ミッシングのレビュー・感想・評価
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監督が挟み込んだ希望
日曜日にイオンシネマで
55歳以上は1100円なのだ
オマケにdocomoポイントも使えるのだ
石原さとみが鶴瓶の番組に出ていたのを偶然目にして
吉田監督の新作と知りこれは観ねばと
監督と組むことを切望したのだとか
チラシをもらい損ねて残念だったのだが
予告編以外の予備知識はあえて入れずに鑑賞
石原さとみはどちらかというと苦手で
この監督作と知らなければ観ることはなかったと思う
そしてバトンはレンタルで観てそこそこよかったのだが
やっぱりいまひとつ NHKのトリセツもなんだか
しかし本作は文句なしの快演
主人公が置かれた複雑な立場とか壊れっぷり八つ当たりぶり
見事だった
前作もそうだったか忘れたが
スターサンズの制作なのだな どうりでエッジが効いていた
プロデューサーが河村光庸と
こういう作品に若くていい俳優が出るのは素晴らしい
今作は中村倫也 空白では松阪桃李だった
監督の意思は中村とか青木崇高に代弁させている
共感できるしカッコいい
それにしても青木はいい役しかやらんな
三谷大河でも何だかまっすぐな役だった ゴジラでも
あと柳憂怜も嬉しかった
たけし軍団のユーレイが見事にちゃんとセリフがある警察幹部役
毎週日曜日にスーパージョッキーを楽しみにしていた 感慨深い
ネットで適当な便所の落書きを書き連ねるヒマで卑怯な連中
ケジメをとらせていて溜飲が下がった
一方でキー局に転職する中村の後輩
監督も嫌いな人物なのだろうが映画の中では酷い目に遭わせない
社会の発展とか資本主義の世の中では必要悪みたいな位置付けなんだろうか
前作の若葉竜也と同じにおい
こういうやつが付加価値を創り出して仕事が生まれている側面もあるしな
やっぱり嫌いだけど しょんべんの音がせめてものリベンジ
その他本筋とはあまり関係ないエピソードの描写が丁寧でかなり好きだ
・キー局不採用で地方局
・鼻水がよく出る
・寄付金を紛失
・警察幹部の車をほめる
・弟と先輩が居酒屋で飲む
小ネタもイチイチ効いていた
・ヤクルト1000
・アーケードでもめている二人が共通認識を持つ瞬間
・マルめて捨てられたビラが風に吹かれて転がる様子を
それらしく撮ろうと試みるカメラマン
つい歌の文句で言葉を紡いでしまうとか
自分でついたウソに影響されるとかはある
生きている以上は何かの影響を受けている
リビングの壁の落書きのシーン
ウチも入居間もない時期に全く同じことがあった
妻がゴシゴシ消した跡が今もある
ラスト近くのチラシ配りのシーンでは思わず青木に貰い泣き
あとミカン農家パートの若ママとか零細印刷会社の社長
こんな世の中といいつつも監督が挟み込んだ希望なんだろう
BLUEのほうが好みなのだが文句のつけようがないので満点
一作毎にどんどんよくなっている
今年の10本には間違いなく入る快作だった
(ここから映画と無関係)
終了後は公園で自作弁当を食べながらビールグビリ
金がかからない幸せ
きっと再度鑑賞する事はない作品
子供が行方不明になった家族の話なのだがネットの誹謗中傷を始めお前らの血は何色だと叫びたくなるくらい心臓がギュッとなるシーンが多く、特に取材中にかかってきた電話から警察へ駆け込んだ時のシーンは視聴者としては結果は分かってるのにほんの少しだけの希望を見せてくる感じがもう辞めてと思ってしまいしんどかったです。
演出もさる事ながら俳優陣全員が凄まじく役を憑依させていたという事なのだろうと思う。
私は正直またこの作品を鑑賞しようとは思えないが、世の人に広くこの作品が伝わる事でこれから救われる人も増えるのではないかと思うし、そうであって欲しいとほんの少しの希望を見ました。
救いがない
某映画紹介系TikTokrが紹介してて気になったので見ました
事前情報を入れず、どんな話かも分からず見たので、楽しく鑑賞はできましたが、最後まで見てもモヤモヤは消えず。
事情はあれど、終始イライラしてる石原さとみにイライラしたりしてました。
結局助かったのか、助からなかった分からない部分もイライラしました。
