「かなり辛い内容だが、一度観る価値はある。」ミッシング タブローさんの映画レビュー(感想・評価)
かなり辛い内容だが、一度観る価値はある。
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娘が突然行方不明になってしまった家族が精神的に衰弱していく様子をひたすら描いているので、鑑賞には体力と覚悟が要求される。
しかも、最後まで失踪した娘は見つからず、話にも救いは全くない。
この内容だけだったら、きっと二時間もたずに鑑賞を止めていたかもしれない。
それくらい観るのがしんどい映画。
しかし、夫婦の視点とは別にマスコミ側の視点が描かれていたことがこの鬱映画の良い緩和材になっている。
基本的に、マスコミは他人に起きた不幸を傍観している立場である。したがって、当事者の夫婦の視点から見る絶望的な世界からマスコミの傍観者としての世界へと視点が度々切り替わることにより、観客はこの悲劇が自分に起きた出来事ではないと感じることができるため、一時的に安心感を得られるのだ。二時間の上映を最後までしっかり観られたのは、この視点の切り替えによる精神的緩和が効いていると思った。(一種のシャーデンフロイデのような人の嫌な部分を感じさせもするが…)
シリアスな話ゆえに全体的に見ごたえがあり、観賞後に良い作品だったと思えるのである。
ただし、話が重すぎてもう一度観たいとはあまり思えなかったため星4以上は付けられないが、星3.5の佳作として十分評価できる映画。
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