「環境が人間を変え怪物を生み出す。ある意味ホラー映画」関心領域 デッキブラシと飛行船さんの映画レビュー(感想・評価)
環境が人間を変え怪物を生み出す。ある意味ホラー映画
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ユダヤ人から奪った衣服を身につけ、口紅も平気で口に塗る。
なのに収容所で焼却した遺骨が流れ出た川にうっかり浸かってしまったら、慌てて全身を洗ってうがいをし、バスタブまで念入りに掃除する。
そこにはまるで祟りを恐れるかのような罪悪感の現れがある。
無関心なのではなく、潜在的に罪の意識が蓄積している。
収容所長官は数をこなす事に異常に執着していて几帳面。サラリーマンだったら地味にいい仕事をしそう。
その妻は収容されたユダヤ人の家財を奪う話をしながら、子供達に食べさせる家庭菜園を大事に育てている。
戦争がなければ、多分普通の善人だった人達。
だが、社会の変化に合わせて人間も変わる。収容所長官に人事異動の話が出た時、その妻は「ここは子供達にとって最高の環境、ここが私達の家」と叫んで全力で抵抗する。
このシーンには恐れ入った。潜在的な罪悪感を欲望が完全に押し潰している。
24時間焼却炉の轟音が鳴り響いていて、客観的には地獄でしかないのに、この夫婦にとってはパラダイス。背筋が凍るシーンだった。
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