「理性の解放」首 Raspberryさんの映画レビュー(感想・評価)
理性の解放
激しくも劇的きわまりない戦国時代。首狩り族の本能こそ神におもねらない人間の本性。
欲望のままに刀を振るい、首(死)をサッカーボールのように弄び、愛欲の束縛を解放し快楽をむさぼる行為は、脳髄に刺激を加え、理性を解放し、既成概念を破る知的な行為。逆に言えば、知的な行為としての実感がなければ、快楽にもなりえない。たけしの笑いの真髄だ。
本作はたんなるコント映画、好色映画ではなく、一般化された道徳や既成概念では表現できない"人間の真実"を伝えうる物語。
船上の荒川良々に「早く死ねよ!」とか、ラストの終わり方が最高。
たけしの秀吉がすごく良かった。愚者を演じながら、戦後の翌年に足立区で生まれたたけし自身を重ねているようで、何とも言えずチャーミングで面白かった。
そして、テレビ王になって軍団を引き連れるたけしは加瀬亮の信長そのものでヒリヒリした。弥助に首をはねられて終わりゃウケるわな。
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