劇場公開日 2024年5月24日

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関心領域のレビュー・感想・評価

全546件中、81~100件目を表示

5.0ジョナサン・グレイザーの決断

2025年1月8日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

ジョナサン・グレイザー監督は「関心領域」の準備から
完成までに10年間以上をかけたといいます。
マーティン・エイミスの原作は第三者を主役とした小説でした。
もちろんグレイザー監督は多くのインスピレーションを原作から受けて
土台になっているのでしょうが、具体的な人名・アウシュビッツ収容所の
所長のルドルフ・ヘスの名前と妻のヘートヴィヒの実名を使用したのは
グレイザー監督の英断でした。
これは大成功だったと思います。
特に妻の役を演じたサンドラ・ヒュラーのヘートーヴィヒは
何者にも変え難いリアルな人物像でした。
豚鼻声のシーン・・・普通の女優には出来ない描写です。

粗末な塀一つで隔てられたアウシュビッツのガス室や焼却装置のすぐ隣。
そこにヘートヴィヒの理想の家・・・ユートピアがあった。
バラやタリアなどの花を咲かせ、温室で野菜やハーブを育て、
プールではしゃぐ。
轟轟とした機械音に人体が焼かれる煙の匂い、そして時折聞こえる
銃声とユダヤ人の叫び声。
ヘートヴィヒは音にも匂いにも不感症だったのでしょうか?
遊びに来た実母は夜中に燃え盛る焼却炉の音や匂いに耐えきれず
ほうほうの体で逃げ出します。
朝食の皿を用意したメイドに、
「わざと当てつけで皿を並べたの?夫に言って灰にして撒いてしまうから、」
と、なんとも恐ろしい事をポロッと言うヘートヴィヒ。
夫のルドルフも妻のヘートヴイヒも子供も、みんながユダヤ人が毎日何千人も
殺されている事に、集団ヒステリー状態に侵された異常な精神状態
だったのでしょう。

★★★もう一つの印象的な場面。
画面が白黒になるシーンです。
ルドルフが子供に「ベルゼルとグレーテル」の童話を読み聞かせてると、
夜中に若い女の子が自転車を押して、アウシュビッツの敷地内に入り、
目立たぬようにりんごやジャガイモを隠していたのです。
その少女はルドルフ邸に住み込みで働くポーランド人のメイドのマルタ。
グレイザー監督は生前の90歳のマルタに面談して、マルタが実際にその時に
着ていた洋服を役者に着せたし、使った自転車もマルタの物・・・
という凝りようでした。
(正直な所、ユダヤ人の土木作業所だったのは言われてみれば分かるけど、
(土が掘られてデコボコぬかるんでいましたね、)
またマルタは缶の中に入っていたユダヤ人の詩や作曲した歌も
持ち帰っていました。
映画で読まれる詩・・・それがその時のものです。
2025年の現在。
イスラエルは大きな戦争をしていて、どうしても加害者側に見えてしまって
戸惑うのですが、
ヨーロッパ諸国では、ユダヤ人のホロコーストを防ぐのにもっと
本気で食い止めなかった・・・そう言う負い目がある、だから
イスラエルに強い事が言えない・・・
またイスラエルにすれば、今、芽を摘み取っておかなければ・
またしても被害者になってしまうのでは?
そういう恐怖もあり、ハマスに強硬姿勢を貫いているとの記事を
読みました。

この映画のテーマは、突き詰めれば、
2度と【ホロコースト】を起こしてはならない、
2度と【ジェノサイド】を起こしてはならない、
だと思います。

そして一番度肝を抜かれたのは最初の3~4分間、
そしてエンドクレジットに流される7分以上の不協和音。
阿鼻叫喚のようなうめき声、呪い声、悲鳴・・・
なんとも言いようの無い恐ろしい音。
この映画は観るものの覚悟を推し量る物差しでした。

