劇場公開日 2024年2月23日

「夫婦がライバル関係であることの難しさ」落下の解剖学 ゆみありさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0夫婦がライバル関係であることの難しさ

2024年3月20日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

難しい

作家として成功している妻、作家になりたいがなれていない夫。そう考えると妻が夫を殺すのはないなあ。殺す理由がない。仮に衝動的に怒りがこみ上げたとしても、人が人を殺すことはそう簡単なことではない。あの激しいやり取りを見ても妻が夫を殺す?ないなあ。逆ならばあり得るけど。
小説の題材にと夫婦のやり取りをこっそり録音する夫。あの大喧嘩も予め夫が予想していたものかもしれない。だから妻に不満をぶちまける。妻の反応、反論、その後の妻との激しいバトルも創作のヒント、題材にもなると考えていた可能性もある。間違いなく夫は行き詰まっていた。いや、壊れていた。大音量の音楽、プライドもかなぐり捨てた妻への挑発。毎日の生活に追われ、余裕のない生き方を強いられる夫にとって妻は妬ましい存在だったに違いない。しかも不倫までしていたんだから赦せないだろうなあ。子供に障害を負わせてしまったことへの負い目、自分の地元に妻を住まわせている負い目だってある。妻は自分を訪ねてきた学生とのやり取りの最中に大音量の音楽で邪魔をされても不快な表情を一つも見せていないんだよなあ。
視覚障害のある少年は冷静に父と母を見(感じ取っていた)、そして父の死について判断したと思う。

ゆみあり