「ユートピア」SAND LAND ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
ユートピア
鳥山先生の短編という情報以外は予告でしか得ておらず、原作は未読のまま鑑賞。斜めにいたクs…活発な学生が劇中よく喋るので非常に鬱陶しゅうございました。特典はイラストボード&カードでした。とても嬉しいです。
そんな映画以外の事は置いておいて、今作最高に楽しかったです。水が枯渇する国、サンドランドで水を見つけるために町の保安官ラオと悪魔の息子で王子のベルゼブブとそのお供のシーフが繰り広げる冒険活劇といった感じの作品でした。少年漫画の王道をゆくストーリーはとても分かりやすく、それでいてアニメーションの滑らかさも相まって常に楽しいオーラを纏って進んでいきました。
舐めてた爺さんが最強クラスの元軍人で、殺陣でも圧倒的な強さを見せつけてくれますし、砲撃の腕前はもう完璧も完璧で、破壊しない箇所を確実に狙い済まして撃ち抜き、上空に撃てない戦車の欠点をベルゼとシーフの力を借りて上空へと砲弾を誘ったりと、早い段階で共闘を見せてくれるのがとても良かったです。
登場人物は少なめですが、その分キャラを濃いものにしているので、全員の名前と性格が覚えやすくなっていました。意外な戦闘スキルを持つラオ、自称世界一のワルのベルゼブブ、ベルゼブブとお供で面倒くさがり屋のシーフ、正義感あふれるアル将軍、機械を体に纏うゼウ将軍、いかにも胡散臭い国王、やられ役の匂いがプンプンするスイマーズと、個性豊かな面々が顔を揃えていました。
ラオがシヴァと名乗っていた若い頃に命令とはいえ、自身の手で部族を壊滅させてしまっていたのを悔やんでおり、裏の意図を含めてその命令を下したのがゼウ将軍だったという事を知り復讐に向かうという、実は主人公はシヴァだったというのがまた意外でした。
物語の真相が明らかになってからも、物語がダレる事は全くなく、むしろシヴァが主人公になってからこそ物語のテーマが浮き彫りになっていきました。「偏見」というテーマを自然に盛り込んでいて、それに対して登場人物がどう対処するかというのを分かりやすく描いているのがとても好印象でした。ここを深掘りしすぎるとくどくなってしまうので、分かりやすさに焦点を絞ったのはナイス判断だったと思います。
悪魔たちと心を通わせていく描写が戦闘中含め自然なのも良くて、戦いの中でお互いの長所を知って協力していく、そして友情と絆が深まっていくという王道が突き刺さりました。シーフが文句を垂れつつも、全力で物事を運んでいく姿が印象的でした。
最終決戦も3人の協力プレイでケリをつけるというカッコいい締め方でしたし、資源を国民に戻すこともやってのけますし、正義感の強い人物に国を託したりと、シヴァかっこ良すぎるよ…と惚れ惚れする展開の嵐にゾクゾクしました。
アニメーションは3D多め、たまに2Dが入る感じのドラゴンボールの形式と似ていて、とても自然に動くので観ていてワクワクしますし、アクションシーンはダンスの如く激しく動き回りますし、蟲人間はじめ敵の造形もしっかりと仕上がっていて良かったです。
音響がとてもしっかりしていて、砲撃する際の音がとてもリアルでインパクトがあり、実際の戦闘を観ているかの如くの体験をする事ができました。
エンドロールでその後のハッピーな様子が映されていてとても良かったですし、imaseさんの「ユートピア」の童謡的なメロディと前へ進む歌詞がハマっていました。
勧善懲悪ものですが、悪役サイドもどうしようもない悪役なのでやられてもスッキリしますし、観終わった後の爽やかさはまさにサマームービーでした。戦いの後も交流を続けているシーンが映されて嬉しかったですし、これからも彼らの物語は続いていくと思うとワクワクさせられました。原作も読んでみようと思います。悪魔よりワルいことは許されない、これお決まりです。覚えておきましょう。
鑑賞日 8/18
鑑賞時間 15:25〜17:25(IMAXレーザー)
座席 M-11