「原作の良さを9割削った駄作」はたらく細胞 Yさんの映画レビュー(感想・評価)
原作の良さを9割削った駄作
絶望的に面白くなかった。
はたらく細胞はリアリティーと擬人化のバランスが非常に良く、コメディー要素を持たせながらも血液細胞たちの役割を学習できる作品である。一方で映画ではリアリティーをなくした上でしょうもないコメディーを追加し、必要のない人間ドラマを加えた駄作である。そもそも本来血球には意思など存在しないため、白血球達は抗原を見つけ次第殺そうと動き、死などは恐れないはずである。一方で映画では後ろ向きな発言を連発するなど意味がわからない。さらにがん細胞と邂逅した際に本来であればもっと積極的に殺そうとするはずであるが、作中では会話に呆けて逃がすだけにも飽き足らず、追いかけたり探したりする様子すらなかった。また、作中には樹状細胞やB細胞が登場しないため、液性免疫に関する話が1mmも存在しない。その上終盤まではマクロファージがただの伝令役のような描かれ方をされている。マクロファージは好中球と同様に一時免疫に関与する細胞であり、好中球と同様に戦い、ヘルパーT細胞へ抗原情報を伝令する。その過程が描かれておらず、本来伝令するために行う食作用も描かれていないため、二次応答の流れが分からないようになっている。また終盤に登場したスギ花粉も謎であり、スギ花粉自体が体内に悪さをすることは無いはずであるにもかかわらず、ただの敵のように描かれ、マスト細胞等の話が何も無い。意味が分からない。また、白血病に関する表現が酷く、医学部志望にもかかわらず、免疫に関する理解が低すぎる。従来のはたらく細胞であれば無知な赤血球に対して好中球が解説するという流れがあるにもかかわらず、作中では頭のいいはずの医学部志望学生が頭の悪い描かれ方をしている親に解説されるという意味不明な表現をされている。全体的にはたらく細胞原作の良さを9割削り、細菌ウイルス感染細胞を殺す様子をコメディーチックに描くという素晴らしさを無くしたクソ映画である。他にもレセプターの鳴るべき場所で反応していなかったことや骨髄移植後の体を再生する描写が1mmもなかったことなど酷いシーンは非常に多く、★1つも付けたくない出来でしたが、アクション要素に関しては素晴らしかったため、★1つとします。こんな映画を見るくらいであるなら原作やアニメを見てください。勉強にもなるし面白さもある素晴らしい作品であり、私の人生を左右した思い出深い作品です。