「観た後はほのぼの」枯れ葉 てらちとさんの映画レビュー(感想・評価)
観た後はほのぼの
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ああ、また、救いのない話なんだろうか、と思いながら観始めた。
虚ろな目をした中年男女の、嫌な雇い主のいる毎日の労働、質素な暮らし。
女性の室内は簡素ながらも、青や赤が抑えられた色調ながらも、素敵な、レトロモダンな感じ。これって70年代やそこらの共産圏が舞台?と勘違いしていたが、ラジオからはロシアのウクライナ攻撃のニュースが途絶えることがない。じゃあ、今の話なのか。フィンランドって北欧=素敵イメージしかなかったが、意外と庶民は質素なんだなと少し驚いた。
そしてどこに行っても、老人しかいない。日本だけでないんだな、老齢化の社会。
カラオケがもう日本語で世界共通なんだな。でも歌下手な人にも、みんな優しい。
カラオケで最後のほうに歌っていた二人組の女性の音楽が良かった。ちょっと懐かしいシンセサイザーだけど、なんか新しい。
これから悲劇が起こる予感しかない。ああ、でも観なくちゃ、と思って、少しハラハラしていたが、確かに悲しいことが次々と起こった。
犬が出てきた頃からほっとした。犬はやっぱり素晴らしい。良き友になってくれる。
最後の場面で、ここで終わってくれと願ってたら、そのまま終わって良かった。
不幸なラストは観たくない。観終わった後はじんわりとした。
いろいろ悲惨なことが起こる世界(背景のラジオがずっと突き付けてくる)、つまらない、どころか、生まれてからもこの先もずっとついていない人生の予感の中に生きている人も、
こんな風に人と交わり、自己変化していくことができる。ささやかな幸せにほっとする映画。
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