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琥珀糖

3.0幸せそうな家族像の裏に

2025年1月4日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

淡々と描かれる幸せそうな家族像だが、
所々聞こえてくる非日常の音声、
日常のようで非日常的なセリフ、
当時がいかに日常が狂気と隣り合わせだったのか感じさせられる。

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上みちる

3.5アウシュヴィッツ訪問を思い出した。主人公の奥さんの関心領域が怖かった。

2025年1月2日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

怖い

興味深い作品だったが、終わり方にはやや拍子抜け。ドイツ人らしさ(時間に正確、清潔好き、家族愛に溢れ、犬が大好き、など)が表現されていて頷けるところが多かった。主だった出演者はほぼドイツ人だと思うが、よくこの作品に出る決意が出来たと思う。僕も大昔家族でアウシュヴィッツを訪問したことがあるが、その時のことを思い出した。主役であるヘスが誰もが知っているヘスと全く関係のない別の人物であるということは映画を観終わった後で知った。ナチスの上層部の関心領域はまあ想像通りだったが、ヘスの奥さんの偏った関心領域は実に恐ろしいと思った。

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Yohi

3.5独特な世界観

2024年12月16日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

知的

あの残酷な出来事のウラでこんな悠長な生活を快適に暮らしている主人公。不穏な音不穏な空気がその異常性を私達に伝える。こういう映画たまにはイイかも

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みほ

2.0わかりにくい

2024年12月15日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
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ガレ

4.0無関心の恐ろしさ

2024年12月9日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

怖い

知的

難しい

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近大

4.0関心領域というタイトルが、どうしても気になって観てしまった

2024年12月6日
PCから投稿

オープニングの不気味すぎる音楽から、野鳥がさえずりまくる《のどかな家族のピクニック風景》に変わっちゃう、台詞のやり取りによる展開もなく、わかりやすい説明もなく、意味ありげなエピソードだけが断続的に展開する、そうしたイメージの断片が無暗に想像力をかきたててくる、エンディングロールの不気味な音楽まで、あっという間だった(という気がする?)

ごくごく当たり前に幸せな家族の日常生活って大事だけど、無関心じゃいけないものってのも世の中にはあって、そうしたものがごく普通に並んでいる状況なんだよね、すぐ隣にとんでもない施設があるんだけど、ヘス一家にとっては、目に入っていないというか、気にもしていないようなんだよね、ヘス夫人ときたら、自然に囲まれていて子供たちにとっては最良の環境とさえ思っている節があるね、

で、その相反する二つのものが普通に並んでいて、ギリギリのところでシンクロしたりするシーンが、これでもかと繰り返されるところが怖いし、それが監督の意図だろうね、

こうした忘れてはいけない悲惨な歴史について、そのまんまのリアルでなく描ききっているところが凄いんだけど、もう最初にアウシュビッツの焼却炉の性能みたいな話を淡々としているとこでキツくなったわ、いい映画であり、戦争の理不尽さと不条理さをこれまでとはまったく違う方法で喚起させる役割は充分果たしている、本当に痛いとこをうまく突いているよね、

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クラウディア🫶

2.5久々の超難解作品

2024年12月2日
PCから投稿

家で見ると、音の迫力がないのもあって。
最初収容所の音だとよくわからず、ボリュームあげたほど。

見ている方の想像力が求められるし、設定がわかっていないと。
難しい気がする。

レントゲンっぽい撮影のシーンや、急に妻の母が帰ったシーン。
想像と合ってるのか??
などと、個人的にしっくりきませんでした。

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ゆき@おうちの中の人

3.0穏やかな生活

2024年12月1日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

怖い

アウシュビッツ収容所の外周に建てられた所長一家の平穏な生活を描いた作品。彼らの中ではユダヤ人はすでに人間ではない存在としてとらえられているがゆえの平穏。人権という理念が幻想と化せば、奴隷制さえ当たり前であった人類としては当然の感覚かもしれない。
ある意味怖い映画で、すでにホロコースト映画を飽きるほど見た人には新鮮かもしれませんが、やはり平穏な一家の様子だけでは映画として少し刺激が足りない感じでした。

