ミッシングのレビュー・感想・評価
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過酷な人生を生き続けること
脚本がすごい
演者がすごい
メディアやSNSとの関係が主人公たちが置かれた過酷な状況を浮き上がらせるが、メディア批判はメインテーマではない気がする
拉致被害者家族のことを想うと、過酷な日々を生き続けることが、リアリティを持って伝わってきた
メディアやファンが期待するものに応えてきた石原さとみの本当の演技力がわかったのが大収穫だった
苦しい。
今日は映画デーと決めて、3本連続で見るべく予定を組んでいた。2本目が本作。しかし鑑賞後、3本目(しかもよりにもよって関心領域を観るつもりだった)を観られるようなメンタルではなく、2本でやめて映画館を出た。
それくらい、心を削られる作品だった。
これを観たほとんどの人は、数年前のあの女児行方不明事件を思い出すのではなかろうか。我が子の行方が分からなくなり、なりふりかまわず必死に捜す母親や親族に、インターネット上で拡散される誹謗中傷。あの後味の悪い事件を思い出して苦しくなった。
また、自分にも美羽ちゃんと同じ年頃の子供がいるので、石原さとみと青木崇高に感情移入しすぎて10分に一回くらい涙がにじんだ。子供連れの親子を見かけるところなんて辛すぎて涙が流れるのをこらえきれなかった。泣きすぎて頭が痛い。
ほとんどの人間たちの無関心、不躾で無神経な関心、明確な悪意。どれにも削られる。そこここに善意も転がっているのに、そんなもの一瞬で消し飛ばしてしまうレベルの悪意が降ってくる。被害者であるはずの母親も、周囲への接し方などに同情しかねる部分もある。
とにかく人間のエゴ、人間の業とも言うべきものをこれでもかと次々に注ぎ込まれ、正直途中でもうこれ以上見たくない…と苦しくなった。
ところどころ終わりに向かいそうなシーンがあり、この辛さもやっと終わりかと思ったらまだ続いて、また苦しいシーンがあり、さらに削られる。2時間の作品だったが、詰め込み感はなく駆け足にも感じないのに非常に内容が濃く、3時間くらいに感じた。
娘がいたころのホームビデオ。あんなもの見せられたら。そして、エンドロール。あれはダメだ。苦しすぎる。嗚咽がこらえられなくてハンカチを口に押し付けていた。それまで必死に耐えているふうだった周囲の観客も、たまらず唸り声を上げていた。分かるよ、これは無理だ…と内心で肩を抱いていた。
疲れ切ってシアターを出た。
何時間も経つがまだ頭が痛い。それでも他の方々のレビューを読んでは思い出し泣きしている。これは今日1日私は使い物にならないだろう。
本当につらかった。でも心から観てよかったと思うし、観るべきだったと思うし、観てほしいと思う(ただし心身とも万全なときをおすすめする、不調なときに観たら立ち直れなくなりそうだ)。
圧倒的な悪意の中で善意は挫けずにいられるか
娘「美羽」(有田麗未)の子育てに追われる「森下沙織里」(石原さとみ)。息抜きにヴィジュアル系バンドのライヴを観にいき、その間美羽の面倒を弟「土居圭吾」(森優作)に頼む。違法なスロット賭博にはまっている圭吾は、最後美羽に一人で帰宅するよう言い含めて、自分は賭場に向かう。沙織里の夫「森下豊」(青木崇高)は帰宅して美羽の姿がないことに不安を抱き、沙織里や圭吾と連絡をとろうとするが、電話がつながらない。結局美羽は失踪してしまう。
マスコミははじめ大々的に取り上げたが、3か月後にはローカル局の記者「砂田裕樹」(中村倫也)が追いかけるのみとなる。沙織里は「子供を放り出して遊びに出かけた鬼母」とか、「実は森下夫妻が子供を手にかけたのだ」とか、SNS上の誹謗中傷に苦しめられる。豊との関係もぎくしゃくする。
少年時代にいじめに遭って極端に話下手なうえに、違法賭博に関わっていたので美羽の失踪時の状況について曖昧な証言しかできない圭吾を、TV局は疑う。圭吾はマスコミを避けるが、砂田との関係を保ちたい沙織里は取材を受けるよう圭吾に強要する。放映を観た視聴者はますます圭吾への疑念を深め、圭吾は自家用車のヘッドライトを割られたりアパートの窓に投石されたりする。
森下夫妻も、情報提供者に面会をすっぽかされたり、警察から「美羽が保護された」という知らせを受けて喜び勇んで署に駆けつけるものの、いたずら電話だと分かって失意の淵に突き落とされたりする。そして2年の月日が経過し――といったストーリー。
世の中の悪意がこれでもかと描かれるので観客は陰鬱とした気持ちになる。なんで被害者がこんなに責められなくてはならないのかと憤る。自分も野次馬根性で事件報道に接していなかったかと反省させられもする。
