ミッシングのレビュー・感想・評価
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レンズ越しの世界
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情報を提示する上では、脚色が多少なりとも必要になるという点を前提にしても、ともすればそこに「出演する」人々と写し手たちは、批判の対象になりやすい。しかし半ば儀式的に見えた、御涙頂戴に映るシーンの向こう側に本来見る必要があるのは、カメラの無かった世界の風景だ
自由に報道され目に入るそれらにはもう、誰もが「無関係」でないのだから、「誹謗中傷」で関わるくらいならば、助けに行ったほうがいい。それでも一方で、常に意識を払い自らを犠牲にして、というのは現実的に難しい。
活動を続ける、家族とその周囲の頑張りは、流動していく世界の中では留まっているかのよう。
世間やマスコミが騒ぐことでこそ、救われる命がある中で、可能性に振り回され続けるには、しかし(現実の)時間は、あまりにも足りない。
両価的な(勝手な)批評は行き交う、それでも当事者たちの元だけで、輝く出来事はある。
私的好みでない吉田恵輔 監督の演出だからこそ、表現できた時代を切り裂く秀作
(完全ネタバレですので必ず鑑賞後にお読み下さい!)
私的はやはり吉田恵輔 監督の演出は好みではないなと、映画の終盤近くまで思って見ていました。
端的に言うと、娘を行方不明で失った若い夫婦を描いたこの映画『ミッシング』は、大きな柱をいわゆる”マスゴミ”とSNS上の常軌を逸した誹謗中傷の描写が占めていたと思われます。
ただ、吉田恵輔 監督の演出の仕方は、そこかしこで人間の悪意を肥大化させた描写になっていたと思われます。
表層極端に表れるSNSの誹謗中傷はともかく、テレビの報道スタッフもあそこまで悪意が肥大化した振る舞いをし続けるのはちょっと極端ではないか、との疑念は個人的には感じていました。
娘を行方不明で失った主人公・森下沙織里(石原さとみさん)の振る舞いも、多くの場面で人間の嫌な部分が肥大化され崩壊気味に描かれていたと思われます。
この人間の、悪意や嫌な部分を極端に描く吉田恵輔 監督の演出は、やはり好みが分かれるとは思われました。
人間には多面性があり、1人の中の良/悪をもう少しバランス良く描いた方が、広く普遍的にリアリティをもって受け入れられる作品になるのになと思われています。
ただしかしながら、仮にそのような1人の中の良/悪をもう少しバランス良く描く演出のやり方では、吉田恵輔 監督が監督をする必要は一方でなくなるでしょう。
また、吉田恵輔 監督の脚本演出でなければ、今回の時に狂気に満ちた石原さとみさんの卓越した演技もなかったと思われます。
そして、吉田恵輔 監督の脚本演出でなければ、ラスト辺りの、森下沙織里の夫の森下豊(青木崇高さん)が、同じ娘の行方不明の境遇を経験した母親に助けの声を掛けられた時、自分がいかに狂った世界にこれまでいたのかがあふれ出る自身の慟哭の涙で彼が気がついただろう場面の到達も、なかったと思われます。
ラスト2シーンの、主人公・森下沙織里の、部屋の中の光のシーンと、横断歩道のシーンは美しく、この映画のラストの到達は、吉田恵輔 監督の演出が好みでない私のような者にも僭越、2024年を代表する邦画作品の1つだと確信、思わされました。
これは非常に傑作でした!まず、それぞれのキャラクターの立たせ方が本...
