「仕掛けの巧妙さに驚かずにはいられない」白鍵と黒鍵の間に つとみさんの映画レビュー(感想・評価)
仕掛けの巧妙さに驚かずにはいられない
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物語序盤の南と博が初めて会う場面を観て、もしかして過去と現在が同居しているのか?と考えた。しばらくすると、その推測は確信に変わった。そこからはもう面白い以外の何者でもなかった。
同じ時間軸の中に過去も混同しているようにも見えるし、過去と現在が同じ時間軸であるかのようにみせているようにも見える。どちらでも結局は同じことであるが、その巧妙さに驚かずにはいられない。どんでもないことをやっちまってるぞと。
最終的には3つ目の時間軸、未来も登場して、ある種の混沌に陥るのだけれど、それもまた面白い。
全ては過去をやり直すために存在したかのようにも思えるし、失敗した過去、失敗した未来を踏まえてより良い未来を掴もうとしているようにも見える。
南博という主人公を中心にした起点のないループだったと見ることもできるだろう。
しかし、SF的な仕掛けの中で展開される物語は、シンプルなヒューマンドラマで、それもまた良い。
まあ原作はそんな仕掛けのない物語らしいので、仕掛け自体は映画の尺に収めるための大胆なアレンジでしかないわけだが。
それでも、その大胆さが生み出した娯楽性は並ではないと言い切れる。それもまた観ながら気づければという制約付きではあるのだが。
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