わずかな救いは、破格の安値で捜し人のビラを印刷してくれる印刷屋のおやじさんや、一見無関心そうに見えながら身重の体で失踪児童捜索に参加してくれる沙織里の同僚や、同じく我が子が誘拐被害に遭った母親で「美羽ちゃんのために何かしたい」と申し出てくれる女性の存在だ。そうしたなかで沙織里は、「緑のおばさん」として近所の小学生の登校の安全を見守ったり、赤の他人の誘拐被害児童が無事保護されたというニュースに接して泣いて喜べるようになったりする。豊もそんな沙織里を見て男泣きする。
石原さとみさんはこれまで「できる女」を演じることが多かったと思うが、結婚・出産を経て心境に変化があったのだろうか。本作では絶望の淵をさまよいながらかすかに再生の手がかりをつかむヒロインを体当たりで演じている。
本作は吉田恵輔監督のオリジナル脚本ということだが、「圧倒的な悪意のなかで、か弱い善意よ、どうか負けるな」というエールなのではないかと思う。
苦しかった…
寄り添う事の難しさ
罪悪感、無力感、怒り、悲しみ、苛立ち、全ての感情を剥き出しにして、娘を探す母、そして夫。夫婦で支え合って行動してるはずなのに焦りから互いに攻めることも、非常にリアリティがある。そして事件を報じるマスコミの在り方とSNSによる中傷も冷静に描かれている。全編通して緊張感があり、この夫婦は救われるのか、気の毒な兄弟は互いを許し合うのか、祈るような気持ちで見た。現実にこういう方はいらっしゃるのではないかと思うからだ。2年以上経過し、事件として忘れられそうになり、自分達も折れかけた時、役に立ちたい、という言葉を聞き、不意に涙が溢れる父親。警察やマスコミ、協力してくれる周囲の人々とのやり取りや関係を通して、人の心に寄り添うことの難しさのようなものが描かれている。
親として完全に自分の人生も無くしてしまうのか、それでも前を向いて自分の人生を生きるのか。最後は少しだけ、穏やかな光が見えたような気がした。石原さとみの演技をしっかり受け止めた、青木崇高の演技がさすがだった。弟役も含めキャストは皆リアリティがあり素晴らしかった。
鮮やかすぎるほどの「キャラ立ち」
『BLUE』以来、自分にとって「何をおいても絶対に観る監督」となった吉田恵輔監督の最新作。
石原さとみの熱演は予告通り番宣通り。すごい努力だと思う。ヒロイン役をずっとやってきた美人女優というのは、どこかでその枠からはずれた役をやりたくなるのかな。シャーリーズ・セロンが増量してすごい顔になってオスカー獲った『モンスター』とか。エマ・ストーンの『哀れなるものたち』はちょっと違うか。
石原さとみの主人公に限らず、登場人物それぞれがものすごくくっきり「キャラ立ち」している。青木崇高の夫はどこからみても理想的な人物だし、弟は最初からずっと「いかにも」というか、どこからみても怪しいと思われそうな人物。ちょっと極端に描きすぎな気もするのだが、ものすごくリアリティがある。
あざといネタで局長賞(?)とって栄転していくやり手記者、そういう日の当たる道にどうしても憧れてしまう小野花梨の後輩記者。この二人は、ああこういう人いる!と観客みんなが叫びそうだ。
中村倫也の演じたローカル局の記者は、本当の意味でまっとうで誠実な人間。嘘をつかず小細工をせず、自分の納得のいく仕事をする(しようとする)人。しかしこういう人は短期的なスクープはとりにくいだろうし、目立つ業績は挙げないかもしれないし、上司から使いにくいと思われることもあるかもしれない。何となくBLUEの瓜田に通じる部分がある、ごく普通の大人の男性でありながら「純粋な心」を持ち続けている人。このキャラクターもある意味ちょっと極端で、そういうくっきりした人物造形が吉田監督の映画なのかなと思う。
理不尽な災厄に見舞われた個人と社会。
悲しくてやりきれないけれど
いなくなった娘が戻ってくる事を信じて、手掛かりを探し続ける両親。世間の関心が徐々に薄れていく中、必死に協力を求める。母親の悲嘆は大きく、夫との間に温度差を感じてしまう。一方で、事情も知らず全く関係ないのに誹謗中傷する者。非難にさらされ、更に傷つく家族。
沙織里も弟の圭吾も、誤解されやすいキャラクターです。本当は気の毒な人達なのに、同情しきれない雰囲気がある。石原さとみさんの、熱演だけど、そこはちょっと違うんじゃないの、という演技が、そういう所を表現していたと思います。こういう風に振舞えば相手に好意的に受け止めてもらえると分かっていても、上手く出来ない事があるのは自分でも実感します。
森優作さんも、ビデオの中では良いおじさんなのに、薄気味悪い感じを出していました。
青木崇高さんは、一見ワイルドだけど知的で、理想のお父さん像です。
石原さとみのコミュニケーション能力が凄い!
