「真実を面白がっているのは、誰?」ミッシング 機動戦士・チャングムさんの映画レビュー(感想・評価)
真実を面白がっているのは、誰?
たたかう君の唄を
たたかわない奴らが嗤うだろう
ファイト!
冷たい水の中を 震えながら遡ってゆけ
中島みゆき「ファイト!」
私達は、報道から何を求めようとしているのかな。有難いことに、このクニの憲法は、知る権利を保証しています。一方で、何が、起きたかを知るのに忙しくて、何故、起きたのかを知ろうとしない。報道機関も、消費者に合わせないと数字にならない。結果、深層も、真相も、藪の中。後は、時が忘却を暮れるのを待つだけ…。ヒトに寄り添う報道がしたければ、数字に寄り添うことが、大前提の世界と、私達はどう付き合う?。
私が映画を観ている間に、家族が行方不明になったら、世間はどんなコメントするのかしら。
私にとって一番大切なものは、世間にとって何番目に、大切なものなのかしら。
大切な人を、喪うかも知れない焦りと恐怖の前に、私達ができることって、何?。どうやって、たたかえば、いい?。自分にとって大切な思い出の品。捜査の役にも立たないと思っても、提供したくなる衝動を、嗤うことは簡単です。でも、それって…。
この映画は、あくまでもエンタメコンテンツです。ただ、このお話が、完全な作り話ではないことは、ニュースを見ていれば分かること。しかも、世界中、私の関心領域の外で、このような苦しみとたたかう方の数は、計り知れない。本作を通じて、世界中の痛みの、たった1つにでも、関心を持つことができるなら…。
例えそれが、指からこぼれ落ちる、儚い虹のような幻であっても、それを希望と思わせてほしい…。
少なくとも、たたかうヒトを嗤うヒトにだけは、ならないでほしい…。