枯れ葉のレビュー・感想・評価
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中年男女のラブストーリー
孤独な女とさえない男がカラオケバーで
出会い、お互い惹かれ合うが、、、
すんなり恋には落ちず、
不運な風や、不幸な事故を乗り越えて、
静かに幸せな気持ちになる。
音楽や色使いも特徴的だった。
この監督の他の作品も、観てみたいな!
初めてミニシアター系の映画館にて。
お正月&サービスデーの曜日でもあり、
満席でした!
どこか差し込まれている人たちの日常的な沈鬱さというものは、言葉では...
どこか差し込まれている人たちの日常的な沈鬱さというものは、言葉では簡単に表現できないだけに、それを上手に拾いあげていた。それも、気を付けて抑揚が抑えられているからであり、表現された瞬間に観客が参与する余地のないような感情表現が避けられているので、教訓的な感じにげんなりすることなく、沈鬱という日常的な軽さが持つ空気感に入りながら、この映画が表現し、持つ、美しさが汲み取れたように感じた。
24-004
フィンランドの巨匠が描くラブストーリー。
日常を逞しく生きる女性と
酒に溺れてる危うい男。
お互い何となく惹かれ合い、
言葉と行動を共にする。
幸せは近くにありそうで、離れていく。
手繰り寄せるのは簡単ではないが、
2人の赤い糸は繋がっているんですね。
シニカルな笑いを挟みつつ
独特のリズムの作品を堪能しました。
こうして2匹の野良はやり手女に引き取られた。
男なんて豚以下と知った賢明なアンサはブレることなく、
男以上の勤務に精励し、独り生活の向上を楽しんでいた。
それは日常的にウクライナの悲報がラヂオから報道され、
フィンランド化ではロシアの執拗な侵略を防げない。
この恐怖の宣伝に対応した決死行動と同じことになのだろうことを予感させた。
そんな中、トラム事故で意識不明となったアル中ホラッパの断酒継続と野良保護活動がそれだ。
ラストは、退院する二人の身なりも新たとなり、
アンサが大黒柱とした家族の後ろ姿に2匹が纏わり付き、微笑ましく街路並木は枯れ葉が舞っていた。
それにしても、
冷徹なアンサの顔が微細に微笑む度に細やかな幸福を感じ、
北欧女の可愛いさと強さに豚と化した男の負けを感じる。
難解な作品ですね。
(о´∀`о)
枯れ葉
フィンランドの名匠アキ・カウリスマキが5年ぶりにメガホンをとり、
孤独を抱えながら生きる男女が、かけがえのないパートナーを見つけようとする姿を描いたラブストーリー。
カウリスマキ監督による「パラダイスの夕暮れ」「真夜中の虹」「マッチ工場の少女」の労働者3部作に連なる4作目で、
厳しい生活の中でも生きる喜びと誇りを失わずにいる労働者たちの日常をまっすぐに映し出す。
フィンランドの首都ヘルシンキ。
理不尽な理由で失業したアンサと、酒に溺れながらも工事現場で働くホラッパは、カラオケバーで出会い、
互いの名前も知らないままひかれ合う。
しかし不運な偶然と過酷な現実が、2人をささやかな幸福から遠ざけてしまう。
「TOVE トーベ」のアルマ・ポウスティがアンサ、「アンノウン・ソルジャー 英雄なき戦場」のユッシ・バタネンがホラッパを演じ、
「街のあかり」のヤンネ・フーティアイネン、「希望のかなた」のヌップ・コイブが共演。
2023年・第76回カンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞。
( ̄∇ ̄)
愛がなくても生きていける、でも…
大晦日か元旦に観ると決めていた。
空いててスカスカの劇場で観たかったが、元旦、8割の大入り。いや、喜ぶべきか。
映画とは、の初心に立ち返らせてくれる。
愛がなくても、情熱がなくても生きていける。いよいよというところに追い込まれた時に、愛が、映画が、飢えを満たしてくれるだろうか。戦時にあって映画になにが出来るだろうか。そんな作家としての思いが響いてくる。
途中から登場する犬のかわいさが尋常じゃない。その犬の名前を最後にヒロインに言わせるところが、どうにもニクい!
