関心領域のレビュー・感想・評価
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特に映画館で観るべき映画
アウシュビッツ収容所所長家族の日常の描写が淡々と続く
その中で気づく画面に映る異質さ
耳を傾けると叫び声や乾いた銃声
汽車がやって来る音と煙
煙突から夜を通して煙が出てくる
目で見ているモノと耳から聴こえてくるモノの違いに脳がやられる
映画館で観ないと音の臨場感が薄れる
少しでも興味があれば是非とも映画館で観てほしい作品
ただ説明が一切無い
分からない人、気づかない人には厳しい映画になる
上映中にいびきをかいてたオジサンは無関心領域だった
想像力に訴えかける作品
映画の作りに興味を持ったことがきっかけで鑑賞。
説明がほとんどないので、何がそこで起きているかを想像するしかない。音を聴いて、自分の感性で映画を創り上げるような感覚です。
ルドルフ一家の会話を聞くたびに、行いを見るたびに陳腐な表現ですがゾッとしてしまった。淡々と焼却炉の話をしていた男性も、もはや「死」について何も感じていないように思えました。けれど自分も同じ人間です。
だいぶ前ですが、アメリカのワシントンにあるホロコースト博物館でアウシュビッツに収容された方々の実際の靴の山を見た事があります。その時の事が思い出され正直キツかったです。
前評判を聞いていたが
個人的に何故か過去作含めて、全般的にあまり相性の良くないA24の作品です。
アウシュビッツで起こっていたことというのは世界中の多くの人が知っていることとは思うが、今回の作品のようなのは珍しいかと思います。ナチス・ドイツ側にも様々な個々人のストーリーがあるのは当たり前ですが、なかなかそこにまで思い至りはしないかなと。そんな所長家族の生活に焦点を当てたのが今作かと。
基本的にあからさまなハデなこともグロいことも、スクリーン上で起こるわけではありませんが、何か機械が稼働しているような重低音や、発砲音と思しき破裂音、それに悲鳴や怒声が、あたかも環境音のように遠くで薄く流れ続けているのがジワジワと効いてきます。
この手のテーマの作品なので、正直見る人を選ぶでしょうが、細いところの確認のためにも、もう一度見に行ってみようかなという気持ちにはなりました。寝不足気味で見に行ったせいか、途中あまりに淡々と進行するので、一瞬意識が飛んだりもしてしまいましたが、目を開けた瞬間にスクリーンが一面真っ赤だったのは、一体何があってああなっていたのだろう。
コンセプトがすべてのような映画
という意味では予告編がいちばん面白かったと言っちゃってもいいのかもしれない。後はどれだけ「それの隣り」というのを体感できるか、というか、体感する側の換気力が問われるというか。ある意味後半、まるで博物館そのものになってくるというか。そういう面白みは確かにある。
そんな中で個人的にはたいして面白く思わなかった(笑)というのがホンネ。やっぱり中で動いてる連中が面白くなくては面白くないんだよな〜
というのとは別に、おそらく日本軍の指揮官もこの形式で描けばもっととんでもないものができると思う
やはり中途半端という感は否めず
多くのナチス関連映画を見てきて、まだこういう新しいアプローチがあるかと感心はしたが、意図は分かるものの、映画としてはやはり中途半端という感は否めなかった。幸せな壁のこちら側にも壁の向こうの何かしら物々しい雰囲気はかすかに伝わってくるものの、それもこの独特の設定のもとでのサイドエフェクトのように作為的に感じてしまう。最終のシメも、それで済むの、と思ってしまう。
何回観たら解るようになるのだろう
ナチス親衛隊の社会に居るヘスの家族にしてみれば夫は組織の中枢へと出世すべく無理をしてでもチャンスを掴もうとするだろうし、妻は自らが作って来た夢に描いた暮らしを既得権として守ろうとするだろう。
アウシュビッツ強制収容所群
「The Zone of Interest(関心領域)」
は、彼らにしてみれば職場に過ぎず、そこでの生産性をより求めるし、効果を上げ、成果を残そうとする。
だから連続して大量に焼却出来る施設をも計画する。単身赴任もいとまず、吐くほどのストレスとプレッシャーに苛まれようとも組織を登りつめていく。
母親がこんな所には居られないと黙って帰ってしまっても妻はそんな事は覚悟の上で暮らしている。子供達はナチスの思想で育って行く。
世界が違えば当たり前な事とも言えるのではないだろうか。
音響賞受賞は納得です。こんな音響効果の方法があるとは驚きました。なにしろ映画を観ているのに音だけが流れてスクリーンに何も映らないのだから。そうして映画の世界に誘われるのです。
さて全編においてヘス一家の暮らしが描かれて行く訳だけども
「そのシーンが何をしているのか?」
が解らない。妻の行動、思い、子供達の行い、遊び、川で起きたこと。
「何? 解らない 何?」
何回観たら解るようになるのだろうか?
