劇場公開日 2024年5月24日

「彼はルドルフ・ヘースでありヘスではない」関心領域 きーろさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5彼はルドルフ・ヘースでありヘスではない

2024年5月28日
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ナチスの優生思想そのままのアウシュビッツで暮らすエリート将校とその妻と子供達との平和で豊かな暮らしのすぐ隣で日常的に繰り広げられる虐殺。

ヨーロッパの人たちは、そもそもが血塗られてるから自分たち以外の国は奪って犯して殺す。奴らに根こそぎ葬られた民族なんて沢山ありすぎて数えきれないし、原始時代そのままのアイデンティティで近世から現代まで来ちゃってるから表向き文明的に見えても中身は野蛮人で遺伝子レベルの差別主義者。そんなイギリスとアメリカが中心となって謀略と戦争で支えてきたこの仕組みは今現在も続いてるし平和になる気配すらないのも頷けるよね。

強制収容所で亡くなったとされる600万人(!)は単なる数字ではなく、ひとつひとつの大切な命なのにそれをイメージさせるのは機関車の音と叫び声と煙突から上がり続ける煙だけだし、挙げ句の果てに会議では悪びれる様子もなくこれから人数が増えるから気張って行けやお前ら的なセリフもあるしで、さすが人を人と思わない人達のやることは見てて意味分かんないから本当に恐ろしい。実際東京大空襲だって原爆だって沖縄戦だって全てジェノサイドだし仕掛けられた側としては欧米人の自分たち以外の幸せは我々の不幸だから全部奪うし所詮犬以下だから無関心のままで居られるし自分たちのことにしか関心がないんですよ精神には甚だ呆れちゃうわよね。主人公が犬を可愛がるシーンを時々挟んで来るのはそういう意図なんだろうな。

とは言え観てるあなたもこの映画観てて眠くなるでしょ、人々がわかり合って平和な世界を作ることに対する興味の持続って本当に大変なんだぜ、平和大事!ナチスひどい!戦争反対!ってその時だけ思っても持続していくのは大変なんだぜって言われてる気がして思考が止まってしまった。

果たして人間は本当に平等で平和な世界など作ることができるのだろうか?って考える人を増やすための映画であり、アウシュビッツはテーマでしかないのだろうって思った。

ところでユダヤ人ってユダヤ教信者ってだけで明確な民族的な特徴ってないんだよね…外見じゃなく信仰で分けられる感じも日本人にはさっぱりわかんないよね。

ちなみにデデデも同じテーマなのは興味深い。

きーろ