劇場公開日 2023年10月27日

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「とても必要なこと」こいびとのみつけかた shironさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0とても必要なこと

2023年10月24日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:試写会

『まともじゃないのは君もいっしょ』は私にとって御守りにして常に持ち歩きたい映画です。
いろんな存在がいることで世界は絶妙なバランスを保っている。
誰もがそのまま世界の一部であって、この世に居なくても良い存在なんて1人もいない…そんな風に思わせてくれる映画でした。
なので、前田弘二監督×高田亮さん脚本コンビの新作『こいびとのみつけかた』にも相当期待していましたが
まさかここまでパンチの効いた内容だったとは!!
舞台挨拶で監督が「いま撮らなきゃダメだな」と思って「どうしても撮りたい」とプロデューサーに頭を下げた。とおっしゃってましたが、
理不尽なことがいっぱいの世の中で、それでも生きていく為に必要なことが詰まった映画でした。

白雪姫と7人の小人ならぬ、7人のおっさんが最高!
いつもワチャワチャ賑やかで、笑い合ったり喧嘩したり。
決して自分たちも楽ではないだろうに、絶妙な距離感でトワを見守っている。
このご近所コミュニティがトワのシェルターであり、社会との接点でもある。
河屋秀俊さんがいるだけで『れいこいるか』の下町の雰囲気を彷彿とさせる。
前田組常連の宇野祥平さんも嬉しい。

誰しも生きるのがしんどいことがある。
故キャリー・フィッシャーの言葉「ブロークン・ハート(傷ついた心)を持って、それをアートに変えていこう」
歌う、踊る、書く(描く)、作る、などの自己表現は、自分自身と向き合い、心を開放してくれる。
現実とのバランスを取る為に、創作が必要不可欠な人もいる。
逆に、しばし現実逃避する時間を持つことで社会と折り合いをつける人もいるだろう。(映画鑑賞とかも)
表現する人がいて、それを受け止める人がいて、お互いを救い合っている。
クライマックスの心の交流が、とてもとても素敵でした。

「好きな人がいる」も生きていくうえでとても大事なこと。
どうしようもなく人を好きになる気持ちは止められないし、それ自体は決して罪ではない。その気持ちが生きる糧となり、世界が色づく。
「男」だとか「女」だとか、「夫婦」だとか「友達」だとかでカテゴリー分けすることなく“恋しいと思う人”と過ごす大切な時間。
うわべだけで騒ぎ立てるSNSやメディアのあり方にも一石を投じる映画だと感じました。
ゆる〜く可愛いけど骨太!

shiron