社会構造を坦々とした日常的な視点で描き、感覚が麻痺してくる
特徴的なのは、監視カメラのようなカメラワーク。
人物の移動に伴って視点がコロコロ変わるのは、ゲームのバイオハザードを想起させられ、映画であることを忘れさせる。
塀の向こうの音が聞こえてくる一方で、赤子の泣き声にかきけされ観客も最初よりは次第に気にしなくなってくる。
なにより印象的なのが、
家庭と職場でのやりとりが、日本のサラリーマンのそれとほぼ同じであることである。
アウシュビッツの司令官でも中間管理職の境遇と、プレッシャーと、家庭と、愛人と。
ユダヤ人迫害においてタスクが細分化されることで、当事者意識が薄れるというのはある話だが、それがより公私という面でも顕著に描かれている。
しかし、その坦々さだけで終わらせない、ところどころにある、衝撃とも不快ともいえる演出。忘れるな、と言わんばかりのメッセージである。
歴史と人間社会を考えさせられる100分あまりであった。
好きにはなれませんが、すごい作品だと思います
音がとにかく不穏であり、虐殺の場面は一切描かずに恐ろしさを表現していることに、感服しました。
映画館で見ることにより、身に迫る恐怖を感るので、劇場での鑑賞を強くおすすめしたいです。
決して楽しい気持ちにはなれませんし、好きにもなれませんが、いい作品でした。
そして、厳しい現実であっても知ることが大切だと感じました。
不協和音
途中はさまれる真っ黒なシーン、真っ赤なシーン、真っ白なシーン。その全てが不協和音で彩られ、心穏やかではいられなくなる。耳を覆いたくなるほどに。
監督は、登場人物に自分を重ねて欲しいと言う。この一見幸せそうな一家の生活に、違和感を感じ取れということか。自分も気づかぬうちに加害者になっているのではないか、と。
ヘス家の人々は、度々聞こえる悲鳴や銃声、人肉が燃える炎や煙を気にすることなく、日々を暮らす。
無視していても、気にしなくても、それは、いつか自分に返ってくるのではないだろうか。そう感じさせる映画だった。
より酷くなる直前までを聴く
アウシュヴィッツ強制収容所隣の所長宅
満ち足りた家庭から壁一枚を隔てた、ただ大勢を殺す為の工場から、絶え間なく金属音と断末魔が響いて、四六時中煙突から黒い炎がたちのぼる
初代所長のルドルフ・フェルディナント・ヘスが飛ばされそうになって、より高い生産性、つまりガス室を提案するまでの話、だからエンドロール後も殺戮はつづく
怖い怖い怖い怖い
自分が当事者だったらはたして異論を吐けたか
「音」がすごい
観るより「音」で感じる作品
途中途中何も映らなくてただ居心地悪い音だけの時間、この作品にすごく効果的だったと思います
この居心地悪い音が終始続きます
塀の向こう側の様子を観る事はなく、ひたすら音で感じる塀の向こう側
だけど塀のこちら側で暮らす人達はごく普通
それどころか「理想の家」という主人公の妻
広い庭に咲き乱れるきれいなお花、野菜も植え、プールまであって、確かに理想の家だけど、あそこまで無関心になれるのか
川のせせらぎや鳥のさえずりなどの心地良い音と地鳴りのような「塀の向こう側」を感じさせる居心地悪い音
音をこんなに効果的に使った作品はこれが一番かもと思いました
エンドクレジットに流れる音楽もとっても居心地悪くて、早く終われーっとずっと思ってました
作品としては良いものだと思うけど、私には合わなかったので☆2です
『過去に目を閉ざす者は現在にも盲目となる』
一家の豊かな生活という表面だけ観れば、淡々として退屈に映るかもしれない。その実、衣食住や家族との時間、楽団の意味などが壁の向こうとの対比になっている。
