劇場公開日 2024年5月24日

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「音の映画。憎たらしいママが香ばしい。」関心領域 ソビエト蓮舫さんの映画レビュー(感想・評価)

2.5音の映画。憎たらしいママが香ばしい。

2025年3月28日
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鑑賞方法:VOD

怖い

強制収容所と壁一つ隔てた所に住むヘス一家のお話。
一家団欒。みんな仲良し。

キャハハハと笑いながら遊ぶ、子供たち。
ヽ(゚∀゚)ノ ヽ(゚∀゚)ノ

ガーデニングに命賭けてる、ママ。
( ・`ω・´)

家族や使用人たちにいい暮らしさせてご満悦の、パパ。
( ゚Д゚)y┛~~

幸せだなあ。
でもなんだかなあ、
この家族、この家、何か変、、、
|д゚)チラッ

別に間宮祥太朗や佐藤二朗が出てくるような「変な家」ってわけではない。

それにしてもこの家の庭園、手入れが行き届いて、キレイだなあ。ルンルンルン♪
ふーん。
ふう、、、

ん?
あっ?
んあっ?
しーーっ!!!

なーんか、変な音がする、、、
なにこの音。耳障りだなあ。

ブォンブォンブォン、、、
ィーーーッッ
パーーン!
キェェェ!
ブワッブワッパチッブワッ、、、
なんやこれ、、、
((((;゚Д゚))))
というお話。

目で見えるのは、ヘス一家の庭から、家の窓から見える、有刺鉄線が張られた壁の向こうの収容所の建物だけ。
四六時中煙がモクモク。朝も昼も夜もモクモク。ひたすらモクモク。

この映画は「音の映画」だ。収容所の様子は何一つ見えないし、見せようともしない。ただ、なんとなーく、うっすら、微かに聞こえる音。
観客はそんな音の情報を、全集中で拾おうとするのだけれど、
映像に出てくるヘス一家の家族構成員たちは、誰一人関心を向けていない。

唯一関心を持っていたのは、遠方からこの家を尋ねてきた、おばあちゃん。
でも、関心強めだったせいか、眠れず、音の意味も感づいてしまったのか、
お泊り予定がコッソリ日帰り変更し即退場。バイバイ、おばあちゃん。

ほんとコイツら無関心だな。ちっ。シラケ世代とでも名付けようかと思案してたが、
よ〜く観察してたら、ヘス一家の人々も、何かおかしい。
ベビーシッターは泣き叫ぶ赤ん坊を横目に、浴びるように酒を飲みまくるし、使用人の女はずっと下向いてるし、子供も5人のうち1人は寝られなくて物置部屋に閉じこもるし、何人かは心を病んでる兆候が見られる。

気づいてないフリをしてるだけなんだなあ。

一番鈍感なのが、ママ。
面白いなあ、ママ。憎たらしいママが香ばしい。
毛皮のコートを自慢げに見せびらかしてるが、それさあ、ユダヤ人のだよなあ。
「泥棒」ママのくせに恥を恥とも思わない奴は、控えめに言って「ホームラン級のクズ」だよん。

ガーデニング庭園への執着心は誰よりも強く、旦那の転勤決まってもあの家に固執するし、
使用人に八つ当たりするし、
しかもスネ夫みたいな「ジャイアンに言いつけるぞ」スタイルで「主人に言いつけるぞ」で性格悪いし、何よりおかしいのが、こんな狂った環境の家に子供が生活することを「良いこと」と認識してる。

このママもとい、ババアと比較したら「縞模様のパジャマの少年」のママなんかは、
もはや天使か妖精に見えてくるね。

でも、ママ役のちょっとキツイ目つきのドイツ系?のママ、
顔だけなら、アリだな。
なんか「トゥルーマン・ショー」の奥様にも似てるし、あの顔はいいなあ。

音の映画としては不気味で良い。良いけれども、特別な事が起こるわけではないし、展開なくてダルくて眠い作品。
意識高い系戦争映画って感じのダルさ。好き嫌い分かれそうなタイプの作品だなと思った。

ソビエト蓮舫
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