「北野監督の狂気とエログロ・ゲロ」首 浅見探偵さんの映画レビュー(感想・評価)
北野監督の狂気とエログロ・ゲロ
公開されてから、世の評判はあまりよくなかったので、さほど期待せずに行ったせいか、まあまあ寝落ちせずに最後まで観られた。
でも面白かったかといわれると、「金返せ」というレベルではないながら、木村拓哉の「レジバタ」よりは少しマシだったという程度かなあ。私の評価は★3.4。戦国映画ではなく、コメディとして観た方がよいかもね。そんなに笑いは取れてなかったけど(笑)。
本能寺の変の新解釈はまあいいとして、男色や首切りのシーンの連続は芸術と言うより、単なるは悪趣味というか、監督自体の精神性のアンバランスしか感じなかった。信長や戦国武将の男色は事実だし、この手のことを描くのは、いまどき流行の、ダイバシティーっちゃあ、ダイバシティーなんだろうかね。それともタケシの単なる趣味か。過去作の北野武監督作品は座頭市以外は観てないので、知らんけど。
ただ、私には、北野武が生きて来た芸能界の性癖と主従関係が倒錯した人間模様を、戦国武将版として写し絵にしただけのように思えた。
それと、加瀬亮が演じた信長は全部が胸クセ悪かったし、品のない、しかも背丈の足らない信長役はオーラをひとかけらも感じなかった。劇中の所作はほとんど精神病みにしか見えない。天下布武はほど遠くて、これでなんで、人がついていくのだろうか。そんなわけないよね・・というのが正直な感想。全役の中で一番のミスキャストだ。
ただ、北野監督はそういう狂気とエログロ・ゲロを描きたかったのだろう。なので北野監督にとっては、本作は加瀬亮以外あり得ないのかもしれない。私は服部半蔵役の桐谷健太の方が今回の配役陣の中では一番信長役に合っていたように思うのだが・・・(大河でもやった経験もあるし)。桐谷健太の狂気なら、面白かったかもねえ。あとの役者は可もなく不可もなし。みんなそこそこだった。ま、タケシの秀吉役は歳を取り過ぎだわ。タケシも老いたねえ。
もともと、映画って身銭切って自分の中身をさらけ出して観たい人に叩きつける芸術だと言うこと。まあどう受け取ろうと、そっちの勝手だけど、貶すにしてもパンチないね。桐谷健太が信長?それこそ手垢ベタベタのキャスティングwwww