嫌いな映画ではないですが、多分2度と鑑賞することはないでしょう。
助かったか最後まで不明な点は、今回監督が描きたかったものは、助かるかどうかではないからだと思いますが、個人的にはハッキリさせてくれたほうが好きですね。
石原さとみさん
殆どノーメイクで、涙でグチャグチャな顔で、と言う設定だけでど、熱演されていたと思います。最後に良くても悪くても何か進展が見たかったかも。ネット社会の怖さもありますね。最後はその警鐘でしょう。
みなさま素晴らしかった
母が壁にかかる手の影で娘の落書きを撫でるシーン、父が煙草を吸いながら子供連れを見かけて目を真っ赤にする表情、記者が報道の方向性についての意見をまともに取り合ってくれない上司を恨めしげに見つめる表情、叔父が姪との動画を見ながら嗚咽する姿。
どれもどれも素晴らしかったです。
事件そのものよりも世間に晒される被害者家族の話
予告、番宣、石原さとみさんのインタビューなど、結構期待させる要素が多かったのですが、多くの絶賛レビューのような感想は持てないままでした。
吉田監督の作品は「ヒメアノール」「空白」「犬猿」など好きな作品が多いのですが、今作に関してはあーやっぱりそういう感じで終わるわけか…と、ちょっと拍子抜けの感あり。
この事件に決着をつけるのは、陳腐か残酷かしか無いわけで、もちろん余韻残しのラストでもそれが功を奏す場合もあるのですが、被害者家族の姿にスポットをあてることが軸だとするなら、終わり方はもう少し観る側に何かしらの道筋がほしかったように思います。
それから、役所、警察署、商店街などで、変な口論をしているモブキャラをやたら登場させていたのが正直うるさいと感じました。特に商店街で揉めている男女はコントでもしているのかとそればかり気になり、主人公の心情に全く入り込めなかったです。
石原さとみさん、「演技するってこういうことなんだと初めてわかった」とインタビューで答えられていて楽しみにしてたんですが、オーバーアクション、早口でまくし立てるなど大袈裟すぎる演技は以前とさほど変わっていない印象でした。ビジュアル的なところではしっかり役作りされていましたし、熱演も伝わってはきましたが、演じ過ぎているところが終始気になりすぎました。
対象的に青木さんと中村さんの静の演技は圧巻。
マスコミ報道の在り方、ネットの行き過ぎた誹謗中傷など、さほど珍しくないテーマだけに、何かこの作品でしか感じられないものが欲しかったなと、わがままな観客の感想です。
いまの世の中こそが狂気
母親になった石原さとみの復帰作品がこちら
監督に直談判してまで演じたかったこの役は、
彼女の今までとは全く違う「役者」としての
新境地開拓、大成功したのではないかと思います。
ほぼスッピンにジャージ姿、半狂乱になって
弟や夫を責めるその姿はちょっとヤンキー臭プンプン。
今までそんな石原さとみは観たことない🫢
夫(青木崇高)が段々不憫に見えてきました。
劇中で誹謗中傷するネット民たち同様の視点で
いつの間にか沙緒里(石原さとみ)を観ており
いい意味で正解なのではと思いますが、
好きにはなれないキャラではありました💦
ネットの書き込みや、報道の在り方など
本当に気持ち悪い現実を叩きつけられます。
なんでも思ったことを「正義」と勘違いして
書き込む神経。
指摘されたら逆ギレする神経、理解に苦しむ。
それが当たり前になっているいまの世の中のどこに
「寄り添う」という言葉があてはまるのか。
「いつからこんな世の中に」
悲しいかな本当にそう思いながら劇場をあとにしました。
吉田ワールドが炸裂してます
「ヒメアノール」「神様は見返りを求める」「空白」など個人的に超どストライクな吉田監督作品だ。期待しないわけがない。待ちに待ちましたよ。
いやあ、さすがです。参りました。全てがえげつないほど「リアル」。これに尽きるかなと思う。「空白」にも通ずる、どこに感情をぶつけたら良いか分からないやり切れなさ、その中で戸惑い、怒り、悲しみ、そして絶望…。
ドラマチックな展開など何もない。何の奇跡も起きない。ただただ無駄に時間が流れ、悪気のない悪意に翻弄され、善意にすら傷付けられ、少しずつ正気を保てなくなっていく。もし自分がその立場だったら、と思うだけで心底ゾッとする。