娘がいる身でみると余計にきつい
石原さとみさんの演技を見に行ったのですが
今見たら,高いレビューが多いんですね💦
この役や監督に対しての石原さとみさんの情熱を事前に聞いたりしていたので、行かなきゃー!と、前のめりで行ってきました。
期待値が高すぎたのか、あまりいいとは思えませんでした。
個人的には、「アンナチュラル」の役の方が断然よかったです。
キリッとしている役の方が"合っている"と思います。
ステップアップしたかった、新しい自分を開拓したかった、というようなインタビューだったような気がするのですが、(いい・悪いは別として)石原さとみさんの殻はやぶれていないかな、というのが感想でした。
なんとなく、木村拓哉さんに似てるかなぁ,とふと思いました。多分、「殻を破りたい」と思った時点で、"私が"殻を破りたいと思っているから,自分主体だと難しいのかな、と思ったり。
個人的には、青木崇高さん、中村倫也さん、森優作さんの演技がとても響きました。
内容については、急に娘がいなくなった母親に、なかなか感情移入ができず、感想は思いつかないです、、、
最初に、「吉田監督の元でどうしても演技がしたくて。やっと実現しました」というコメントで興味をもった、というところからズレてますよね💦 すみません、、、
報道とは、こうあるべきだと思いました。
主演の石原さとみさんには、今まで、ネガティブなイメージが強かったので、鑑賞を躊躇っていましたが、
映画.COMでの評判が良かったので、観に行きました。
"藁(わら)をも、すがる被害者の気持ち"を、非常に良く表現した 石原さとみさんの熱演は素晴らしく、満点です。<主演賞>
石原さんの陰に隠れてしまったが、中村倫也さん演じる新聞記者の葛藤がとても良く作品中に、現れています。 <脚本賞>
2019年に道志村のキャンプ場で行方不明になった少女の事件がヒントになっているのでしょうが?
最後は、どう結ぶか ずっと想像しながら、映画を観ていましたが、"史実を元にした映画でない"だけに、そうなりますよね。
ノーフェクションでない映画の 利点を生かした真の報道映画作りでした。
鑑賞者の不安感をあおる為に、作品の90%以上を、ハンドカメラで撮影しているが、
ノンフィクションポイ作品に仕上たい演出だろうが、このような邪道な手法はせずに、
メリハリをつけてきちんと、三脚固定で撮影する王道な演出をするように、撮影監督と監督は話し合った方が良かったでしょう。
逆に、後半のカメラが引くカットが連続するシーンは、もっと最後の最後で良いと思う。 タイミングが悪い。
カメラ演出のちぐはぐさが、石原さんの高演技を援護するような作品の質を上げきれなかった。
石原さんの糞な演技と見比べる為に「シン・ゴジラ」と見比べると、この映画が いかに良いか容易に理解できるでしょう。
胸に迫りくるものが…
娘が行方不明になって2ヶ月後?くらいからの物語。
初期の捜査が一段落して、手がかりも情報も少なくなってきたころ、娘を見つけるために、何かしたい、何かしていないと、ギリギリで保っている精神すらも崩壊してしまいそうな日々…
ヒリヒリした感じがこの上なく伝わってきて、涙が止まらなかった。
どんな些細な情報にもすがって、娘を見つけるために必死の母親。追い詰められている母親を支えながら、できることを見極めながら動こうとする父親。
娘を見つけたいという2人の思いは同じなのに、向き合い方が違うだけで、こんなにもすれ違ってしまう…まさに「温度差」という言葉がぴったりで、同じ状況に陥った経験はもちろんないのだけど、リアルさが際立っていた。
ラスト近く、それまで、過度にのめり込むことなく、冷静な対応をとっていた父親が、感情を爆発させるシーン。
それまでは、母親のギリギリの精神状態が表立っていたけど、父親も、追い詰められてギリギリを保っていたんだな、と感じた。
壁に書かれた落書きの娘の頭をなでるシーン。悲しくて、切なくて、どうしようもなくて…。
事件としてはなに一つ進展がないけれど、それでも生きていかなければならない登場人物の心の変化をていねいに捉えた、良い映画だと思います。
登場人物それぞれの立場での苦しみがある
幸せだったころの回想と両親のビラ配りという対照的な場面からスタート。
