「アウシュビッツ収容所の隣で幸せに暮らす家族がいた」関心領域 23さんの映画レビュー(感想・評価)
アウシュビッツ収容所の隣で幸せに暮らす家族がいた
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人の背ほどの壁一枚を隔てて収容所の隣に暮らす家族。
広い家に家族や使用人、豪勢な庭や温室まで揃う一見理想的な暮らしをしている。
そこに暮らす全員が無関心でいるようで、収容所から受ける潜在的な影響が少しずつ見えてくる。
子供たちはスタンフォード監獄実験を思わせる描写が描かれ、妻の母親は(恐らく)異様な雰囲気に耐えられず手紙を置いて去る。
幸せに見える妻も執着と二面性が垣間見え、夫は着々と心を閉ざす。
映像が途切れても音声が続いたり、響くような音が漏れ出して消えるような演出が印象的。
視覚的に遮られても確かに届くその音に、作中の人物や観客の関心はどれほど作用するのか。
現代の収容所は観光地となり、淡々と清掃を行う姿が映される。
時を隔ててもその領域は確かにそこにある。
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