こんなに削ぎ落とした芝居と表現の中に、豊かな喜びと希望を覗かせてくれる。
ありがとう、一年のスタートにふさわしい美しい映画だった。
変わらないことのスゴさ
まぁ真面目にツッコむと、あの男があれで酒やめるとは思えないし、
絶対また飲むし(断酒会行ったとかうそつくし)、彼女は犬と一緒に泣くハメになるのは目に見えてるんだけど、カウリスマキが描きたいのがそこじゃないのは明白で。
でも似たような彼の映画では「ラヴィ・ド・ボエーム」のほうが好きかなあ。
あの映画の最後に日本語で「ゆきのふるまちを」が流れてきたけど、
今回最初にラジオから流れてくる歌は、同じ人??(…だった!)
他にも、前の映画の主役(希望のかなた、街のあかり)を同僚として出してくるから、「えーこんな老けたん??」と年月の経過をめちゃくちゃ感じた。
ハリウッド俳優がずっと同じ見た目でいることのほうが実は異常なんだろうけど。
(老けない不思議)
カウリスマキ映画でしかフィンランドを知らないから、あんな退屈な、何もないところに絶対行きたくない!と思って数十年。彼の描くフィンランドは、初期のころから全然変わってなくて、今回スマホみたいなものは出てきたけど、他は80年代で止まったような街並みだし、スーパーの商品棚は欠品だらけだし、こんだけフィンランドの街を魅力的に描かないことで彼の映画が魅力的になっていることの不思議。
それは登場人物たちも同じで、ハリウッドに行けそうな魅力的なキャストは皆無だけど(街のあかりの人は行けたかも)、気の滅入るような人しか出てこないし、絶対に仲良くはなりたくないけど(運気を吸われそう)、それでもなぜか愛おしい目で見てしまう自分がいる。
自分の中の「だめ」「ダサい」を凝縮したものを見せてくれてるのかもしれない。
ずっとそんな映画ばっかり。変わらないでいるってスゴイと思います。
ハノイ・ロックスしか知らんのだが
じゅわいよくちゅーるマキではなくカウリスマキで、ミカではなくてアキのほうである。前作・希望のかなたの寿司レストランからすでに6年も経っていたとは(今回も寿司モチーフあり)。今作は大人の恋バナとはいえ、すれ違いの末の再会直前に事故で意識不明だとか、話の展開はジャパニーズラブコメと変わらなかったりするのだが、それがカウリスマキだとこんなにおかし味と滋味あふれる作品になるのが驚きである。
労働者問題はもちろんのことロシア・ウクライナ戦争への憤りも明確に表明しつつ、相変わらずみんな無口なわりに音楽が語っていたり、目が疲れない色彩設計かつ服の色で感情表現していたり、ほとんどの場面が淡々としていながら観ていて飽きることがなかった(そもそも81分しかないし)。
平均年齢高めのカラオケバーで歌うマウステテュトットという日本語的に発音しにくい姉妹ポップ・デュオのインタビュー映像を観たら、フィンランド人はリアルに温度低めな感じで、本当にメタル大国なのか疑いたくなった。
枯葉舞い散る北欧人情劇場
知ってるけど観たことない映画や監督さんの作品シリーズの本年トリは、フィンランドの巨匠アキ・カウリスマキです。人生に疲れた何の変哲もない中年男女のラブストーリーで、よくこの内容で映画を作ったと感心しました。ドラマティックな盛り上がりもなく、主人たちの過去や感情すらも排し、徹底的に余分なものを削ぎ落としたシンプル過ぎるセリフなのに、シーンのあちこちから監督の主人公たちへの暖かい眼差しが感じられ、画面から眼を離せませんでした。また、あちこちに監督の映画趣味が見られるのも楽しかったです。衣装や小道具がブルーや赤などの原色使いが初期のゴダールっぽいと思ったら、映画館のポスターが『気狂いピエロ』だったり、かかっている映画がジャームッシュの『デッドマン・ドント・ダイ』だったり、これらの監督作品にどこか通じるものがあります。役者さん達は馴染みのない人ばかりだけど、そこがいいのかも。
