関心領域のレビュー・感想・評価
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耐えた105分
ある一家の日常をただ意味なく観るだけ。ストーリーが全く無い。何一つ面白くない。ドキュメンタリーとも違い、映像はドラマ風に映る。絵になる写真を動画で観てるような。ひたすら終わるのを待ち侘びて耐えました(笑) 多分そんな人たくさん居たはず。 ウェスアンダーソン監督作品と同じ観る苦痛がある。 予告を観ていて厳しそうだなーって思ってましたが、もしかしたら逆に当たりかも?と期待してみましたが、やっぱりハズレでした。(笑) 特有のスリラー、ホラーがあるのかと思いきや全くなかった。旦那さんは吐きまくっていたがあれは何?酒でも飲んでいたっけ?(笑) ラストは呆気ない。逆にお洒落に映ったが。 新宿ピカデリーのレイトショーは満席に近い入りでしたが、帰りの反応は会話から悪そうでした。 パンフレットは既に完売していた。
収容所の中を見せないことがかえって収容所を見せてくる
映画は幸せそうな家族の日常から始まる だが、気づく 銃声、人の叫び声のようなものが聞こえ続けていることに そうして、家族の日常に少しずつ入り込んでくるものにも気づく 妻が試着するのは奪われた毛皮のコート、ポケットに入っていたリップスティック 夫のブーツを洗った水の色 川に流れてくるもの 空に立ち昇る黒煙 列車が到着したとわかる煙が流れていく 観ている側は、アウシュビッツ=ビルケナウ強制収容所だとわかっている 少なからず、映画などの映像や残された写真などを見ているからこそ、想像力が見えない壁の向こうの収容所の様子を浮かび上がらせてくる、聞こえている音ともに すごい演出だ もしも家族が、ユダヤ人や収監された人たちが、絶滅収容所と呼ばれたアウシュビッツ=ビルケナウで、どんな目にあっていたかを知らなかったとしても、少なくともある程度以上の年齢なら、あの距離で聞こえたはずの音や声、匂いで、その異様さに違和感を感じたはず それでも、まるで何も起きてないように過ごせていることの恐怖 「ヒトラーのための虐殺会議」を観た時にも似たようなことを思ったけれど、なぜ? 理解できない 妻の母が途中でいなくなる 恐らく置き手紙と思われるものの中は見せない それでも、前夜、赤い空に目を覚まし、窓辺で収容所を見ていた表情からして、うかがえる そちらのリアクションの方が理解できる それでも、妻は難しい顔で、しかし感情を一切出さずに、その手紙らしきものを火にくべてしまう もしかすると、罪悪感や違和感、嫌悪感があるのかもしれない けれどそれを認めたら、なにかが崩壊してしまう だから、認めない、受け入れない、気づいてないふりをしているのかもしれない 途中、果物を置く女性が出てくる 最初は娘の夢なのかと思ったが、なにか違う 2度目に出てきた時、状況を理解する そして、やはり、隣でなくても匂いがしていることが鼻をおさえて窓を閉める動きでわかる この作品は、説明を一切しない けれど、随所にヒントを出してくる、見せてくる さらなる大量虐殺を前に、最後のヘスの吐き気、その後に映し出される現代のガス室、焼却炉、収容された人たちから奪ったカバン、靴、衣類、写真から、アウシュビッツ・ビルケナウ博物館だとわかる そこを清掃する人々 正直、ガス室の掃除をひとりでやるのは気分の良い仕事ではないし、毎日残されたこれらのものと対峙するこの仕事、なかなかハードでは。と思ったが、同時に、これが日常の人たちがいるのだな、と。かつてのヘスたちのように そこからヘスに戻る まるでともに今の映像を見たかのように佇むヘス だが、彼は再び歩き出し暗闇に消えていく エンディングロールを見ながら、強烈ななにかが残ったことを感じる そのなにかを考え始める
アウシュヴィッツ強制収容所の壁1枚先では優雅な生活が送られていた。...
