絡を取り、山荘にやってきたヴァンサンにすべては自分が昼寝をしていた間の出来事だと説明する。
ヴァンサンは「サミュエルは窓から落下して物置の屋根に頭部をぶつけた」と申し立てることに決める。さらに窓枠の位置の高さから、事故ではなく「自殺」だと主張するしかないと説明する。サンドラは「息子の目の前で自殺するはずがない」と異を唱えるが、半年ほど前、夫が嘔吐した際、吐しゃ物に白い錠剤が混じっていたことを思い出す。
捜査が進み、検察はサンドラを起訴する決断を下す。起訴理由を聞いて驚き、サンドラに「なぜ僕に黙っていたのかと」詰め寄るヴァンサン。サミュエルの死の前日、夫婦が激しく口論し殴り合う音声が、サミュエルのUSBメモリに残されていたのだ。
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夫婦喧嘩の録音が再生される。サミュエルはサンドラを批判する。お前のせいで自分には執筆する時間がない。自分の小説の構想を奪われた。ダニエルが事故で失明しセックスレスになった時、お前は他の女性と不倫していた。話し合いにも応じてくれない。サンドラは激しく反論する。執筆時間は家事の合間にも作れる。小説のアイデアをもらうことも不倫もあなたの了承すみだった。書けないことを私のせいにしないで。激高しついに壁に投げつけ、サミュエルを殴打。リベラルな良識作家という外見をかなぐり捨てて、上から目線で夫を罵り、一切の妥協を受け入れようとしないサンドラの冷徹で強靭なエゴがサミュエルを圧倒する。
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だがそれは夫婦の謎に満ちた関係が暴露されるとっかかりのひとつにすぎないのである。
裁判が始まると証人や検事から次々と夫婦の秘密や嘘が暴露され、彼らを知る人物の数だけ真実が現れる。審理は混沌を極め、真相が全く見えない中、
一度は証言を終えた息子のダニエルが「もう一度証言したい」と申し出る。ダニエルは自殺ではと。
はたしてその結果 -サンドラは無罪となった。最後に抱き合うサンドラとダニエルがそこにいた。
監督:ジュスティーヌ・トリエ
世の中に片付くものなど
それは想像です。主観です。作中で繰り返される言葉。これがこの作品の要なのだと思います。
探偵(推理)小説とは、探偵役が事件を解決して終わるのではなく、バラバラに存在する「証拠」(物的証拠に限らずいろんな意味で)を繋ぎ合わせて一つのストーリーに仕立てて語り切った時に終わるという言葉があります。これには、すべての「解決」は偽りを含んでいるという含意があります。
この映画は事件を一つのストーリーに仕立てて「解決」することなどできないさまを描いてます。その意味でたしかに「羅生門」的とは思いますが、もう少し複雑です。
証言の一人称性(非客観性)だけでなく、テレビの報道(真実より面白い方がいい)、創作物と現実の境目(検察官が被害者の小説を事実を書いていると強弁して法廷で読みあげるという滑稽ともいえる暴挙)、などの複数の異なる層の問題が重ねられ、我々が「真実」だとうっかり思ってしまったり、思いたがったりしてしまうさまが取り出されて晒されていきます。
録音されていた夫婦の諍いも、警察は妻が夫を殺害した証拠として出してきますが、聞きようによってはむしろ夫がヤバい奴だと思う人もいるでしょう。
しかもここには、妻が仕事で夫が家事という、古い家父長主義的な夫婦が逆転した関係が見えてきて、また別のレイヤーも重なっています。
そもそも、フランスにおいて解剖学は、いわゆる文学の自然主義の方法論でもありました。(日本の自然主義はそれを受け継がなかった)
物語でありながら、現実の姿が浮かび上がることを望む。その時、きれいに片付いた結末などあり得なくなる。
漱石も「世の中に片付くなんてものは殆どありゃしない。」と書いてますが、それを思い出しました。
しかしラストの犬の様子は……ここからもまた片付かない想像が始まります。
いいですね、フランス映画
推定無罪