"会えない時間"が愛(相) 育てるのさ ♪
映画の舞台となるフィンランドは、「ムーミンの国」「国民幸福度が世界1位」「国民ひとりGDPが世界1位」「貧富差が少ない」という良いイメージばかりだが、
社会からの恩恵を受けられない貧困労働者のふたりが 本作の主人公なのだが
2人が生活する社会環境にも、現代の富の象徴である"物資的裕福さ"は存在せず、
スマートフォンも普及しておらず、誰も持っていない。
パソコンも高価な為に、昔ながらのPCバンに行くしかない。
楽しみは、映画鑑賞と、40年前には日本にもあった KARAOKEバー店
これだけだと、40年以上前の日本と同じだが
TVも大した番組はないのだろう。
唯一、時代感がある 1局しかない「ラジオ」から毎回流れてくるのは、
国民が期待する音楽ではなく"ロシア・ウクライナ戦争"の暗いニュースばかり
ラジオから聞こえる内容で、この映画の舞台が2023年なのがやっと判る。
こんな気晴らしがない社会では、労働者が腐るのも無理はなく、寒さが厳しい北欧州なので、自殺率が高い。
希望がない社会を映す映画に、子供は登場しなかった。
とうぜん 子どもの為のモノもない。
映画のラストに流れるのは、有名なシャンソン「枯葉」
雰囲気がある とても良い歌だ。
しかし、映画を観終わって、どうも この歌のイメージと映画から感じたものに差異があり、
帰宅後に、調べてみたが、「枯葉」の歌は、映画「夜の門(Les Portes de la Nuit)」の中で使われた曲であり
歌詞の内容は。。。。。ちょっと この映画とはかけ離れている。
フランス語が判らないフィンランド人監督は、主題曲の"表面的心地よさ"だけから、この曲を選び
この映画の題名にしたのかもしれないが、
この映画は、何かを"きちんと問題定義"されたわけでもなく、単に ふたりの貧困者が、日々の生活に追われて、自分に与えられた選択肢もなく
成るようになった 悲惨さを魅せているだけで、この映画から生み出されるものはない。
役者は、自然な演技をしており、映画の中では、日常から、さりげなく切り取ったようなシーンが続く。
撮影は ちょっと低めの固定カメラが中心で、動きはなく、欧州独特の撮影だった。
ストーリー的には、キスシーンもベットシーンもない 典型的な昔ながらの恋愛映画
古典的恋愛映画では「主役男性は、不器用でシャイ もしくは 不良」「お相手となる女性主役は、お嬢様」なのだが、
本作の主演男女とも ルールを守れない身勝手で ちょっと腐った 何も努力をしない貧困者
そんな、貧困者に対して、神様は甘くはなく、恋愛の手助けはしてくれない。
すべての者から,見放されて、取り残された 映画後の"ふたりの人生"は、ろくでもない事が予想され、映画が80分で終わった事に鑑賞者は救われた。
この映画の 続きがあり、映画に残りの20分間があったら、
2人の顛末は さぞかし悲しい展開に成っていたと思われます。
昔ながらの、男女のすれ違い映画なら「めぐり逢い(1957)」を観たくなりました。
竹田の子守唄
まずは、この愛すべき一作で一年を締めくくれた事を喜びたい。
要所で映るポスターの数々や、古典名作へのオマージュのような場面のいくつか(ラストは『第三の男』の裏返し?)で示される映画愛がナイス。