アウシュヴィッツ強制収容所の壁1枚先では優雅な生活が送られていた。 何気ない日常を描いているように見えるが、異常であることは明らか。ホロコーストを描く視点として斬新。 なぜないものとして振る舞っていられるかある意味ホラーで不思議でしかなかったが、無関心を装っているだけ。 途中うとうとしちゃって、自分自身も無関心になっているのかーと勝手に恐ろしくなった。 次第に蝕まれて行く姿、印象的なホロコーストの描き方で、世界最大の悲劇は善人の沈黙と無関心って言葉を思い出した。
音への恐怖
想像していたものとは違ってドキュメンタリーを見ているようだった。ただ、カメラを回さないところから来る音や声から不穏感を増す演出、ところどころ異変を感じさせる映像。 それぞれに何の意味があるのかは難しいがどれもどこか違和感を覚える映画だった。
不気味
なるほど。ゆーっくり始まりゆーっくり終わる。最初と途中とラストに数十秒のBGMのみの どやーっ、とした音響あり。そもそもホロコーストの歴史実態を知った上で観ないと無知では解らんだろう。自分は良かったが。
特に映画館で観るべき映画
アウシュビッツ収容所所長家族の日常の描写が淡々と続く その中で気づく画面に映る異質さ 耳を傾けると叫び声や乾いた銃声 汽車がやって来る音と煙 煙突から夜を通して煙が出てくる 目で見ているモノと耳から聴こえてくるモノの違いに脳がやられる 映画館で観ないと音の臨場感が薄れる 少しでも興味があれば是非とも映画館で観てほしい作品 ただ説明が一切無い 分からない人、気づかない人には厳しい映画になる 上映中にいびきをかいてたオジサンは無関心領域だった
想像力に訴えかける作品
映画の作りに興味を持ったことがきっかけで鑑賞。 説明がほとんどないので、何がそこで起きているかを想像するしかない。音を聴いて、自分の感性で映画を創り上げるような感覚です。 ルドルフ一家の会話を聞くたびに、行いを見るたびに陳腐な表現ですがゾッとしてしまった。淡々と焼却炉の話をしていた男性も、もはや「死」について何も感じていないように思えました。けれど自分も同じ人間です。 だいぶ前ですが、アメリカのワシントンにあるホロコースト博物館でアウシュビッツに収容された方々の実際の靴の山を見た事があります。その時の事が思い出され正直キツかったです。
前評判を聞いていたが
個人的に何故か過去作含めて、全般的にあまり相性の良くないA24の作品です。 アウシュビッツで起こっていたことというのは世界中の多くの人が知っていることとは思うが、今回の作品のようなのは珍しいかと思います。ナチス・ドイツ側にも様々な個々人のストーリーがあるのは当たり前ですが、なかなかそこにまで思い至りはしないかなと。そんな所長家族の生活に焦点を当てたのが今作かと。 基本的にあからさまなハデなこともグロいことも、スクリーン上で起こるわけではありませんが、何か機械が稼働しているような重低音や、発砲音と思しき破裂音、それに悲鳴や怒声が、あたかも環境音のように遠くで薄く流れ続けているのがジワジワと効いてきます。 この手のテーマの作品なので、正直見る人を選ぶでしょうが、細いところの確認のためにも、もう一度見に行ってみようかなという気持ちにはなりました。寝不足気味で見に行ったせいか、途中あまりに淡々と進行するので、一瞬意識が飛んだりもしてしまいましたが、目を開けた瞬間にスクリーンが一面真っ赤だったのは、一体何があってああなっていたのだろう。
コンセプトがすべてのような映画
という意味では予告編がいちばん面白かったと言っちゃってもいいのかもしれない。後はどれだけ「それの隣り」というのを体感できるか、というか、体感する側の換気力が問われるというか。ある意味後半、まるで博物館そのものになってくるというか。そういう面白みは確かにある。 そんな中で個人的にはたいして面白く思わなかった(笑)というのがホンネ。やっぱり中で動いてる連中が面白くなくては面白くないんだよな〜 というのとは別に、おそらく日本軍の指揮官もこの形式で描けばもっととんでもないものができると思う
やはり中途半端という感は否めず
多くのナチス関連映画を見てきて、まだこういう新しいアプローチがあるかと感心はしたが、意図は分かるものの、映画としてはやはり中途半端という感は否めなかった。幸せな壁のこちら側にも壁の向こうの何かしら物々しい雰囲気はかすかに伝わってくるものの、それもこの独特の設定のもとでのサイドエフェクトのように作為的に感じてしまう。最終のシメも、それで済むの、と思ってしまう。
何回観たら解るようになるのだろう
ナチス親衛隊の社会に居るヘスの家族にしてみれば夫は組織の中枢へと出世すべく無理をしてでもチャンスを掴もうとするだろうし、妻は自らが作って来た夢に描いた暮らしを既得権として守ろうとするだろう。 アウシュビッツ強制収容所群 「The Zone of Interest(関心領域)」 は、彼らにしてみれば職場に過ぎず、そこでの生産性をより求めるし、効果を上げ、成果を残そうとする。 だから連続して大量に焼却出来る施設をも計画する。単身赴任もいとまず、吐くほどのストレスとプレッシャーに苛まれようとも組織を登りつめていく。 母親がこんな所には居られないと黙って帰ってしまっても妻はそんな事は覚悟の上で暮らしている。子供達はナチスの思想で育って行く。 世界が違えば当たり前な事とも言えるのではないだろうか。 音響賞受賞は納得です。こんな音響効果の方法があるとは驚きました。なにしろ映画を観ているのに音だけが流れてスクリーンに何も映らないのだから。そうして映画の世界に誘われるのです。 さて全編においてヘス一家の暮らしが描かれて行く訳だけども 「そのシーンが何をしているのか?」 が解らない。妻の行動、思い、子供達の行い、遊び、川で起きたこと。 「何? 解らない 何?」 何回観たら解るようになるのだろうか?