石原さとみが、監督に出演を懇願した作品。
それもあってか、演技が本当に凄い!今までの石原さとみさんとは全く違う演技で衝撃を受けました。
ストーリーも身内の人間関係が、実際起こりうることを題材にしており、心の距離も近い作品でした。
行方不明当日を削った謎の脚本
番宣通りの正気を失った石原さとみの魂のこもった泣きの芝居を十分堪能しました
素晴らしい芝居でした
しかし物語の始まりが、何故か娘が行方不明後で母がひたすらビラ撒きをしテレビニュースへの依存する場面から始まる
最初から娘がいなくなり正気を失った状態にしたのは何故だ
起承転結の起を削除されてしまった為に物語に入り込めす彼女の気持ちと同化できなかったよ
起=笑顔で子供を弟に預けてライブを楽しむ笑顔の彼女
子供が帰って来ずに困惑して何度も電話する夫
ライブ後に半狂乱になる石原さとみ
この大事な起の部分を削った理由が理解できない
物語は何が起こるでもなく、正気をうしなって周りに当たり散らす主人公
そんな主人公にかけらも共感がもてないし物語入り込めないよ
わめき散らす場面を削って行方不明時の起を少しでも入れてくれたら良かったのに
ライブ会場ではしゃいでいる通常の笑顔の彼女があれば狂っていく様が引き立つし、彼女に同情できたのに
悲しい物語のはずなのに主人公に感情移入できなくて、少しだけ泣けたのは弟君の最後の謝罪だけ
彼のせいで行方不明になったんじゃないのにひどい目にあって本当に可愛そう
お前もライブ行ってたくせに、ひどい目にあってるにも関わらず罪悪感で泣いて謝罪する弟君にひどすぎないか!!
って最後まで主人公にいらいたよ
SNSで悪口書き込む人のように主人公がライブに行ったのが悪い!って言わせたかったのなら脚本の狙いにまんまと罠にはまってますが
石原さとみは悪くない
これは脚本がわるいのさ
寝ても覚めても
優しい映画
事件はとても悲しくて、両親の悲しみはとてつもなく深い
目に見える人達は皆優しく目に見えぬ者どもが攻撃的で辛くなる
まだまだ人を信じたいと思う、思いたい
メディアでは色々なことが報道される
ドラマや映画の宣伝もある
有名人のスキャンダルも数字が取れるだろう
地震や台風情報は生死に関わる
報道の自由とはよく言ったものだ
誰の為、何の為に報道するのか今一度考えてほしい
番宣でテレビに石原さとみさんが出ていてこの作品を見ることにしましま
『ヒメアノ〜ル』はとても衝撃的な作品でしたね
吉田監督は人の心の静けさや激しさを撮るのがとても上手い方
『空白』の静と動も絶妙でした
この作品の心も多彩です
『空白』の後半で古田新太さんの台詞がどの作品にも当てはまる
私の疑問と同じなのです
「どうやって折り合いをつけているのかな〜」って
悲しみや怒り、みんなどうやって折り合いをつけているのでしょうかね
石原さとみは熱演だが……
ユナイテッドシネマ浦和にて鑑賞。
【以下、個人的な感想なので、本作を大好きな方はスルーしてください】
8歳の娘の失踪事件に奔走する母親を石原さとみが熱演。その夫を青木崇高。この事件を報道するテレビ局員に中村倫也を配して描かれた「娘探しのドラマ」。
本作の見どころは、やはり、石原さとみの感情爆発するような演技。
いままでの石原さとみが殻を破ったような姿は、今後本格的女優になっていくような予感を感じる。
娘失踪事件を描いた物語で様々な人たちが絡んでいるドラマはそれなりに見応えはあるものの、如何せん終わり方が悪くてモヤモヤしまくる。
具体的には記載しないが、これでは気分良く映画館を出ていくことは出来ず、石原さとみの熱演が空回りしたような残念な作品だった。
<映倫No.124123>
行方不明者1000人
見終わって、日本の行方不明の子どもの数を調べてしまった。1000人以上いるらしい。
私はアイドルオタクをしているのですが、オタクってよくアイドルの幼少期の写真を載せて「こんな可愛いのによく誘拐されなかったねw」って言うんです。私このノリが昔から苦手で。この映画を見て自分の感性は正しかったんだと思いました。