登場する様々な曲は、それぞれステロタイプな異国イメージを表している訳だが、それでもつい漠然と外国に憧れてしまう閉塞感の表現に、無表情芸と相まって貢献している。
いかにも男運の悪そうな女と言うまでもないダメ男というなんとも情けない組み合わせだが、ベタなハッピーエンドにしない演出が素晴らしい。
落ち着いてみることはできるおすすめ枠。&2023年の映画の振り返り(その2)
今年441本目(合計1,091本目/今月(2023年12月度)42本目)。
(参考)前期214本目(合計865本目/今月(2023年6月度まで))
大阪市では今日から公開という変わったスケジュールでした。
それにしてもこの超硬派な内容、シアタス心斎橋(イオンシネマ系列)で扱っているようなんですけど、意味あるんでしょうか…(普通は無難なアニメが多い)。
ということで、硬派な映画がみたいならシネリーブルということでそちらに。
まず映画の描写内で「驚くほど」時期を推測できるところが少ない、というところがあります。もっとも多くの方が書かれている通り、ロシアのウクライナ侵攻や、スマホを使っているシーン(1か所だけでしたっけ?)があることから、2023~ということはわかりますが、こうしたシーンが出る割に、舞台はフィンランドですが「反戦とも何とも述べていない」という映画です(「戦争」の話はラジオかテレビかで言っているシーンでしか出ない)。
見ていて「落ち着く」映画ではあるのですが(人を不愉快にするような描写はまるで出てこない)、一方で「この映画の「枯れ葉」が何を意味するのか」という点まで考えると答えが出なかったりします(調べた方もいらっしゃる模様。どうもそれで正しいことを確認。他の方の投稿確認のこと)。こういった事情があるので「木の話なのか」「葉っぱの話なのか」というのは全然違うし、まして「人にたとえて」「年老いた老婆などをこのように表したもの」でもありません(主人公は多少年を取られていると思いますが、それで老婆というなら全員老婆になってしまう)。
こういった点があいまって「映画として見る分にはいろいろ考えさせられる部分は多いが、何が枯れ葉なのだろう?」という点がわからず結構混乱しそうです(しかもフィンランド映画であり字幕などは丁寧ではあるものの、妙にこなれない日本語が出てきてわからない部分も出てくる)。こうした点がやや厳しいかなぁ…といったところです。
よく私はフランス映画について「余韻を残すタイプ」だと書きますが(そうでないものもあるけれど)、これに近い形です。言語こそフィンランド映画ですが、限りなくその「典型的な」フランス映画という部分に結構似ているなといった印象です。
採点にあたってはとくに差し引く要素はないので(ただ、何度か見るのが想定されていると思います)、フルスコアです。
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(減点なし/参考/2023年の映画の事情)
2021年、2022年とコロナ事情で映画館が全部閉まったり、20時ルールや「1つ座りルール」ができたりとしたこの数年間ですが、やっと平常に戻りつつあるのが2023年の5月の5類移行の後で、2024年はそれが本格的に「1年」あるのでそれが試される年なのだろうと思います。
そんな中でも「ベスト3」については前のポストで書きましたが、ほか気になった映画をいくつか紹介。
