劇場公開日 2023年11月23日

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「奇抜な時代劇」首 LCさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0奇抜な時代劇

2023年11月23日
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鑑賞方法:映画館

笑える

楽しい

興奮

映画化が発表されてから原作小説を購入して読み、期待して待っていました。
予告編を観て、原作とだいぶ違う作りになったのかなと思いましたが予想通りでした。
原作では、木村祐一氏が演じた曽呂利新左衛門の視点がメインとなっていますが、映画では豪華キャスティングを活かすための群像劇に拡がっています。
ただその弊害として、キャラクターの導入や関係性が一部分かりにくかったり、テンポが遅れていると感じた部分がありました。
原作を読んでいた身からするとこの人物はこうだったと分かりますが、初見の方は少々理解が忙しい点もあったのではと思います。

『首』のタイトル通り、人の首がポンポン飛んで命の価値も消耗品程度に成り下がっています。
暴力描写がかなり過剰になっていて、かえって滑稽になって笑えます。
事前のキャストのインタビューや映画紹介にもあるように、秀吉一派のやり取りがコントのようで笑えます。
一方で狂気の権化のような信長は危うさがあり、彼が家来に向かって話している時はその一存で誰か殺されてしまうのではないかという緊張感に満ちています。
また要所要所に挟まれる合戦や戦闘のシーンは躍動感もあり、これらの対比、バランスが絶妙だと思いました。
全てのキャラクターの見せ場があり、信長を演じる加瀬亮氏、茂助を演じる中村獅童氏、新左衛門を演じる木村祐一氏の三名の存在感が印象に残りましたが、特に加瀬亮氏は凄まじいものを見せてくれました。
間違いなくあらゆる映画賞を授賞すると思いますし、新境地だと思います。
アウトレイジと同じく、ほぼ全ての登場人物が何かしらを狙っている悪人で、結末は分かっているもののラストがどう描かれるのか引き込まれる楽しさがありました。
残酷描写に溢れていますが、原作のほうが残酷に描かれているので気になった方は是非お読みください。

LC