劇場公開日 2023年11月23日

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「俺、妬くぞ…」首 機動戦士・チャングムさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0俺、妬くぞ…

2023年12月6日
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 殿の真意は分かりかねますが、この映画、全てのサラリーマンに捧げる映画に思えてなりません。出世を夢見て激走する人々に、元気と勇気と現実を届けようとしているような…。あんたは、何の為に頑張った?。その見返りに、満足できた?。納得できないなら、どうするの?。
 生活を守るため、家族を護るため、何かを犠牲にしたことがある方なら、思いあたる節があると思います。
 歴史に興味があれば、登場人物の行く末は、すでに分かっています。でも、当の本人は、手探りで自分の行く末を切り拓くしかない。しかも、その結果は誰にも分からない。でも、それって、今を生きる私達だって同じだよね。この映画は、単なる時代劇なのか、それとも今を生きる私達へのメッセージなのか?。仮に本作が、殿からのメッセージだとしたら、皆様は、どう応える覚悟ですか?。
 お笑いにせよ、映画にせよ、売れるか売れないかだけが、価値基準で生き抜いた殿。幾つもの首が転がっている世界を渡り歩いてきた殿。殿曰く、リアルな乱世を描きたかったそうですが、殿からしてみれば、乱世は歴史の出来事ではなく、今この瞬間こそが乱世なのかも。

 君ら、死ぬ気で仕事したことあるの?。

 殿の目が、そう言っていたような…。
 こういう作品を仕上げる殿に、妬いてしまいそうです。
 最近、殿に関するニュースは、ネガティブな報せが多い気がします。事務所のこととか、映画創ったけど、配給会社が見つからなかったとか。
 以前、志村けんが言ってました。自分の生涯を24時間に変換すると、今、何時何分なのか自覚できるかどうかで、ヒトの行動は変わるそうです。殿、自分のやりたい仕事、やらなきゃならない仕事、そうでもない仕事、選ぶ時が来ているって、随分前に話していました。結果、世間が求めるビートたけしと、殿が選んだ北野武に、何やら溝のようなものを感じますが、自分に嘘をついて笑っているくらいなら、松永久秀が如く、自分らしく自爆するほうが殿らしくて、素敵かな。
 狂っているのは殿なのか、世間なのか、どっちかな?。
 そんな、殿の生き方って…。

 私、妬くよ…。

機動戦士・チャングム