「強制収容所所長の日常」関心領域 ジョイ☮ JOY86式。さんの映画レビュー(感想・評価)
強制収容所所長の日常
こう聞くとゾッとするかもしれないが。
"彼"とその家族の目線から見ると、実に平和な日常が広がっていた。
ホロコーストを実行していたのは残虐な殺人鬼でもなければ悪魔でもない。
紛れもない人間。
それも我々と何一つ変わりない普通の人間だと言うことが分かる。
逆に言えば誰でも加害者にでも被害者にでもなりうるという事。
そして人々の無関心がそれを助長しうると言う事。
この普遍的事実をセリフや映像ではなく"音"で突きつけてくるアプローチは実に新鮮だった。
これはかつて被害者であったユダヤ人達が、今や虐殺する側になった現代にも非常に重なるものがある。
正直な所、映画としては実に退屈だ。
眠気を誘うシーンばかり。
しかしその"無関心"こそ危険だと言う事に後から振り返り気づくとゾッとするのだ。
決して面白い映画ではない。
でもこういった映画も必要なのだと思う。
無関心でいる人々に関心を持たせる為に。
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