「落下」と「解剖学」とをくっつけるとは、うまい名付けと思ったよ。
これだけで見る気満々。アカデミーの候補にもなってるらしかったけど、当地では発表後の公開になってしまった。
お客さんは日曜にもかかわらず白い頭のベテラン勢が多く、地に足のついたサスペンスを楽しんでいた。
話は、家の3階から落ちて死んだ夫を巡る家族の話。だから密室とかトリックとか犯人とかが話の中心ではなく、なぜそうなったのかを暴く話になる。したがって法廷ミステリー。
結局、夫を殺したのか、夫は自殺したのかが焦点となり⋯妻は無罪となる。
釈然としない。
こんな話を前にも見たなあと思ったら、「ザリガニの鳴くところ」がこんな感じだった。
主人公は殺人を犯したのかどうか曖昧なまま幕を閉じる。
今作の名演は禿げの検察官だ。舌鋒鋭く家族の闇を暴く。私たちは妻の非を感じ旦那可哀想となっちゃうね。
しかも、妻は弁護士のイケメンといい仲になるようだし、過去に女性相手の不倫もしている。あかんやろ。
法廷劇が終わり無罪を勝ち取ったけど、どういう訳か作画に晴れやかさはない。
妻はスタッフと乾杯しあって遅めの帰宅、子供は寝てしまうけど、ベットに連れて行ってからのーひとことに愕然
⋯とはならなかった(笑)ベッドに入って犬が来て添い寝して襲撃おっと終劇。
結局なんなん?ハリウッド映画なら「何も起きないなら切る」でしょ。
そこそこ長いんだから。
英語、フランス語、ドイツ語の入り交じるところがセンスのいい面白い脚本だが私には冗長と感じたね。
何度か意識を失いそうになった。
主観から客観への見事な転換
この作品の夫殺害の容疑をかけられた作家を演じたのは、サンドラ・ヒュラー。
彼女は、「ありがとう、トニ・エルドマン」というドイツ映画で、女性コンサルタントの役柄だった。気丈な面とエクセントリックな面のギャップがとても印象的だった。
この作品でも、そのエクセントリックな面は健在だ。
ドイツ人だから、フランス語は苦手なため、ほとんど英語で会話する。実はバイセクチュアルで、同性同士の不倫経験あり。作家として目が出ない夫の原稿をアレンジして、ベストセラー作家に昇り詰める。
法廷で次から次へと不利な証言が飛び出しながら、彼女は自分を偽らず素直に表現する。「ありがとう、トニ・エルドマン」と同じキャラに感動。
圧巻は、法廷で披露された、殺害直前の夫婦喧嘩の録音テープ。
うまくいかない自分をいつも妻のせいにする夫。貴方がだめなのはいつも人のせいにするから、とののしる妻。夫婦なら身に覚えがある平行線の感覚。法廷は客観性を失い、自我のぶつかりあいに豹変する。
アカデミー賞脚本賞受賞は、この夫婦喧嘩の迫真のやりとりに負うところが大きいのではなかろうか。
主観から客観への見事な転換は、視覚障害の息子の証言。一番冷静だったのが10代の少年いう驚き。
真実のカギを握るのは、飼い犬とアスピリン。そして母への切なる思い。あとは観てのお楽しみ。
すごい映画
犯罪モノでアクションも無さそうだしヨーロッパ映画だし難解で退屈しちゃうかもな…と思ってたら全然そんなことなかった!
3時間があっという間に過ぎたと思うくらい、飽きさせない作品だった。美しい景色の中、事件が起こる家は平穏に見えるけど、実は冒頭からじわじわと怪しさが伝わってくる。日常とか「普通」に見えることが、殺意にまでおよぶ凶悪さを内包しているとしたら…死んでかわいそうなのは夫だけど、夫婦関係に困惑させられて傷つく子どももかわいそうだし、犬なんかもっとかわいそう。殺人の嫌疑をかけられた妻もかわいそう?
真実よりも、「可能性」があること自体が怖い。想像できることは何でも実現できる、という考え方があるけれど、誰かの不幸を想像したことのない人なんているんだろうか。誰もが不規則発言しまくりの裁判で、回想なのか仮想(嘘か仮説)なのかわからないフラッシュバックのようなシーンが混ざり合うところは圧巻だった。
なお、残念なことに、映画館に赤ちゃんを連れてきた人がいたようで、上映中に何回も赤ちゃんの声が劇場に響いていた。赤ちゃんを3時間も暗闇に閉じ込める人の気がしれない。
やや消化不良感?