石原さとみさんは本当にこの作品に賭けていたのだと思う。その覚悟が画面越しに伝わってくる。少なくとも僕はそう感じた。劇中で子供が発見されたという情報が嘘だと分かった時の彼女は、本当にこのまま気が狂ってしまうのではと思うほどだった。夫婦で明けても暮れてもひたすら捜索のビラを配り続けるのも当然わが子を捜すためなのだが、結局はそうでもしないと自分達が正気を保てないのだ。また最後に別の子供が助かったと聞いた時、彼女は泣きながら「良かった」と呟く。ここは思わずもらい泣きしそうになるシーンなのだが、これも本当のところは絶望の裏返しなんだろうと感じた。助かったのは他人の子供だけで自分の子供ではなかったという事実。これを受け止めるにはせめて他人事を喜ぶ以外になかった。だって自分事には完全なる「絶望」しかないのだから。だから自分を保つために(自分自身を守るために)彼女は死に物狂いで「他人事」を喜んだ(喜んでみせた)のではないか。僕にはそういう表情に見えたのだ。
だからこそラストで見守り隊をしてる彼女の表情がどこか柔らかく感じたのは、彼女なりに苦しみ抜いて「心の折り合い」のつけ方を少しだけ見つけたからなのではないかと僕は解釈している。そしてこれこそが吉田監督の描きたかったものなのではないかと強く思うのだ。これって「空白」にも通ずるテーマだと感じるのだが、事実だけを見れば子供は発見されてないし犯人も見つかってない。つまり何ひとつ進展しないという残酷な現実が続く中で、それでも残された者の「人生」は否応なしに続いていくわけだし、彼らはこれからも解決しようのない苦しみを抱えながら生きて行かねばならないのだ。考えてみればこれほど残酷な話はない。でもそれこそが「リアル」なのであり、実際そういう苦しみを抱えて生きている被害者や遺族の方はこの世に大勢いるのだ。その紛れもない「事実」をしっかり噛み締めなければと思う。
中村倫也さん演じる記者の砂田も見事だったと思う。作中で唯一まともな彼の「正義」は、ことごとく打ち砕かれていく。誰よりも被害者に寄り添おうとし、正しくあろうともがき続ける彼をメディアの傲慢な論理が容赦なく突き放す。周囲に理解者もなく、彼が何を主張しようが上層部は誰も耳を貸さない。本当は彼らだって「正しくない」ことに気付いてるくせにね。結局彼の正義は何ひとつ通る事なく、いつしか彼も「自分」を見失っていく。何が正しいかも分からなくなり、最後は被害者にすら恨まれてしまうのだ。こんなにも切ない話ってあるかね?
観ているだけで本当に苦しくて辛い。
でも現実とはそういうものなのだ。それを思うとさらに辛い。それだけに青木崇高さん演じる夫の最後の号泣が激しく胸を打つ。
青木さんの演技も素晴らしかった。けっして有能でもなく弁が立つわけでもない平凡な夫だが、それでも今にも気が狂ってしまいそうな妻を彼なりに支えようとする。その誠実さと不器用さがまた何とも切ない。そんな彼が弁護士を訪ね、「俺バカなんですけど…」と言いつつネットの暴力に立ち向かう決意を伝える。ここも非常に非常にグッと来たなあ。
また沙織里の弟を演じた森優作さんにも触れないわけにはいかない。この人の何とも不気味な雰囲気がいかようにも解釈出来る人物設定で、この物語で非常に重要な役割を果たしてると思う。その絶妙な怪しさも含めて森さんの演技も実に素晴らしかった。彼が車中で「ごめんなさい」と泣くシーンも印象深かった。
ラストはいかにも吉田監督らしい。
先ほども触れたように、沙織里の表情はどこか救いが残る終わり方だったのではないだろうか。吉田監督はその辺りの「さじ加減」が実に絶妙なのだ。
また吉田監督は光の使い方も本当に上手いと思う。絶望しかない物語だけど、射してくる光に希望を感じさせてくれる。それが本当に温かく優しくて心に染みるのだ。もうちょっとだけ生きてみよう、と思わせてくれる気がする。
なお虎舞竜のくだりはあまりに不意を突かれてつい笑ってしまった。だからと言って笑いを取るようにも描いておらず、それこそ観てる我々も含めた「全員が気まずくなる空気感」がまたリアル。吉田監督も本当に意地の悪い人だなとつくづく思う。