「君は放課後インソムニア」 → 石川県を舞台にする高校生の恋愛と天文ネタ。ただし映画では天文に関することは少な目(原作アニメのほうではどんどん出てくる)。ここは評価が分かれそう。
「 ルー、パリで生まれた猫」 → 実話ものではないですが、実質的に実話ものといっても差し支えがない作品。登場人物も数名と猫「だけ」で(エンディングロールもあっさり)、「子供が猫を飼うということはどのような道徳的責任が求められるのか」「親は子に対してどのような命の大切さを教えるのか」といった論点があります(フランス映画)。
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ヘルシンキの{ボーイ・ミーツ・ガール}
フィンランドの首都ヘルシンキで
スーパーの店員として暮らす『アンサ(アルマ・ポウスティ)』は
期限切れで廃棄すべき商品をくすねたことが原因で失業。
そして同時期に、工事現場で働く『ホラッパ(ユッシ・ヴァタネン)』とカラオケバーで出合い、
二人は互いに一目惚れ。
しかし『ホラッパ』はアル中。
職務中の飲酒がバレ、次から次へと転職を繰り返すさ中。
共に厳しい現実に直面する二人の恋の行方は・・・・と、
プロットだけを追えば典型的な{ボーイ・ミーツ・ガール}。
しかし、主人公の二人の年齢はどう見ても四十歳近くで
立派なおばさんとおじさん。
それでも、しっとりとした{ラブストリー}を成立させてしまう、
監督・脚本の『アキ・カウリスマキ』の手腕には敬服。
81分尺の小品。
ため、科白を切り詰め説明を省略し、
シーンを巧みに繋ぐことで極上の短編に仕上げる。
あまりにそっけなさ過ぎて、
言葉による説明過多の直近の邦画に慣れてしまうと
かなりの物足りなさを感じてしまうのでは。
が、背景も含め淡々とした描写が独特の雰囲気を醸す。
二人の現状を判らせる、冒頭のシークエンスはとりわけ見事。
ほんの短い時間で労働者が体よく使われている社会の状況と、
空虚な生活を見せ、
これで鑑賞者は一気に感情移入。
また、本編の舞台は現代。
ラジオから流れるロシアのウクライナ侵攻に関するニュースの
日本での報道内容とは随分と異なることの驚き
(陸で国境を接する国の論評は違う)。
意図的に病院を攻撃するのは、社会の混乱を目論むロシアの常套手段である、
などを聞けば更に厭世的な気分になろうというもの。
そこに1960~80年代の音楽もたっぷり盛り込み
(中には〔竹田の子守歌〕もあり)、
最後にはタイトル通りの〔枯葉〕に持っていく巧さ。
人生の秋に近くなって咲いた恋でも、
まだまだ先の幸せを期待させるとの。
そしておそらく
監督が偏愛するであろう映画の数々が
ポスターに仮託し貼られている。
〔若者のすべて/Rocco e i suoi fratelli(1960年)〕
〔気狂いピエロ/Pierrot Le Fou(1965年〕は印象にも残るが
初めてのデートで観る映画が
『ジム・ジャームッシュ』の〔デッド・ドント・ダイ(2019年)〕
なのには笑ったが。
ひょんなことから『アンサ』が飼うことになった犬の名前が
『チャップリン』なのも、
「放浪紳士」は最後は概ね、
背中を向けて去るのを想起させもする。
古き良き時代の映画へのオマージュも
随所に感じるところ。
本作もよりドラマチックな要素を付加すれば
十分にそうした作品群と近似する。
登場する映画館の名前が「Ritz」なのは
皮肉な名称にも思えるが。
アンサのウィンクがかわいい
フフフッ。
このふたり、大人なのに、なんか可笑しい。
アキ・カウリスマキ監督の特有なのかしら?