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FormosaMyu

2.0スマホ一つで無惨な出来事を知れる現代への風刺画

2024年11月30日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

2024年劇場鑑賞61本目 凡作 40点

類を見ない意欲的な作品

故意に取り込むも、わざとらしく無い不穏な音や声、でも広がっている絵はそれを感じさせない豊かな暮らしを送る家族

壁を隔てた先には残酷非道な仕打ちがされていることを疑問にも思わない、無関心であり何も気にも留めない子供達の黄色い声がなんとも悍ましい

スマホ文化が生まれて早15年ほど経過しているが、日に日に便利になっていく一方だ

というのも、スマホ一つで近所も地方もまだ見ぬ世界のどこかでさえも、無惨な出来事をスクロール1つで知り得ることが出来てしまうこんな現代が、それをへぇ〜と消化して、当事者意識は無いにしても、まるで一つの映画を見終わった後に多くの人が感じる、エンタメを一つ消化した程度に過ぎ去ってしまう、そんな我々のこんにちを子供たちから感じた

そんな風刺画ともとれる今作を、もっと気づき受け取れる部分もあったに違いない、、、無念

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サスペンス西島

3.5怒りが込み上げたりとか、しませんでした、わたし。

2024年11月18日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
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chibirock

4.0環境が人間を変え怪物を生み出す。ある意味ホラー映画

2024年11月2日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

怖い

知的

難しい

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デッキブラシと飛行船

4.0胸に迫る音響。ずしりずしりと響く。流石アカデミー賞音響賞!

2024年10月26日
Androidアプリから投稿

ホラーの様にすごく恐かったです。グロいシーンが無いのに恐い。
戦争というものの本質を突いているというか…。平気になってしまうことが恐い。

音響、流石にアカデミー賞を取る筈です。素晴らしかったです。

600頁に及ぶ音響の為だけの脚本を元に構築された音響見事でした。シーンシーンに見事にマッチしてグイグイ心に迫ってくる。映画館で観て本当に良かったと思いました。

グロいシーンは全く無いのにちゃんと反戦映画として訴えかけてくる。世界のあちこちで戦争が起きててもいつの間にか無関心になって当たり前になってしまっている我々へのメッセージを受け取りました。

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snowwhite

4.5人間の醜さ

2024年10月20日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

怖い

知的

ずっと静かに恐ろしい。映像は美しいのに映し出されるのは人間の醜さでした。
ユダヤ人から奪った物を品定めするシーン、野蛮な民族扱いしている人のほうがよほど野蛮なことをしているということに気づかない狂気、なぜここまで人間性をなくすことができるのか、などと色々なことを考えてしまいました。隣で苦しんで死んでいく人がいることに対して思考停止しているのか、いないのか。
今後生きていく上で、他者への想像力だけは失ってはいけないなと思いました。怖かったけど、観れて良かったです。

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ぽんた

3.5派手ではないが

2024年10月14日
PCから投稿

派手ではなく終始落ち着いた感じですが、なんともいえない怖さを感じる映画。
音響が印象的。人と見る感じはしないですが、一人でじっくり見る分にはいいかも。

最後のシーンが印象的ですね

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ヌル

2.0セカンドオピニオンを

2024年9月19日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

怖い

単純

アウシュビッツ強制収容所の隣に住む、お偉い官ルドルフと家族の話。
作品の狙いにより、平穏な暮らしのほうに焦点をあてているため、テーマ性はよいのだが、映画としての退屈感は否めない。