それにしても2時間が長過ぎず短過ぎず、丁度良かったと感じた。あれだけウルトラヘビーな内容なのに不思議なんだよね。これはつまり話がさりげなくサクサク進行していた証であり、上映中はあまり意識してなかったがテンポが絶妙だったのだろう。だからあのとんでもないヘビーさに耐えられたとも言える。濃い味を決して薄めずにスピード感で「濃い味のまま」食べ切らせる、そういう所も吉田監督さすがだなあと思う。
とにかく吉田ワールドが好きな人なら「間違いない」と断言出来る。ぜひ堪能して頂きたい。
もうひとつのmissing
我が子の失踪
その母・妻の境地を、限りなく何かを覚悟して演じるような石原さとみの姿がある。
余裕のない切実さが生む家族の溝を彼女の苛立ちが深みへと掘り続けその穴に自らを葬ってしまうのではないかと思うほどの緊迫感、悲壮感が続く。
その傍らで冷静さを保とうとする父・夫を青木崇高が微塵の違和感なく演じる。
妻の心が半ば壊れていくような状況で何とか踏ん張る彼の存在がもたらすものがどんなに必要だったかをしみじみと感じさせるのだ。
しかも向き合う相手の人柄までもが彼の一挙一動からみえてくる細やかな演技が惹きつける。
安息のない当事者の心情に並ぶもう一つの大きな柱が、担当記者が生業とする報道において中堅として上司や部下に感じる違和感、対峙しながら浮き彫りになる自分自身への葛藤だ。
意見は持ちつつも結果として大きな力に流されながら来た彼の道のりがはっきりとみえるし、後輩たちの価値観にはさらに変化があるのがわかる。
二つの柱は一見寄り添うようでいて実は押し合い歪み脆さを見せ静かに嫌な音をさせて絡み合う。
ずっと居心地の悪い映画だ。
情報の在り方に疑問を呈した作品はたくさんみてきた。
その度におもう私事がある。
〝マスコミ〟というワードがまだ眩しかった頃、ある講義を好奇心いっぱいで聴いていた。
壇上の元報道アナウンサーが誇らしげにその役割りの未来を語っていた。
もちろんリスクについても話されていたが、いまのイメージを想定するものではまるでなかったと思う。
あれから瞬く間に手軽にみんなの手中となった〝情報〟の世界。
そのイメージは怖い匂いをすっかり身につけた気がする。
迷惑メールに慣れ、誰からの連絡にも警戒心が防御し、悪いニュースには枕詞のように〝ネット〟や〝SNS〟が出てくる。
ビジネスとして採算第一の興味へ走る方向性は、あるものをないことにし、ないものをあることにするほど歪みながら膨らんだ。
それに呼応して競うように理性を欠いた言葉があらわれ、無責任に面白おかしくさせながらさらに飛び交う。
手軽なストレスの掃き溜めのようにもみえるその窓の向こうは身震いするほど殺伐としているが、薄いガラスはいつ破れるかもわからない。
ふとした拍子に誰かか、この自分の指1本で。
私たちは、きっと何かをどこかに無くしたままだ。
だから、この物語は主張するのだろう。
あえて誰もが想像しうる実際の事件をなぞらえ土台にして。
あえてマスコミのど真ん中に立ち続け実生活で母となった彼女の自らの強い意志を据えて。
そんななか、時間をかけながら変化する彼らの機微を見逃すわけにはいかない。
どうしようもない苦しみのなか握る手の温もり、別の母子の問いかけに堰を切るようにようやく溢れた涙、虹の光の先にふれる指のやさしさ。
そこに気づき胸をぎゅっとしめつけられる私たちはまだ立ち帰れるのではないだろうか。
嘆くのはいい〝加減〟を体験して比較しているからこそ。
ならばせめて、今、自分ができることを考え行動しなければならないのだと思う。
訂正済み
一切の虚飾を排除して人間の悪しき本性に迫る衝撃作
本作は、失踪した子供の両親の心情を中心に人間の本性を赤裸々に描いた衝撃作である。ドキュメンタリーを観ている感覚に陥る。生き地獄とも言える両親の日常を非情な冷静さで丁寧に切り取っていく。