表情筋ほぼ使ってないし、セリフも、動きも、
ストーリーも起伏少なく淡々と展開する独特の雰囲気で、
日本で言うなら昭和感満載というか、
でも、ツボるというか、なんだか、みんな可愛いらしく見えてくる。
観終わった後、フッと心が軽くなりました。
パーフェクトじゃない日々
良かった。独特のリズムとユーモア。
お金はないし希望も少ないけれど日々を趣味よく、それぞれ哲学を持ち生きている。親切もさりげない。別れ際はあっさりしている。
パーフェクトデイズとの違いはなんだろう。
女性二人のバンドの曲よかったな。
見終わったあとに少しだけ人生を愛せるしどうであっても誇りを持って生きられるのだと思う。でも決して諦めていないし、私たちには抵抗する意思があるのだ。ウクライナのように。パレスチナのように。
カウリスマキに「アナログ」撮って欲しかった
2023の最後はこれだった。失敗がないと思ったし、いい気分で終わりたかったから。そしていい気分で映画館を出て来れた。
フィンランドの他愛もない男と女の話でしかない。ラジオからウクライナのニュースが流れ、世知辛い世の中の視線の中で仕事先を解雇されるふたりが出会ってくっつくまで。カット選択、感情、ミニマル表現の中でふっとエモーションが動くのが素敵だ。今時名前も知らないふたりが出会っていい感じになって、電話番号の紙を渡してそれがポケットから落ちて風で飛んであえなくなって、別れた映画館でいつか会えるとずっと待ってて足元にたくさんの吸い殻を映して、それを女が観る、なんて映画が観れるなんて。歳とったいかれた男女は素晴らしい。男がまさかの禁酒を実践し、電話をかけた時のアルマ・ボウスティの犬に出ろという視線と、その後電話出た瞬間にすぐに来て、というスピード感が素晴らしい。
なんだかんだで年末はベンダースにカウリスマキという、やっぱりあなたたちの映画は映画的喜びに満ちてます、という感じ。
そういえば、映画化された北野武の「アナログ」はこんなテイストの映画で観たかったな、と思った。
カウリスマキの帰還‼️
お帰りなさい、カウリスマキ監督‼️6年前の引退宣言があったので、もう新作は見れないと思っていたので、メチャクチャ嬉しかった‼️しかも内容はラブ・ストーリー‼️しかもチョット古風でノスタルジック‼️そしてチョットすれ違い気味‼️加えて全編に映画愛が溢れている‼️仕事をクビになった女性アンサと、アル中気味の作業員の男性ホラッパ。二人はカラオケバーで出会い、互いの名前も知らないまま惹かれ合い、再会の約束をするが・・・‼️電話番号のメモを無くしたり、アル中であることを責められ気まずくなったり、酒を断って会う約束をした矢先に事故にあったり‼️ビミョーに心地良いすれ違い具合ですよね‼️主演の二人も大きなリアクションは無いのですが、微妙な表情の変化で互いのことが気になる心情を表現していて、素晴らしかった‼️そして音楽‼️二人が出会うカラオケバーや、ホラッパが同僚と出かける酒場で流れる音楽‼️クラシックからカラオケ、バンド演奏まで実に多彩で、特に酒場での女の子2人組マウステテュトットの演奏シーン‼️「悲しみに生まれ、失望を身にまとう」という楽曲が耳から離れない‼️サントラ欲しい‼️もしくは彼女たちのCDでもいいから‼️そして、アンサのラジオから流れるロシアのウクライナ侵攻のニュース‼️こんな素敵なラブ・ストーリーが展開されてる一方、現代の社会情勢を批判する姿勢も忘れない‼️サスガ‼️最後に映画愛‼️二人がデートで通う映画館で流れるジム・ジャームッシュ監督の「デッド・ドント・ダイ」‼️なんでこの映画が上映されているのか意味不明なんですが‼️あと映画館に貼ってあるポスター‼️多分今作に多大な影響与えているであろうデヴィッド・リーン監督の名作「逢引き」、ジャン・リュック・ゴダール監督の「気狂いピエロ」、ルキノ・ヴィスコンティ監督の「若者のすべて」、ロベール・ブレッソン監督の「ラルジャン」などなど‼️改めてもう一度観直したくなります‼️そしてホラッパがアンサのために酒断ちを決意、持っていたボトルを二本、洗面所の流しに捨てる‼️その次のカットで青空が広がる演出は、まるで小津安二郎監督作みたいでした‼️そしてアンサが飼っている犬の名前はチャップリン‼️もう言うことありません‼️映画ファンの心を鷲掴み‼️退院したホラッパへのアンサのウインクもホント素敵‼️カウリスマキ監督からの我々映画ファンへのウインクであり、我々映画ファンからカウリスマキ監督へのウインクでもあります‼️カウリスマキ監督、次作も期待してますよ‼️
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