石原さとみさんはこの役になりきってそれは心を削っただろうし、演技も素晴らしかった。
そして実際に我が子が行方不明になったりしたら自分も、夫婦関係や姉弟関係もこんなもんじゃ済まないんだろうなと思いながらも、どうしても最後まで映画に入り込めない自分が居た。
一番共感できたとすれば弟の圭吾。
行方不明になる直前まで自分と一緒に居て、一番責任を感じつつも、違法賭博に手を出してそこに居たことを隠したいために本当のことは言えないもどかしさ、辛さ。そこを取材で暴かれ、姉にバラされた時の気持ちはたまらなかったろう。
母親は母親で、ライブに行っていたときに行方不明になったという負い目があり、弟を責めることができなかったのが、事の真相を知り、一気に責め立てる。
それでも終わる直前に、姉弟で抱き合い、和解できたこと、あとは類似事件の女の子が無事だったことだけがこの映画の救い。
どうやって行方不明になったのかもわからず、結末もわからず、ただただ苦しい映画となってしまった。
TVマンの砂田を観ていて、映画「凶悪」の新聞記者藤井を思い出した。
相手に共感するあまり、相手に飲み込まれてはいけない。
取材するものはあくまでも対象に寄り添いながら冷静な第三者の目で取材をしなければいけない。そんなことを思った映画だった。
助かった女の子の母親から手伝わせてくださいと言われて、最後に父親が泣き崩れるシーンの印象が強く残り、悲しみと苦しみが増した気がした。
(´-`).。oO心を埋めるのは時間
救いが…
ミステリーのつもりで観に行ったら、事件は一切進展しないまま終わり、これから先もこの夫婦は自分を責めて、周囲に批判され、都合よく搾取されながらも、生涯子供を探し続けるのかと思うとあまりにも救いが無さすぎてツラい。
何の進展もなく何十年も行方不明のままの事件が実際にある以上、リアルな結末かも知れないけれど、フィクションの世界くらい何らかの形で決着つけて欲しかったなと。
石原さとみさんの演技が非常にリアルで、こちらも母親の心情に引き込まれて、本気でどうか子供が無事に見つかって欲しいと思うし、途中で保護されたって話が出た時は安堵で思わず涙が溢れたし、イタズラとわかった時の絶望感たるや…それだけ引き込まれたからこそ、本当に何らかの決着が欲しかった…。
この物語に希望を!
視聴者目線
自分という型を壊したいと懇願した母親役の石原さとみさん。強い口調、暴力的、イライラ感と
ヒステリー。感情を剥き出しにした熱演だった。
それを支える夫役の青木崇高さん。
奥さんに対しブレーキをかけ、チラシや家計の
やりくり。冷静に動き対応していく。
自分がもし、その立場になったらあのように
出来るのかと不安も感じた。
森優作さんの怪しいコミ障の演技は上手だった。映画内で引き立つ。
テレビ局が視聴者目線で製作しなければならない
局側と記者。嫌な部分もそれが視聴者側が興味を
持てば良いなんて……。
世間の無関心な人々がメディアにより
関心され色々な波紋と亀裂をお越し
人間を蝕んでいく。あんな誘導尋問を
強要される記者も製作人も尋問された方も
同じ人間なんだ。いびつなパズルだ。
極限迄追い詰められた人間の感情を
ギリギリまで出させる吉田監督はある意味凄いし
怖い。
終始重苦しい
吉田恵輔監督の映画は初めてでした。
身動きも出来ない位衝撃的な感銘を受けました。
石原さとみの演技は、見ているこちらの心まで壊れてしまいそうな凄まじさでした。
心が抉られるようでした。
石原さとみだけでなく他の俳優達も演技が素晴らしかったです。
中村倫也さんは目だけで訴えるような名演技、
弟役の森勇作の完璧な演技。
知的障害を疑わせる不審さから
悪いことをしていないのに上手く言葉に出来ず疑われて胸が痛かったです。
そして終盤の青木崇高(旦那)の、まるで暗闇の中に一筋の光を見たかのような嗚咽には魂が揺さぶられ、胸に突き刺さり涙が抑えられませんでした。
本当に重く辛い、苦しい気持ちになりました。
でも最高に素晴らしい大傑作だと思います。
考えることがたくさんありすぎる映画ともいえます。
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