森下沙織里(石原さとみ)、豊(青木崇高)夫妻の一人娘・美羽が突然失踪してから三ヶ月が経ち、世間の関心が薄らぐことに沙織里は苛立っていた。事件の捉え方が異なる夫との関係はギクシャクし口論が絶えない日々が続いていた。警察の事件への熱も冷め、唯一の頼りは取材活動を続けている地元テレビ局の砂田(中村倫也)だけだった。沙織里が失踪当時、アイドルのライブに行っていたことでSNSでの誹謗中傷に晒され、沙織里の言動は次第に常軌を逸していく。一方、砂田も視聴率UPを目論む上層部から世間の関心を煽る様な取材を要求され苦悩する・・・。
本作は失踪後から始まる。そうすれば、観客は石原さとみの従来イメージを失踪前の家族のイメージと重ねることを意図している。同時に失踪後の石原さとみの新境地演技に作品の成否を委ねた作り手の覚悟を感じた。
沙織里も同様である。観客は石原さとみの従来イメージを沙織里の失踪前の正常状態と捉える。故に石原さとみの従来イメージと渾身の新境地演技のギャップが沙織里の激情として観客の心に深く突き刺さる。石原さとみの新境地演技は別人格の石原さとみが演じているようで鬼気迫る迫力がある。
後半。近隣で同様の失踪事件が発生する。沙織里は美羽の失踪と関係があると判断し、失踪者発見に奔走する。事件は解決するが美羽の失踪とは無関係だった。失踪者の母親が感謝と協力を申し出る。沙織里と豊は泣く。美羽の未発見は無念だったが、自分達の苦悩を他の人に体験させないという気持ちが芽生える。地域の子供達の交通安全活動にも参加するようになる。沙織里の再生を示唆した本作唯一の光明だろう。
本作は人の不幸は蜜の味という諺通り一切の虚飾を排除して人間の悪しき本性にフォーカスした衝撃作である。これも人間の本性であることを自戒したい。
変わらない展開なのに見入ってしまう
やっていることら頭から尻まで変わらないのだが引き込まれる演出であった。
残酷な脚本にも関わらず決してストレスが溜まるわけではない。
終わり方もスッキリすることはないがモヤモヤが残るということもない。
それぞれの葛藤があり、人間らしさを上手く表現出来ていた。
悲劇的な家庭 悲劇的な社会 悲劇的な現実
順調でない進み方について気持ちが焦ってしまった。
一番の感想は日本社会の無関心の一面を表すことだと思って、社会に向かっている正義の方は何をしても進めず、いつもこんな奴に注目される。更に、被害者叩きという一面も今で深刻なことだと思う。
娘が探せないので ある幸せな家庭が破れた。そして、社会問題によって現実は残酷になり、主人公たちの気持ちを苦しく感じさせられた。最後まで、何も実現してない気がする。でも、その辛さを心に刻んで、生きていると信じて生活し続けるのも良いじゃない?
石原さとみさんの演技力は本当に素晴らしい👍
圧倒的な石原さとみ感!!!
正直圧倒的な演技で、全てが消し飛んだ感じ。あんな嫌な顔できるんだね。あれが本性なのかと思うくらい。
ストーリー的には言いたいことはあるよ。まずは、サブストーリーが余計。テレビ局の人間関係とか、弟の同僚のとか。
さらに、最後まで「犯人探し」を諦めないように引っ張ってくよね。でも途中から、「これどうやって終わらすの?って思ったりさ。でも、「あ、これ娘の生死や犯人出す気ないなって」思ったよね。そこでテンション下がったんだけど、その中で、あのラストは、
悪くない
って思ったね。本当は総合的に見て★3.5くらいかなあと思ったけど、石原さとみのあの演技見せられたら5をつけるしかないかなあってね。
まあ、ああいう失踪事件は解決しない方が多いことこそ「リアル」なのかもね。
さとみ嬢の演技に刮目せよ
作品だけで語るなら★3.5ぐらいの評価です
ラストは強く生きていく希望が持ててメンタル的に一皮剥けましたみたいな感じに私はとらえましたが、作り手的にはどういう感じに見せたかったのか気になるところです
そのほどほど評価のこの作品の見どころと言えば行方不明になった娘を探すという重苦しいテーマをぶち壊す母親役の石原さとみさんの熱演、怪演ぶりでしょう
ネットで誹謗中傷してきた相手にブチキレる、やり場のない怒りを旦那にぶつける、協力的でない弟をどつき回す、リアルすぎて芝居の域を凌駕していて、これが完全に台本通りなら絶賛レベルなので是非見てもらいたいです(次回の日本アカデミー賞の主演女優賞で最有力な気がします)
石原さとみの熱演は、本当に素晴らしい!