ヴァイツゼッカーの演説から39年。映画を通して今一度知り、学び、伝えなければならない。
淡々としてて苦手だが考えさせられる
毎年何本も作られるナチス映画。あの手この手で作る制作側のアイデアにいつも驚かされるが、本作も結構な衝撃だった。アウシュヴィッツ強制収容所の外側で幸せに暮らすナチスの家族を描いた物語。
壁の向こうで行われていたユダヤ人の虐殺は全く描かれない。あくまで収容所の所長家族の日々を淡々と描く。収容所の中で何が行われているのかは、壁の上から見える煙や聞こえてくる声と音でしか感じることができない。このおぞましさ。壁で隔たれた向こう側で何が行われているのかを想像したらあんなに幸せそうに生活はできない(個人的にはそう思う)。あの家族は収容所のことを知らないでいるのかと思っていたが、ちゃんと理解していることが後半示される。夫の権力を傘に怒鳴り散らす妻の態度もかなりおぞましかった。ちゃんと知ってんのか。そりゃそうだろうけど。気持ち悪い。
それなりに小さな出来事は起こるし、夫婦のお互いの不貞を匂わせるシーンもあったり(夫のはほぼ決定的だけど)。他にも些細なことであの環境の異常性がわかるシーンもあった。そう、スクリーンからは伝わらない匂いの問題だ。だからこそあそこにとどまりたいと考えることの異常性が際立つんだよな。また収容所の所長として、いかにユダヤ人を「効率的に」殺して灰にしていくのかを検討するシーンも印象的だった。「ヒトラーのための虐殺会議」に通じるビジネス感覚だ。
でも、全体に映画としてどうだったかというと微妙な感想になってしまう。淡々すぎるから。個人的にはあまり得意ではない部類の映画ってこと。リアリティ・ショーを見せられている気分になる。事実に基づくとこういう描き方になるのも仕方ないか。面白かったとは言えないが、かなり考えさせられた映画だった。点数は本来2くらいだが、考えさせられた点を踏まえて3にしておく。
私の関心領域からも外れていたかも。
回数を重ねて何度も観たら印象変わるのかな?初見では『ま、そーなるよね』としか思えなかった。)
人間の適応能力って凄まじいから、自己防衛本能が働いて実際にアノ場所に住んでいたら自然と耳に届く音届かない音が取捨選択されて普通の暮らしを送っていてもなんら不思議ではない。平たく言うと『いちいちあちら側の音に心を痛めていたら自分の身が持たない』。だからぽっと出のお母さんはアジャスト機能がまだ上手く働かず、荷物まとめて退散しちゃったのね。それもまた納得。
大人の都合であの場所で生活することを余儀なくされる子供達は善とか悪とか素養を身に付けている過程でのあの特異な環境はダメだろーなー。全部スポンジのように吸収しちゃうもん。
脳みその自己防衛本能の働きにより『関心領域』が変わるというか閾値が高まることで、第三者から見ていたら違和感を感じるような光景でも、当人にしてみたらただの日常。そう考えたらただの日常風景をひたすら観させられていたこの映画に対して『ま、そーなるよね』しか感じられなかった私は何かが壊れ始めたのかな……。
以下、箇条書き
●ザンドラさん演じるヘートヴィヒに夫が転勤を打ち明けた時の妻のアタオカ行動がヤバし。
●最初と最後の音の重なり合いが印象的。あの音のどの部分を脳が取り込むのかは人によって聞こえ方が違うはず。それこそ『関心領域』によるんだろーなー。
※当たり前のことですが、ホロコーストを容認しているわけでは決してないです。
※結構静かに展開されるので食べ物食べる音には注意が必要な映画。
時代の狂気が認知を歪めたのか、認知を歪めないと正気を保てないのか?
