「親心が詰まった作品」はたらく細胞 movie mammaさんの映画レビュー(感想・評価)
親心が詰まった作品
阿部サダヲ、山本耕史、仲里依紗が、芦田愛菜ちゃん演じる女子高生ニコちゃんの身体を守るため、体外内で頑張っている。
子持ちの俳優は、ニコに対する親心はもちろんリアルに理解しているだろうし、それ以上に、この作品を通して、子供達がわかりやすく人体の仕組みや健康の大切さを理解する促しになるなら身体はります!ひと肌もふた肌も脱ぎます!という気持ちで奮闘しているのだろうなと伝わってくる。
作品からそんな気概が伝わり、決して若手ではない山本耕史と仲里依紗のアクションにグッと来てしまうし、作中の、細胞が産まれて成長して生まれ変わりのサイクルとも重なり、親心が詰まっていると感じた。
映画館も、親子ばかり。
殺害シーンや「ぶっ殺す」など良くない口癖はあるが、子に見せる理科の学習にちょうど良い。
芦田愛菜ちゃんが演じているから、不純なく全うに生きているニコちゃんに絶対に助かって欲しいと思うし、中で懸命に白血病に抗う、赤血球永野芽郁もナチュラルキラー細胞仲里依紗も白血球佐藤健もキラー細胞山本耕史もマクロファージ松本若菜もT細胞染谷翔太もみんなまるごと愛おしく思える。
抗がん剤がなかなか効かないのも、放射線治療でボロボロになるのも、話に聞くがわかりやすく映像にして貰うと、そういう事だったのか〜ととにかく癌にならないために笑って生活したいと思った。
悪役にあたる、白血病細胞の深瀬も、まさにセカイノオワリだし、彼のキャラもピッタリすぎる。
くしゃみに飛ばされる肺炎球菌片岡愛之助も、黄色ブドウ球菌小沢真珠も、ニコ父の体内の赤血球加藤諒も、埼玉と琵琶湖から愛を込めてそのまま体内に翔んできてしまったようだ。
DJKOOがアドレナリンを放出するのも、板垣李光人に孫六頑張れ!って思うのも楽しくて、2時間あっという間に楽しめた。
肝細胞深田恭子と、加藤清志郎くんは多分1番楽な役。
アクションを頑張る白血球佐藤健は、白塗りで片目しか見えないのにスケキヨや呪怨のような事故りビジュアルになっていなくて、初めて、整った顔立ちなんだなと感じた。
アリスの白の女王風でそれだけではないマクロファージを松本若菜なのが納得だった。
永野芽郁にはいつになったらシゴデキ役が来るのだろう。ポンコツ役かワガママ役ばかりでないか?もうかなりの芸歴なのに、年齢が若いからか、成長を期待される若手役ばかり。本当はもっと意志が強くて演技も上手いのが窺い知れるので、なんだか可哀想に思える。土屋太鳳状態で気の毒。
永野芽郁の脚の長さ細さが、か弱いひたむきな赤血球をうまく演出していて、その反面舞台挨拶で、実際には芦田愛菜ちゃんがかなり小さくて驚き。作中で違和感がないのは加藤清志郎くんも163cmだからかと、年齢差、身長差がちょうど良すぎる加藤芦田コンビはこれからも共演がありそうだなと思った。
永野芽郁佐藤健、阿部サダヲ芦田愛菜、阿部サダヲ仲里依紗、山本耕史仲里依紗など、過去の共演で関係性が既にある組み合わせを集めたキャスティングのため、共演者を信頼してのびのびと個々が演技し作品に活きている気がした。
阿部サダヲは恐怖の裏の顔系もあるけれど、大抵は情けない昭和おじさん役で、どの役でも共通のクネクネした歩き方を見せていたりするのに、毎作全然違う設定をリアルにこなす演技がすごい。
便意を堪えてなんとかお手洗いに間に合う役を、誇張せず、そのものの程度を表情で表現できるのは、阿部サダヲが世界一、唯一無二の存在な気がする。
芦田愛菜ちゃんが病魔を乗り切り、無事医学部入学!いやぁ未来ある若者が助かって、生きて夢が叶いそうで良かった!と思う一方で、突然の白血病治療費では何度も放射線治療、骨髄移植。その後の医学部学費。何千万もかかる支払いの重みが阿部サダヲにはのしかかるということよね?過労で倒れた時は目標1320万だったが、もっとかかるぞ。トラックで稼ぐのは肉体的に限界がある。でもお金や賄う苦労などなど何が伴っても、ニコの元気な笑顔が1番嬉しいだろう。
入学式に嬉しそうな阿部サダヲ、これぞ親心。
ニコも、きっと国立医学部なのだろう。鳶鷹親子。
阿部サダヲ芦田愛菜親子に泣かされる場面が何度もあった。