観終えてからも石原さとみの熱演の余韻が残り、ストーリーは厳しい内容であるが、作品としてはとても素晴らしかった。
娘がいなくなり何も手につかなくなる妻、その妻は夫の温度感が違うと言ってなじるが、石原の目の表情や雰囲気は、自分が夫で、責められているように感じるくらいにリアル。でも夫の気持ちもよくわかる。男と女は同じようには必ずしも反応しない。でも夫も、時に妻の言動や反応に疑問を感じつつも妻が納得するように寄り添って動く。
石原さとみのシーンでは、弟に取材を受けさせようとアパートの扉の前で狂ったように叫ぶ姿や、商店街を歩いて奇声をあげる姿、いろいろ記憶に残るシーンは多いが、1番印象に残ったのは、「娘が保護された」と連絡があり、警察に娘を迎えに行き、実はそれがデマだとわかった時の「衝撃」の表情、そして哀しみの姿から溢れ出る叫び。作品の中の母に同情すると共に、あの妥協のない演じる姿は、ストーリーを超えた強烈な存在としても印象に残り、あの演技に感動させられ、見終えてからも、あのシーンの姿を思い出すと涙が出てくるくらいだった。
以前中国の映画で、子供を誘拐された親の「最愛の子」という作品を見だが、とにかく人の不幸につけ込んで、子供を見た、情報が欲しければ金を出せとか、そういう酷い現実を、思い出した。この世の中の狂った姿は、石原演じる母も呟いている。こういうつらい現実は起こらないでほしいが、映画を通じて辛さを体験した感じだ。
またマスコミ報道の当事者に寄り添わない上層部の姿もリアルで、現実もこういうものなんだろうとかんじられた。
ミッシング、失われたつながり
行方不明の娘を探す夫婦の姿を通して、報道とSNSの相互作用が生み出す現代社会の問題を浮き彫りにした衝撃の人間ドラマ。
藁にもすがる思いでテレビの取材を受け続け、SNSにホームページを開設したり、ビラ配りをしたりと何とかして娘の手掛かりを見つけたい沙織里たち夫婦。しかし得られる情報は不確かなものだったリ、冷やかしだったり、挙句には悪質ないたずらだったりする。
その上、テレビ報道がきっかけで沙織里の育児放棄が原因などとネットリンチを受けるまでに。
目撃情報を得るためにネットの書き込みを見続けた沙織里。被害者である自分たちがなぜここまで攻撃されなければならないのか。いつしか知らず知らずのうちに誹謗中傷の書き込みを探すために見続けていることにも気づかず彼女は泥沼にはまってしまう。
まるで世間全体が自分たちの敵になってしまったかのように感じる。娘を取り戻したいだけなのになぜ世間は自分たちに牙をむけるのか、いつからこの世は腐ってしまったのか、そんな疑心暗鬼にさいなまれてゆく。
テレビ取材も好奇心で行われていると思いながらも、頼みの綱である報道を利用しないわけにはいかない。いつしか悲劇のヒロインを演じている自分に沙織里は自己嫌悪に陥る。
またネットの心無い誹謗中傷を受け続けた彼女の心は蝕まれてゆき、自身が弟に対して酷いメールを送ってしまう。面と向かって口ではとても言えないような言葉を投げつけてしまう。それこそが彼女がSNSで受け続けた誹謗中傷と同じものだった。ネットを通して自分自身が毒されてしまったかのようだ。
マスコミとSNSに翻弄され続けた夫婦。それから二年の月日が流れて世間では事件のことはすっかり忘れ去られていた。そのおかげでネットでの書き込みも収まっていたが、いまだ娘は返ってこない。二人は今もビラを配り続けていた。それはもはや惰性で行われているだけかのように。
その時、以前同じく行方不明になり無事保護された少女の母親が声をかけてくる。自分にも協力させてほしいと。仕事先の若い女性も妊娠して協力したいと申し出る。
失われたと思っていた社会とのつながりはけして失われてはいなかった。自分たちを取り巻く社会はけして自分たちを見捨ててはいなかった。
SNSを通して敵だと思っていた社会はけして敵ではなかったのだ。社会とのつながりを感じた二人に暖かい光がそっと肌を撫でる。それは虹色の光。
娘と同い年くらいの少女が沙織里に微笑みかける。傷ついた彼女の心はいま、暖かい光に包まれて癒されつつあった。
SNS上でいまだ繰り返される誹謗中傷。何人もの犠牲者を出しながら一向に改善される気配はなく法規制がされつつある。
ネットにより皆が自己主張をしやすくなった現代では不確かな情報をもとに憶測で己の正義感を振りかざして相手を攻撃してしまうようなことが起きている。
前にキャンプ場で行方不明になった子供の親に対する酷いネットリンチが起きた時、書かれた記事を思いだした。その記事には今起きているネットによるバッシングは報道とSNSの相互作用によって生み出されているのだという。