収容所から聞こえる人の叫び声と銃声に表情も変えず笑ったり、怒ったり、遊んだり日常生活を送るヘス一家。それは、収容所から発する音を単なる環境音として脳が処理してしまっている。
音に関しては、距離と反響を計算した上で再現したらしいが、何度も聞いているうちに慣れてしまう自分に気がついて恐ろしい。
無関心を通り越して、現状を当たり前として優雅な生活を送るヘス夫人。使用人の女の子を叱りつけるのに「ガス室送り」の言葉まで発する始末。ザンドラ・ヒュラーの冷徹演技が、時代の狂気を見事に再現している。
民族浄化が回り回って、現在進行形で行われている今こそ、忌まわしき過去を振り返えなければならないのだろう。
リンゴに隠された真実
ユダヤ系英国人である監督ジョナサン・グレイザーは、本作によるオスカー受賞スピーチの中でこう語った。「過去において誰が何をしたかではなく、むしろ私たちが今何をしているかに目を向けようという意図でこの映画を作りました。。人間性の喪失が最悪の事態に陥るものであること、それがこの映画を通して私たちが描こうとしたものです。ユダヤ人であること、そしてホロコーストの体験は、ハイジャックされてしまいました、多くの罪のない人々を巻き込む紛争を引き起こした占領によって。私たちは、今、それに反論するユダヤ人としてここに立っています。イスラエルでの10月7日の犠牲者であれ、進行中のガザ攻撃の犠牲者であれ、彼らはすべて、この人間性喪失の犠牲者です。私たちは、どうそれに向き合えばよいのでしょうか」
アカデミーのユダヤ人関係者から“反ユダヤ主義”との大批判を受けたらしいのである。アウシュヴィッツ収容所の司令官としてユダヤ人110万人を死に追いやった実在の人物ルドルフ・ヘスの家族が主人公。注目のドイツ人女優ザンドラ・ヒュラーはヘスの奥さん役で登場している。高い壁を隔てたお屋敷でなに不自由ない生活を送っているが、お隣の収容所からはユダヤ人たちの阿鼻叫喚が聞こえてくるし、収容者を毎日収容所に運んでくる汽車ぽっぽの煙だけが印象的に映し出されている。
リアリティ番組の隠しカメラを意識したというフレームワーク、収容者のために作業場にこっそりリンゴを埋めてあげる善行少女のシークエンスだけがなぜかネガ(白黒反転のモノクロ画像)で撮られている。ミカ・レヴィが担当したインストルメンタルも観客の不安をかきたてるには十分な効果を発揮しているが、何かが物足りない。実はナチス親衛隊だったギュンター・グラス原作の『ブリキの太鼓』に捧げられたオマージュも、あなたのハートにはさほど刺さらないであろう。
ガザや🇺🇦における民族紛争の影に隠れた“資源争奪”の真相を、グレイザーは多分ご存知なのだろう。知っていながらハッキリと突っ込んではいないもどかしさを、思わず感じてしまう1本なのだ。🇷🇺の🇺🇦侵攻の原因も、元はといえば🇩🇪と🇷🇺を直接海底でつなげたノードストローム2建設により、天然ガス利権から外された🇺🇦の逆恨みといわれている。そしてその🇷🇺の🇺🇦侵攻により、突如としてガザ近海における天然ガス油田開発封鎖を解いた🇮🇱の利権参入狙いの真実を、グレイザーは知っていながら敢えてネガで映し出した“リンゴ”の中に隠したのではないだろうか。
2つとも、環境への影響が少ない天然ガスを是が非でも欲しい🇩🇪やEUのために、どこの国がその利権に絡むのかをめぐって起きた戦争になのである。因みに先日ヘリ墜落によって大統領が亡くなった🇮🇷にも天然ガスが豊富に埋蔵されていることを、この機会に皆さん頭にいれておいた方がよいだろう。要するに、現代における戦争はすべて巨大マネーを生む資源争奪によって起こっているのであり、民族的対立はその隠れ蓑に利用される場合がほとんどなのである。
あえてグレイザーは、本作においてナチス親衛隊によるユダヤ人虐殺の模様を全く描かない演出法をとっている。ハンナ・アーレントが指摘した“悪の凡庸”よりもさらに醜悪な理由で、現在戦争を繰り広げているハゲタカたちの真の狙いはどこにあるのか。無報酬で働かせることができる労働力確保が目的だった時代は遠い昔に過ぎ去り、地中に埋まった“リンゴ=天然ガス”をどこが堀りあてEUに貢つぐのかで争っているのである。門外漢である我々日本人は、ルス一家のようにただ無関心でいるしかないのかもしれない。
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