ミステリーではなく
家族の中の問題や、人間関係の問題が明らかにされていく。
外からみた家族と
実際の内情とは異なっていることもある。
自分が絶対的に正しいと信じ続けることの愚かさと怖さを感じた。
この事件の真相は、おそらく…妻が夫を手にかけた
ということなんだと思うが、
その事実を違うものにする
様々な演出、息子の感情
真実だけが真実ではないということか、と。
おそらくラストはこれで正解なんだと思うが
ミステリーやいわゆるサスペンスという感覚で見ると
消化不良を起こすかもしれない。
それにしても、この夫婦はお互いにお互いのことを想うということをもう少しできたらよかったのに、と思ってしまった。
誰かと生きていきたいのなら
独りよがりでは難しいということか。
まあ、つまりワンちゃんがお上手
これから見る人のためにお伝えすると犯人や事実はわかりません。
てっきり公判を進める中で事実に基づいたり証言の矛盾で犯人があぶり出されるということはありません。
それを期待すると私みたいに肩透かしを食います。
それを踏まえて
雪山で作家でというと思わずシャイニングみたいなイメージですがスプラッタラスなものもサイコなものもなく静かにというかやかましい中で夫が死にます。
それを巡っての自殺か他殺か事故かという話でして事実が曖昧な中での話は思わずダウンタウンの松ちゃんのアレによく似ていて劇中の弁護士の言う「事実がどうかより周りがどう思うか」ということで外野が空中戦しているのがオーバーラップしました。
そして人は知りたい(あってほしい)事実を事実と考えることなのかなと。
加えてフランスに住む英語をベースにフランス語を話すドイツ人という奥さん。
ネイティブから2回フィルターをかけるのだから語るに落ちるは難しそうという印象。
さらにバイセクシャルって役が大変。
それととにかくスヌープちゃん芸達者
見て損のない法廷劇&ワンちゃんの演技!
予想以上に、どっしりとした法廷劇。容疑者の弁護をつとめる弁護士役の役者さんの美しさと、容疑者の息子の盲導犬役のワンちゃんの演技力からも目がはなせなかった!何が真実で何が嘘か。それは結局、誰にもわからない。本人以外にしか。しかしだからこそ、余韻の残る映画。とにかく、観たあと、誰かと語り合いたくなります。観てよかった!
緊張感が欲しい映画
映画『落下の解剖学』事故か殺人か自殺か、う〜んどっちでもいいかななんて無責任な声が聞こえてきそうな映画。まあ世の中で最も多い殺人の例が、夫婦間という統計もありますので。ただ、鑑賞中も感情移入できないのは、私的世界に終止するからでしょうか。
物的証拠のない犯罪の立証
倦怠期の夫婦。
作家の夫婦。
ただし、夫は泣かず飛ばず。
方や妻は、売れっ子の流行作家。
山小屋で、転落死した夫をめぐり他殺か自殺か事故かを巡っての裁判。
遺書などは無し。
夫は、売れっ子の妻に対して嫉妬心があり。
事故をきっかけに盲目となった一人息子の自己の責任を妻に。
なかなか難しい夫婦関係のようで。
さらに、彼女のセクシャリティーの問題も絡み。
夫が邪魔になったのかとも。
疑えば、きりがない。
そんな展開。
物的証拠のない事件の難しさ。
裁判の場面が、1/3を占めるだろうか。
退屈になりがちな場面ですが。
まあ、なんとなく、引き込まれるまでは行かないですが、鑑賞できます。
しかし、状況証拠だけですから。
立証は、難しいですよね。
検察官の作るストーリーも、何度も聞かされると真実かなと。
このあたりが、冤罪を生む原点かな。
争う方も、そうだったかななんて気になってしまうでしょうから。
とくに、拘置所などの閉鎖的空間で、味方もいない場面だと。
ただ、今回は裁判ですから、弁護士はいます。
有罪無罪どちらでもいいやと無責任な気持ちに。
結局、ことの発端は、夫婦間の問題ですから。
別に興味ないし。
なんて言ったら、見も蓋もないのですが。
それに、転落する山小屋の3階という中途半端な高さ。
結局1階の東屋に頭部をぶつけたのが致命傷。
だけど、自殺なら他の方法を選ぶのでは。
