「解釈が難しい」首 洋平太さんの映画レビュー(感想・評価)
解釈が難しい
クリックして本文を読む
正直言って解釈の難しい作品です。率直な感想は救いがないというものでした。この時代、敵方の大将格の首をあげることが立身出世のいちばんの近道であったというのは分かる。作品では、皆が皆、敵と見做した人物の首をあげるためにあるいは生き延びるために血眼になり、謀略、裏切り、替え玉等々何でもありの醜い首取り合戦の様相を描いていた。三英傑として今も崇められる信長、秀吉、家康もそれぞれの個性を存分に発揮しつつ、どうしようもない利己的な人物として描かれていた。一方、武将たちの悪どさに比べ、彼らに仕える忍びの者たちが主君のために懸命に戦う姿は凛々しく描かれていた。ここまで書いてきて思ったのは、この映画はまさしく戦国版アウトレイジである。アウトレイジも親分たちのどうしようもなさに比べ、手下の者たちの潔さ、献身ぶりを描いていたが、いつの時代も偉い奴らはどうしようもないということを描きたかったのか・・・。首がこれでもかと刎ねられるシーンは北野監督お得意のリアリティを感じたが、信長、光秀、村重の男色三角関係のもつれという新(珍)解釈は果たして必要だったのだろうか?
コメントする