「斬新な手法でアウシュビッツでの地獄を浮き彫りに」関心領域 ボブさんの映画レビュー(感想・評価)
斬新な手法でアウシュビッツでの地獄を浮き彫りに
冒頭のクレジットから異様なインパクトだ。暗闇と叫びにも似たサウンド。アウシュビッツ強制収容所の隣で暮らすナチス一家。美しい邸宅だが昼夜関係なくすごい「音」が聞こえてくる。悲鳴、怒声、重機の音、銃声。塀のなかは映し出されないが私たちはそこでの地獄を知っている。だからこの「音」から中の出来事が想像できてしまう。平然と暮らす一家とこの「音」の対比がすさまじい。それがずっと続く。そのうち自分も塀の中の地獄を無視しているかのような錯覚になる。示唆的な演出が秀逸。人間性の崩壊。あらためてナチスによる暴挙が浮き彫りにされる。緊張しっぱなしのニ時間。この恐怖のサウンドは映画館でないと伝わらない。忘れることができない圧倒的な映画だった。
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