わざわざ、一階の屋根の部分めがけて飛び降りたんでしょうか。
そのあたりは、映画では、話題にもならなかったな。
裁判の後半では、どうも父はうつ状態にあったのではと。
そして、息子との最後の会話、自殺をほのめかす。
この証言が、決定打となり無罪となるのですが。
お話としてみると、あまり興味が湧いてくる展開ではなかったですね。
しつこいようですが、夫婦間の揉め事に興味はわきません。
それに、息子との最後の会話が無罪の決定打というのも。
事故の可能性も否定できないですからね。
状況証拠だけですからね。
このあたりの判断は、見た方の考えにおまかせ。
犯罪ミステリーというより裁判ドキュメント
違和感のある会話・音楽・犬・少年・ロケーション、、、
すごく巧いプロットだなあと思った。全てに必然性がある。英語とフランス語のチャンポンも。
最後まで観る人にクリアな真実を明かさない。そういうのが許せない人には無理な映画かも。いやいやそもそも真実って何? 所詮観客が見せられているものは、恣意的に切り取られたカットの集積体なのだから。想像の余地は無限大だ。
ある意味密室のような山荘。事故か自殺か殺人か。事実があるとすれば、そのうちの一つが必ず事実なのかな。どうなんでしょう。組み合わせもあるのかな。現実の世界の捜査はどうなんでしょう。どれほど理に適っているのか、弁護士の腕次第なのか、、、。
それにしても、主演女優さん、のりうつったみたいに完璧になりきっていて、ドキュメンタリーかと錯覚する場面も。
おそらく白眉は「録音されていた夫婦喧嘩」。ともかく全編通じてセリフの応酬が多く、演劇の舞台みたいだった。
暴かれる人間関係
最初退屈だなと思っていたらサスペンスは本筋ではなく、明らかになる事実がなかなか気持ちの良いものではない。夫婦間の関係性、仕事間格差…しかもそれが夫を殺したのは妻なのかどうかを決めるために裁判で明らかになっていく、、プライベートがどんどんバラされていくのは溜まったもんじゃないよ。あの夫婦喧嘩はもう辛すぎるもう勘弁してぇと夫の立場になりながら観てしまった笑。
妻ザンドラのグレーな感じと見せる弱さがうまい。
それと癖強検事も印象深いがあのイケオジ弁護士は何者なんだい!2人の舌戦は目が離せない。
息子も知りたくない事実の数々にこの後本当に幸せなのかと不安だけど、葛藤しながらも自分で決めた証言はとっても立派だと思った!
あのイケオジとワンコの名演だけで観る価値はある笑
それと、心象次第で決まる裁判ほど後味の悪いものは無いんだなと実感。
登場人物全員嘘つき
夫の転落死をきっかけに、殺人事件の容疑者となる妻だが、だいたい喋ってることはウソ。母親をかばう超弱視の息子も最初のウソを契機に泥沼に。
そんな母親を弁護する弁護士も最初はなんか好意を寄せていたのだが最終的にこの女はやばいと踏みとどまる。それもそのはず、有罪なら殺人犯、無罪でも自殺に追い込んだのはこの妻。夫婦喧嘩のやり取りは社会的成功をおさめている妻が一方的。家事も育児も夫に丸投げ。夫が負担を公平にしたいと言っても、私がいつやれと言った?なんて開き直る始末。不倫もやりたい放題。この女とは関わってはいけない、なんて雰囲気が漂う。夫の人生、1ミリも考えていない。
テーマ性はあるようであまり感じない。ポリコレ全方位をカバーして、珍しくウーマン・リブで押しつぶされる男性の叫び超えの代弁を夫にさせている。あのシーン長かったからね。
サスペンスではなく家庭劇。表面上うまく取り繕っていたけど、中味はグチャグチャ。グチャグチャが段階的に表に出てくるのでどんどんカオスに。そこに客観的事実なんて存在しない。
ああそうか、これは夫婦喧嘩を法定に持ち込んだらどうなるかっていう思考実験なんだ。最後の無罪判決も無罪というわけではなく、しらんがな、勝手にやっといてっていう意味かもしれない。夫婦喧嘩は犬も食わないって言うしな。ただそこにはもう夫は居ない。
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