アステロイド・シティのレビュー・感想・評価
全222件中、21~40件目を表示
映画というコンテンツは現実を伝えるためのメッセージなのだとわかる素敵な作品。
これはよかった。
本作は製作費35 億円、興行収入76 億円。ウェス・アンダーソン作品としては「グランド・ブダペスト・ホテル」(2014年)の276億円に次ぐ2番目の興行収入だそうだ。「グランド・ブダペスト・ホテル」は10年前の作品なので、その間に売り上げが積み上げられている可能性もある。そして、「グランド・ブダペスト・ホテル」は、展開が早く、なにも考えずに観ていても楽しかった。本作はなにも考えずに観ているとよくわからないと思う。そういう要素も興行収入の差につながっているのだろう。
ウェス・アンダーソンらしい画面作りはいつも通りだが、ストーリーは比較的淡々と進む。いろいろな出来事はあるのだが、起伏が少ない。
ただし、構造的にとても凝っていておもしろい。
大量の小ネタが盛り込んであり、映画やアメリカの歴史に詳しい人でないと全部はわからないと思う。
こう書くと、自分は理解できたかのように聞こえるかもしれないが、一部しか理解できなかったという意味だ。
その前提で話を続けると、構造的には下記のようになる。
・コンラッド・アープという劇作家が、新作劇「アステロイド・シティ」を作り上げていく創作過程を舞台裏から見ていく、というテレビ番組。これはモノクロ。
・その新作劇「アステロイド・シティ」の世界(1955年9月金曜の朝7時からはじまる)。これはカラー。
もう少し細かく書くと下記のようになる。
映画という虚構(①)の中で、コンラッド・アープという虚構の劇作家が作り上げた(②)、アステロイドシティという虚構の街(③)で起こる物語を描く。そこにいる人物は、カメラマンであったり笑わない喜劇女優だったりする。彼らはフィクション(④)を作り上げる人物だ。ありえないできごとがたくさん起こるが、フィクションだから良い。
というわけで、自分が発見できただけでも、少なくとも4段階の虚構が入れ子になっている。
1950年代のアメリカは豊かだった。
ただし、ネバダ核実験場では核実験が繰り返されており、55年はティーポット作戦というもので、2月から5月の間に14回行われている。本作でもその描写がある。
1945年に第二次世界大戦が終わって10年経っていたが、兵器の開発が終わるわけではない。それは今でも同じだ。
「オッペンハイマー」(2023年)、「デューン 砂の惑星 PART2」(2024年)のいずれも、核を描いている。ちなみに本作の「アステロイド・シティ」という町は作り物感があって、「マンハッタン計画」のために作られた「トリニティ実験場」も作られた町であることを思い出させた。
現代のアメリカにおいて核戦争への危機感というものは高まっているのだろうか。
いくつもの虚構を重ねていく構造はクリストファー・ノーランの「インセプション」(2010年)と類似しているが、本作はむしろ虚構の中に現実を認識する効果があるのだというメッセージがある。それは作中に出てくる「眠らなければ、目覚めることができない。」というセリフに象徴されている。
眠るということは夢を見るということだ。フロイトの精神分析によれば、夢で起こる出来事は現実の影響を受けている。夢を解釈することで現実を知ることができる。また、睡眠の次には目覚めるという行為がある。目覚めるというのは、肉体的な目覚めだけでなく、現実に気づくという目覚めという意味もある。
「眠らなければ、目覚めることができない。」というセリフには、映画というメディアが、人々の目覚めを促すことができるのだというメッセージがこめられているのだろう。
おもしろいのは、サム・メンデス「エンパイア・オブ・ライト」(2022年)、スピルバーグ「フェイブルマンズ」(2022年)など、同時期に「映画についての映画」がいくつも作られているということだ。
コロナにより映画産業はダメージを受けた。時代としても「分断」がキーワードになるなど、ネガティブな空気が世界を覆っていた。だからこそ映画という媒体の在り方を見直す流れがあったのではないだろうか。本作もその中の一つであり、映画ファンにも訴えかけるものがあったのだろう。
うむ…ちょっと振り切り過ぎか…
どこで感動すればいいの?
1度観ただけでは理解しがたい。
かといって2度見たいとは思わない。
この監督が好きな人や、
演劇や演劇作りに興味がある人だけが何度も見ればいい。
意味深長? いいえ意味不明!
いちいち説明を読まないと楽しめない映画なんて、私にはつまらない。説明を読んでも私には感動のかけらも見つからない。
絵画でいうところのキュビズムに似ている。
あの世界的に有名な絵画を「これこそ芸術だ」と、格好つけて(?)インテリぶって説明する人……。彼等には嫌悪感しか湧いてこない。彼等とは異なる次元、異なる世界で私は生きているのだろう。
この映画を素晴らしいと評価したい人はすればいいと思う。ただそれだけ。
映画であれ、絵画であれ、予備知識なし、説明なしで感動出来るもの。それが私にとっての良い映画であり、素敵な絵画である。
溢れる涙をこらえることの出来ない映画に出逢いたい。心揺さぶる映画こそ繰り返し見たい。人生は短いのだから。
ひたすら見辛い
ウェス・アンダーソンの世界
色彩豊かで芸術的
結構好き
夢もまた現実の一つなのだ。それは夜眠りの中で見るものであろうがなかろうが・・・
砂漠の中に作られたセット。とても現実に存在するはずもない街。そこが舞台。映画のセットであることは明白だ。普通であればいかにも存在するで街を作って映画は成立するのか?
と、思ってしまう。が、しかしこの映画は全く逆を行ってしまっている。そこがなんとも言えず面白く興味を引く。どこまでも棒読みにしか聞こえないセリフ。天才児童たちの率直な有毒な言葉。円盤から降り立つ宇宙人。1955年という時代設定。どこまでいっても噓でかためられた映画。逆説こそリアル。ホンモノを突き詰めたがために生じた現象なんだろう。夢もまた現実なのだ。多様性の時代をいきるためには多様性の意味を知ることが大事。しかし、ちょっと息苦しくなるのはどうしたことなのだろうか・・・・僕にはちょっとしんどいコメディであまり笑えたものじゃなかった。
映像はかっこいい。ストーリーは??
映像だけ見てると、すごくいい。今、優れた作品を鑑賞しているって
気分にひたれたりするのですが、なにぶん、ストーリーがね。
わけわからない。まったくついていけないで、苦痛でした。
おそらく、ストーリーを追いかける映画ではないのでしょうね。
何度か見れば理解できるのかもしれないけど、私には耐えられないので
もう見ません(笑)。
タランティーノかと思った。
え〜、面白さが判らん?!
北条時行
何これ?
砂漠の町に宇宙人到来というからSFものかと思って観始めたら、冒頭からTVの特番、この物語は新たなテレビ番組のメイキングを追ったドキュメンタリーだと宣うではないか。
劇中劇でも面白ければよいが、子供と大人の学芸会レベル、やっと出て来た宇宙人も一匹だけでアリンコのようなチープなアニメ、セリフは早口で、「眠らなければ起きられない」などとシュールなことばかり・・。
ウェス・アンダーソン原案・脚本・監督・製作とまさに独壇場、この異常な作家性ゆえ、コアなファンもいるようだが、私のような凡人には、何が何やら、さっぱり理解できませんでした。
全222件中、21~40件目を表示