良い点
・平穏さと不穏さ

悪い点
・コスト削減と思われても仕方がない

その他点
・やぶ医者の可能性

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猪古都

3.5こわい

2024年9月11日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

恐ろしく淡々とアップダウンもない映像なもんで、うっかり眠くなってしまった。
自宅の一枚壁の隣で、大量虐殺が行われてるというのに。
こういう感覚麻痺がこの家族には蔓延している、こわい。

でも確実に子供には、悪影響を及ぼしてる。
なのに、奥さんはそこを離れようとしない。
実母でさえ、すぐに離れたのに。
その時その時の時勢によって、正義や感覚は揺らぐ。
人はなんて弱い生き物なのだろうか。

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soleil

4.5「ナチスの残虐行為の断罪」ではない

2024年9月8日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

知的

 この映画の核心にあるテーマは、我々の「関心領域」と「無関心領域」の対比だ。舞台となるアウシュヴィッツ収容所の隣にある豪邸は、実際には家族にとって壮絶な現実から切り離された場所だ。ヘートヴィヒと彼女の家族は、ナチス体制によって与えられた豪華な生活に浸りながら、収容所での恐怖や苦しみを「関心領域」として扱っていない。この態度は、現代における私たちの無関心にも通じるものがある。

 この映画は、単にナチスの残虐行為やその恩恵に浴した人々を断罪するものではなく、我々の「無関心」を批判している。戦争や人道的危機、気候変動といった地球規模の問題に対して、私たちは知識を持っていても、それが日常生活に直接影響を与えない限り、行動を起こすことは少ない。この「無関心領域」の存在が、映画を通して浮き彫りにされ、我々の社会的・倫理的責任を問いかけている。

 「ホロコーストを知っている」ことが重要ではなく、我々が自身の「無関心」を直視し、世界の問題に対する意識を持ち行動することの必要性を訴えている。そのように思えてならない。

 全文はブログ「地政学への知性」でご覧ください。

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ブログ「地政学への知性」

3.5ドキュメンタリーホラー

2024年9月8日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

怖い

見たくないものは見ないという、習慣。
慣れ。

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あ

現在の関心領域

2024年8月27日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 アウシュヴィッツの絶滅収容所から塀一枚隔てた豪奢な家で穏やかに暮らすルドルフ・ヘス所長一家の日常を淡々と描いた皮肉で恐ろしいホーム・ドラマです。収容所で起きている事は全く描かれず、収容者の姿すら殆ど見られません。ただ、塀の向こうに見える煙突からは止むことなく煙が立ち上り、銃声や人の悲鳴と思える「音」が微かに聞こえるだけなのです。家に集まるドイツ婦人らは、収容ユダヤ人から巻き上げたドレスや宝飾の品定めに余念がありません。

 収容者の中から選んだのであろうユダヤ人家政婦に対し「夫があなたを灰にして辺りに撒き散らすから」と冷静に言ってのける夫人の穏やかな暮らしの直ぐ隣で進んでいる現実に対する想像力を観る者は試されます。安易な手持ちカメラは用いず、構図を決めた固定カメラの映像が冷ややかな美しさを湛えます。2月頃、本作の上映情報が出た時、「『関心領域』なんて日本語として座りの悪いタイトルだなぁ」と思ったのですが、今となってみればこれ以上にない選択に思えます。

 本作を観ていると、文字通りの塀で閉鎖され「天井のない監獄」と称されるガザで進行中の現実を嫌でも連想するのですが、現ドイツ政府は完全にイスラエル側に立ち、パレスチナ問題を塀の向こうの「関心領域外」としている事を一体どうとらえたらよいのでしょう。

 この映画を観て重い心を引きずったまま市の図書館に寄ったところ、本作の主人公のひとりでもあるルドルフ・ヘスが書き残した『アウシュヴィッツ収容所』を見つけました。彼が戦後に本を書いていたなんて知らなかったので、早速読み始めました。でも、「なぜ彼は?」を知ろうとしても、アイヒマンの場合と同様に凡庸な答えしか得られないのだろうな。

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