「どこかデタラメな世界観のゆらぎにハマる。」白鍵と黒鍵の間に 村山章さんの映画レビュー(感想・評価)
どこかデタラメな世界観のゆらぎにハマる。
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劇中でも重要なキーワードとして使われているノンシャラントという言葉に象徴されているように、すっとぼけて人を食ったような、ロジカルよりもスウィングやノリを優先したような、シュールな迷宮コメディになっている。印象としてはスコセッシの『アフター・アワーズ』が近いかも知れない。
3年の時を隔てた主人公が同じ時空に存在していて、なんだかパズルのような構成になっているが、謎解きをしてもしょうがないというか、なんだか不思議なことが起こっているのに誰も気にしていないこの世界をそのまま受けれて観ればいいように思う。
特にナイーヴな若者を背負うことが多すぎる池松壮亮が、一人二役(いや三役であり、結局は一役でもあるわけだが)で、ナイーヴから引き離されていく役を演じているのもよい。取り囲んでいる世界が歪んでいると、俳優の新しい顔が見えてきて面白いです。
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