「加瀬亮の信長が新しい」首 青空ぷらすさんの映画レビュー(感想・評価)
加瀬亮の信長が新しい
映画館で鑑賞。
あまり事前情報を入れないように観に行ったので、実際みたら中々ビックリな内容だった。
「戦国アウトレイジ」かと思ったら全然違うじゃんっていう。
一方で映像的には、邦画では久しぶりの大型時代劇でもあり、黒澤明のカウンターではないけど黒澤明の時代劇の北野武流パロディという印象。
これは座頭市の時もそうで、当時多くの人が共通認識として持っていた「勝新の座頭市」をパロディにしているわけだけど、たけしさん自体、時代劇、座頭市の本質的な部分を理解・リスペクトした上で脱構築してるからこそ「たけしオリジナル」として成立してるんだと思う。
劇中では、加瀬亮演じる織田信長がとても良くて、これまでのある種カリスマヒーローとしての信長ではなく、方言丸出しでがなり散らす、身も蓋もなさが新しいと思ったし、これが他の作品だったらいくらなんでもオーバーアクトになっちゃうけど、本作の織田信長に関しては、あれくらいのオーバーアクト具合が絶妙にいいと思った。
で、そんな戦国武将たちのすったもんだを、一歩引いたところから茶化す秀吉、黒田官兵衛、秀長の3バカは現代語で話してるんだけど、そこに違和感がないのは、この3人は観客代表としてこの群像劇を批評的に見る役柄だからだと思う。
多分首が斬られるシーンや生首の数は歴代時代劇最多だと思うし、不謹慎だけど笑えるシーンも多いので劇場で観て損はしないと思う。
成る程、「一歩引いたところから茶化す秀吉、黒田官兵衛、秀長の3人は観客代表としてこの群像劇を批評的に見る役柄」なんですね。大いに納得いたしまし、大変勉強にもなりました。有難うございます。