社会構造を坦々とした日常的な視点で描き、感覚が麻痺してくる
特徴的なのは、監視カメラのようなカメラワーク。 人物の移動に伴って視点がコロコロ変わるのは、ゲームのバイオハザードを想起させられ、映画であることを忘れさせる。 塀の向こうの音が聞こえてくる一方で、赤子の泣き声にかきけされ観客も最初よりは次第に気にしなくなってくる。 なにより印象的なのが、 家庭と職場でのやりとりが、日本のサラリーマンのそれとほぼ同じであることである。 アウシュビッツの司令官でも中間管理職の境遇と、プレッシャーと、家庭と、愛人と。 ユダヤ人迫害においてタスクが細分化されることで、当事者意識が薄れるというのはある話だが、それがより公私という面でも顕著に描かれている。 しかし、その坦々さだけで終わらせない、ところどころにある、衝撃とも不快ともいえる演出。忘れるな、と言わんばかりのメッセージである。 歴史と人間社会を考えさせられる100分あまりであった。
好きにはなれませんが、すごい作品だと思います
音がとにかく不穏であり、虐殺の場面は一切描かずに恐ろしさを表現していることに、感服しました。 映画館で見ることにより、身に迫る恐怖を感るので、劇場での鑑賞を強くおすすめしたいです。 決して楽しい気持ちにはなれませんし、好きにもなれませんが、いい作品でした。 そして、厳しい現実であっても知ることが大切だと感じました。
不協和音
途中はさまれる真っ黒なシーン、真っ赤なシーン、真っ白なシーン。その全てが不協和音で彩られ、心穏やかではいられなくなる。耳を覆いたくなるほどに。 監督は、登場人物に自分を重ねて欲しいと言う。この一見幸せそうな一家の生活に、違和感を感じ取れということか。自分も気づかぬうちに加害者になっているのではないか、と。 ヘス家の人々は、度々聞こえる悲鳴や銃声、人肉が燃える炎や煙を気にすることなく、日々を暮らす。 無視していても、気にしなくても、それは、いつか自分に返ってくるのではないだろうか。そう感じさせる映画だった。
より酷くなる直前までを聴く
アウシュヴィッツ強制収容所隣の所長宅 満ち足りた家庭から壁一枚を隔てた、ただ大勢を殺す為の工場から、絶え間なく金属音と断末魔が響いて、四六時中煙突から黒い炎がたちのぼる 初代所長のルドルフ・フェルディナント・ヘスが飛ばされそうになって、より高い生産性、つまりガス室を提案するまでの話、だからエンドロール後も殺戮はつづく 怖い怖い怖い怖い 自分が当事者だったらはたして異論を吐けたか
「音」がすごい
観るより「音」で感じる作品 途中途中何も映らなくてただ居心地悪い音だけの時間、この作品にすごく効果的だったと思います この居心地悪い音が終始続きます 塀の向こう側の様子を観る事はなく、ひたすら音で感じる塀の向こう側 だけど塀のこちら側で暮らす人達はごく普通 それどころか「理想の家」という主人公の妻 広い庭に咲き乱れるきれいなお花、野菜も植え、プールまであって、確かに理想の家だけど、あそこまで無関心になれるのか 川のせせらぎや鳥のさえずりなどの心地良い音と地鳴りのような「塀の向こう側」を感じさせる居心地悪い音 音をこんなに効果的に使った作品はこれが一番かもと思いました エンドクレジットに流れる音楽もとっても居心地悪くて、早く終われーっとずっと思ってました 作品としては良いものだと思うけど、私には合わなかったので☆2です
『過去に目を閉ざす者は現在にも盲目となる』
一家の豊かな生活という表面だけ観れば、淡々として退屈に映るかもしれない。その実、衣食住や家族との時間、楽団の意味などが壁の向こうとの対比になっている。 ヴァイツゼッカーの演説から39年。映画を通して今一度知り、学び、伝えなければならない。
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