ネットによる誹謗中傷は報道による情報がもとにしてなされる。事実を報道するのが報道の役目だ。しかし何でもかんでも事実だから公開してしまっていいものだろうか。公開するタイミングや公開することによる影響も考慮する必要があるのではないか。公開することによるメリット、デメリット、それぞれ天秤にかける必要があるのではないか。
また報道しぱなっしも許されないであろう。自分たちが流した情報が社会にどれだけの影響を及ぼしたのか。誤報は当然だが、社会に誤解や偏見、いらぬ憶測を与えかねないような報道は改められるべきであるし、それら憶測によってネットリンチが起きてしまっている実態がある。
誹謗中傷が絶えないのは個々の正義感からくるものだろうが、それがいつしかネットリンチに発展してゆく。悪いものは徹底的に懲らしめるべきだ。政治家のスキャンダルをものにしたディレクターは得意げに語る。自分が正義の鉄槌を加えたかのように満足感に浸る。この感覚はいまやネットユーザーに共有されている。
それらが憶測やら偏見だけで書き込みをする。一つ一つはたわいもない書き込みであってもそれらが蓄積されれば受け取る人間にとっては大きな津波に見舞われたかのような被害を被る。
そのようなネットリンチを生まないためには憶測や偏見を生じさせないよう正確な情報発信を報道機関は心掛ける必要があるし、ユーザー自身も軽はずみな書き込みをしないようネットリテラシーが要求される。
さすがの吉田作品だけあって重厚な人間ドラマだった。主演をつとめた石原さとみはかわいらしさが売りの女優さんだと思っていたが、年齢を重ねて演技派女優へと見事に脱皮した。とにかく彼女の演技には終始圧倒された。
人がいつ心を失くしたのかは知らないが、その言葉すら性善説が根底にあるように思えてくる
2024.5.18 イオンシネマ京都桂川
2024年の日本映画(119分、G)
娘の失踪に揺れる両親を描いたヒューマンドラマ
監督&脚本は吉田恵輔
物語の舞台は、静岡県沼津市
そこに住む主婦の沙織里(石原さとみ)は、娘の美羽(有田麗未)を弟の圭吾(森優作)預けて、数年ぶりにアイドルのコンサートに出かけていた
だが、圭吾は所用で美羽を自宅まで送り届けず、それが原因で美羽は行方不明になってしまった
夫の豊(青木崇高)が帰宅し、異変を感じて沙織里に連絡するものの、彼女はライブに夢中で気づかず、それが原因で初動が遅れたのでは、とも囁かれてしまう
現在は、地元のテレビ局の記者・砂田(中村倫也)のクルーたちが取材に来る程度で、大々的に報道されなくなっていた
ビラ配りをしてくれるボランティアの数も減り、事態の変化もないために、テレビ局も報道する意味を感じなくなってくる
そんな中、砂田は打開策として、「最後に美羽と会った圭吾」への取材を敢行する
沙織里は藁にもすがる思いで、無理やり圭吾を引きずり出すものの、その報道は却って「弟が犯人じゃないのか」という疑念を抱かさせるに過ぎなかったのである
物語は、幼女誘拐事件に巻き込まれる家族を描き、感情的になって取り乱す母親と、冷静になって色んな手を考える父親という構図を描いていく
沙織里は、自分のせいで美羽がいなくなったと思い込んでいて、夫とは温度差を感じている
だが、それらは全て彼女の思い込みであり、夫はやるべきことはしていたし、それに気づいて思い直す沙織里が描かれていく
映画は、石原さとみの怪演というふれこみになっているが、ややオーバーアクトに見えるような感じになっている
だが、狂乱する母親のキレ方というのはこんな感じなので、実際に遭遇した人ならばオーバーアクトとは思わないだろう
また、SNSの時代なので、誹謗中傷に苛まれることになるのだが、沙織里としては「悪意の中にも本物があるかもしれない」と感じていて、心を痛める覚悟を持って、書き込みなどを読み込んでいた
夫は「便所の落書きに価値はない」と考えていて、そこに書かれるそれっぽいものは全部嘘であると感じている
さらに、警察を名乗る電話がかかってきたり、美羽らしき子どもを見たと言って会う場所や時間を決めてドタキャンする悪質な人も登場する
このあたりは実際に起こっていることがベースになっているので、脚色とも思わないし、現実ではもっと狡猾で、酷いものはたくさんあるように思える
なので「いつから人は心を無くしたのか」というキャッチコピーは「まだ性善説側のコピーなんだな」と思えてくるのである
いずれにせよ、今では性善説で考えられる時代ではなく、性悪説の中に一縷の希望があるかもしれないという程度になっている
彼女たちを支援するボランティアたちも、ボランティア活動そのものに心を奪われている人も多く、本当の意味での協力者は類似事件の被害者ぐらいしかいないかもしれない
報道側も様々なパワーバランスの中で番組を配信していくのだが、「真実が一番面白い」という言葉に勝るものはない
現在の日本では、他人の不幸がお金になる時代で、それをいかにオブラートに包むかという世界になっている
