「責任感・報酬と恩義」コヴェナント 約束の救出 kenshuchuさんの映画レビュー(感想・評価)
責任感・報酬と恩義
予告編を見た印象では、アフガニスタン駐留米軍の将校と通訳による友情物語。でも実際に観てみると友情という感じは薄い。ジョンがアーメッドのためにアフガンに戻って救出しようとするのは基本的に自分を救ってくれたことに対する恩義だ。
実際にアーメッドがジョンを救うためにとった行動は相当に重労働で命の危険があった。自分の命だけを考えたらジョンを見捨てたとしても強く責められるものではない。でも最後までやりきったのには自分の任務に対する責任感や忠義心、タリバンへの憎悪などがあったんだと思う。でも思ってしまう。それだけであそこまでできるのかと。アメリカでのビザがもらえるという報酬が大きく影響していたと考えるのは邪推しすぎだろうか。いや、たとえそうだったとしてもアーメッドの行動は(アメリカにとって)称賛に値する。
友情物語がメインと思っていたが、結構シビアな戦闘シーンがあるのも驚く。銃やマシンガンで人が撃たれるシーンはなかなか衝撃的だった。そして最後に登場するハイテクでデカいアレも相当な存在感。一網打尽じゃないか。現代の戦争ってあんな感じなんだなと思い知らされる。
ガイ・リッチーによる戦争映画ってどうなんだろうと思っていたが、結構いい映画だった。ちゃんと人間ドラマになっていたし。ラストのジョンの表情がアーメッドを助けることができて喜ぶというより、これからは安心して眠れるという安堵感に見えてしまったのは、やはり自分がうがった観方になってたということなのかもしれない。
それにしても、結局タリバンが政権を掌握してしまうのだから、アメリカによるアフガン派兵ってどんな意味があったんだろうと改めて思ってしまう。中東への意識が低い日本で上映される意味は大きい。