「とにかく石原さとみだが青木崇高に泣く」ミッシング ONIさんの映画レビュー(感想・評価)
とにかく石原さとみだが青木崇高に泣く
よかった。面白かった。石原さとみの芝居が鼻につき過ぎたらどうしようと思ったけど、ギリギリうまく残った、みたいなことも含めて緊張感のある映画だった。冒頭口半開きの石原さとみの出足は悪くなかったが、いづれにせよ使う側のセンスに負うところは大きい。
同じ吉田恵輔監督の『空白』や春本監督の『由宇子の天秤』とか思い出しながら、だいたい悪意ある吉田恵輔の世界の割にはヒューマン寄りの作品でもあった。とにかく泣かせるのは青木崇高のロングショットの眼差し2発である。あんだけの悪意ある世界のラストでさもない配役から伝えられるソレによって、2時間の徒労の何かが報われる、そのリアクションの美しさ。
ああ、これは犯人はきっと…という決着の予想がついたところで、どちらかというとカサベテス『こわれゆく女』の系譜の映画なのだと理解した。なのでそのこわれっぷりのオーバーアクトは石原さとみからすればよくぞここまで、とは思いつつも、やっぱりこの題材この手法でいくと石原さとみの素の部分が人生を補完してくれない。その分が惜しい。極端な話、誘拐された女の子がやはりもう少し意味を持ってほしい。その意味で、面白くもある虎舞竜ネタの辺りでテーマ自体の空洞は見渡せた。
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