「枯れた北野映画Reprise」首 BDさんの映画レビュー(感想・評価)
枯れた北野映画Reprise
20代の頃、北野映画をよく見ました。いちばんはソナチネでしたかね。権力と陰謀。静寂と暴力。死への憧憬に近い執着。溢れ出んばかりの作家性には憧れました。
アウトレイジ以後は、「うまく枯れた」印象があります。持ち味である暴力やねちっこい関係性の描き方を生かしながら、エンターテイメントの文脈にそれを載せ、過剰にシリアス・アーティスティックな描写を控えて、当代の売れっ子役者によるきらびやかな「悪人ショー」に仕立てたのは2000年代以降の北野映画の一つの発明だったかなと思います。
本作も基本的にはそうで、短絡的な言葉ですが、シンプルな話アウトレイジ戦国編でしょう笑 心なしか、火縄銃の射撃音がヤ⚪︎ザの拳銃と同じだったような。
会話劇のすぐ隣に殺戮が転がっていること。偉い人たちがみんな人間関係に翻弄されめんどくさそうな顔ばっかりしていること。皮肉と間を活用した、乾いたユーモア。北野映画ですね〜。そしてオチは「こんなげーむにまじになっちゃってどうすんの」のオマージュを思わせますね笑 なんやねん!という下らないラスト。堪能しました。
この映画は男色もポイントの一つですが、男の濡れ場をやるのは3-4×10月以来かな?そんなに美しい描き方してないのがいいんですよね。生々しくて、欲望!って感じで。
すごく差し迫った表現を感じたわけでもないですし、エンタメとして、とんでもないクオリティ!ってわけではないとも思います。でも、なんか役者も楽しそうですし、こういうエンタメ映画定期的に出してほしいですけどね。ワガママですが。