なので、実際にこのような事件が起こると、募金詐欺とか、手伝うふりして足を引っ張って喜ぶというような、過酷なことは普通に起きると思う
映画のラストでは、ほぼルーティンと化しつつある搜索が描かれていくのだが、そこに類似事件の被害者(大須みづほ)が手を貸すという展開になっていた
そこでようやく感情的になるのが夫なのだが、このシーンゆえに本作はかなり締まったものになっているように感じた
評価の難しい作品
結論から先に言うと何かスッキリしないというか、もどかしさの残る作品でした。
確かに石原さとみさんの演技は真に迫るものがあり見応え十分だと思います。また、中村倫也さんの内に込めた演技も良かったと思います。
ただ、ストーリーに関しては同じ様なことの繰り返しで少し単調に感じました。また、最後にSNSで誹謗中傷した人は逮捕されましたが、結局のところそれ以外の偏向報道や失踪事件については何も解決しておらず、共感してくれる人は現れたものの、あの夫婦はいつまであれを繰り返すのかと思うと救いのない作品だなと思いました。
あと、どうしても不自然に見えて仕方なかったのが石原さとみの弟役の演出。犯人ではと思わせる怪しい人物に見せたいのは分かりますが、それにしてもやり過ぎ。前半と後半では違う人物かと思うほどの変貌ぶりにはがっかりしました。いくら違法賭博に関与していたとはいえ、泣くほど子供の無事を願っているのなら、捜査に全く協力しないのは不自然極まりないです。弟さんは作中におけるそこそこ重要なポジションだっただけにとても残念です。
以上、演技は良かったものの、ストーリーの単調さや、不自然な演出により星三つにしました。
TV・SNSの闇に立ち向かうには
吉田恵輔監督と白石和彌監督の映画が同日公開というバチバチの劇場にてこちらを先に観賞。
石原さとみさんが自ら吉田恵輔監督に直談判したということで、何という母親役を選んだんだという驚きと、自身が母親になって初めて挑む作品が子供が失踪して心身共にズタボロになっていく母親役って...青木崇高じゃないけど、あなた凄すぎるよ....
このまま一体どうやって収束していくんだという話ですが、ところどころ入るメンタルを抉りつつ笑わせようとしてくるこの腹黒演出はさすが吉田恵輔監督だなぁと思いました。
「えっ、虎舞竜。」とかお前(カメラマン)やめろ!笑 本当に!!笑
吉田恵輔監督は本当に役者が好きなんだろうなっていうくらい。キャスト全員が素晴らしい演技をしていました。
TV業界、SNSそれぞれの闇にズタボロにされていく夫婦。何故人はこんなにも無責任に人を傷つけられるのだろう。
それでもやっぱり人の優しさを信じてしまうどうしようもない生き物なのです。
そして主人公・沙織里の弟・圭吾を演じた森優作さん。とんでもない方が出てきてしまった。圭吾はいわゆる普通の人なのですが、一度誘拐を経験・そしていじめを経験し精神を病み、いわゆる"普通の人"という範疇から外れてしまう。そんな彼らが普通に生きていくには世の中はとても残酷である。本作ではさらに家族である沙織里からも必要以上に責められてしまう。そんなに責めたら本当に死んでしまうぞ!と怖かったのですが、そんな彼の行動により思わぬ方向へ物語が進むが、やはり上手く進まない。現実は甘くない。ここまで散々リアルを浴びせ続けた上での姉との車のシーン。これは泣くだろ!そして何てタイミングでBlanc("空白ネタ?")音楽かけるんだよ。ホントに沙織里と圭吾と一緒に泣いてるんだか、笑ってるんだかわからない。社会のレールから外れた人を優しく救い上げる演出はいつも大好きだ。
中村倫也演じる記者の砂田、そして主人公の沙織里、彼らは今も美羽を探し続けている。そして戦い続けている。そんな勇気をもらえるラストだった。
映画に起承転結そして話が解決することを求めている方には受け入れられないだろう。観る人を選ぶタイプの映画だ。
私らこの映画で、忘れられないシーン・演技がいくつもある。映画は物語だけじゃないなと思いました。
この感じ、誰かの映画に似てると思ったらダーレン・アロノフスキーだ。「ブラックスワン」、「レスラー」、「ホエール」だ。
彼も役者を追い込み、リアリティある迫真の演技を引き出す監督で、本作でも劇中で記者とカメラマンの前でのインタビューなどで沙織里に多少の演技を求めるシーンがあるのだが、このシーンは娘を失った可哀想な母親を演じる母親を演じる石原さとみという二重構造になっていて、これは相当難しいシーンだったんじゃないかと思う。(公式HPのプロダクションノートでもその困難さを感じました。)結果、芝居っぽさとリアルな感情が折混ざる大変素晴らしいシーンになっていて感動した。
今年ベスト!
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