この映画の主人公のように未だに自分の子供が見つからなくて苦しんでる人が何人もいるんですよね。
正直、行方不明のニュースを見て親の管理が甘かったのではと思うこともあります。だからと言ってそれを口に出したりインターネットで親を誹謗中傷するのは違いますよね。親が誰よりもそれを分かっていて自分を責めているんですから。
「空白」みたいに誰かが自分を責めすぎて命を落としてしまう場面があるのでは、とヒヤヒヤしながら見てました。こんな状況じゃ狂っても仕方ないですよね。娘が保護されたと連絡を受け、嘘だと分かった時の石原さとみの演技がもうめちゃくちゃ上手くて、怖かった。いたずらの電話ひとつで人をここまでさせてしまうなんて。
マスコミの在り方も考えさせられますね。切り取り方次第で何も罪のない人を悪く見せることができるって怖い。こういう映画を見てマスコミ避難してる人も結局忘れて、事件をエンタメ消費してしまうんだろうな。
重たさしかない。
この映画は、犯人探しのミステリーでも
サスペンスでもなくて
家族の物語……とも違う。
居なくなった娘を探す母親、の心が壊れたモンスターぶりと
報道の情報操作、数字の都合っていうのは
どう創られるか……を感じた。
知る権利、知らせる自由が相まって
報道の情報操作がされ、見させられてて
踊らせられて。
親目線でみれば、
やっぱり子供に何かあれば、
自分の中だけじゃ感情の処理は出来ない
かなぁ……
責任を押し付けられる、
怒りをぶつけられる、そんな存在を探しつつ、
やっぱり自分が一番悪い!って
堂々巡りしそう。
そういう意味では、石原さとみのモンスターぶりは納得できます。
それにしても、ずっと重たい。
画面すらも暗くて、どんよりしている。
救いがないからかな。
シネマサンシャイン沼津で見ろ!(関係者とか回し者ではないです)
石原さとみの演技が良いと聞いて見てみました
それ以外に事前情報ナシで見に来たんですが、舞台が地元だったとは…
それは映画が始まって速攻で分かりましたよ
特に地元の人には言っとくけど、この映画は是非ともシネマサンシャイン沼津で見ろ!
(関係者とか回し者ではないです)
事情が許すなら、天気の良い日、映画見る前に沼津駅北口のロータリーを20分くらいゆっくり散策してから見ろ!
実際、星一つ分くらい評価が違ってくるかも
事前情報遮断スタンスをこんなに後悔したのは初めて…
あんまり事前情報を遮断するのも考えものだ…と痛切に思いましたよ
(かたくなに事前情報から目を背けてきた地元民のコメントです)
ネタバレにならない程度に言っておくと、この映画は謎解きミステリー映画ではない。
ありがちな感動ポルノ映画でもない。
不幸せな事件が起きてしまった後の関係者たちの人間ドラマです。
人間の弱さとか強さとか、その分水嶺に立つ危うさを見せ付けてくれるドラマ作品です。
シン・ゴジラではあんなに浮いた演技をしていた石原さとみが、この映画では確かに良い!
この役がもしも中谷美紀とか菅野美穂とか二階堂ふみ、あるいは戸田恵梨香、もちろん安藤サクラとかだったら…とも思っちゃったけど、次の作品を期待させる出来でしたよ。もっともっと出来る子だよねって思っちゃう。まだまだ伸び代がありそうだって感じるんだよね。ホント次が楽しみ。もちろん本作もかなりかなり良い!無理やりネガティブな意見を言うなら、口野・内浦のあたりの沼津市民としてはまだちょっぴり垢抜け過ぎてるかな…と。
青木崇高の安定の演技も良い!とくに歩き方とか立ち姿のホンモノ感がちょっとシャレにならないくらいリアル。
美保純は静岡県の出身で、ホントに静岡のお母さんって感じで、ストーリーにもっと関わって欲しい役所だった
森優作もハマり役だと思う
なんか石原さとみの評判以上に良いものを見たって気がします
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