「50%」はたらく細胞 ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
50%
赤血球役としてエキストラ参加した思い出のある一本で、撮影自体が1年半前だったのもあって改めて映画作りの難しさを体感させてくれる一本でした。
白血球さんがぶっ殺す!ぶっ殺す!と言ってたのはこのシーンだったのか〜と撮影模様を思い出す光景もあって嬉しかったです。
原作の要素を失わず、映画の尺に合わせた1つのストーリーに仕上がっており、前半と後半で描くテーマが一貫しているのに違う深みと面白さを提供してくれて理想的な実写映画だったなと思いました。
前半はコミカルさが目立つ楽しい群像劇で、二胡のちょっとしたクシャミだったり瘡蓋だったりアドレナリンだったりを大きく描くことによってきて、普段の生活ではなんてことない事でも体の中ではこんな風になってるんだ〜とワクワクさせられっぱなしでした。
風邪の元になる病原菌の襲来だったり、一つのクシャミがとても大掛かりだったり、ミュージカルをし出してしまうほどの高揚感だったりと広い映像が楽しく映されてこちらも踊りたくなりました。
パパサイドの体は酒タバコカップ麺ととにかく美味いけど悪影響なものばかり摂取してるせいで体内環境がブラックになっているというのも原作のスピンオフをうまいこと落とし込んでいるなーと思いましたし、治安が悪いのも納得なくらいの荒み模様でしたし、うんこが出そうになった時の緊迫感の映像化として頷くしかないくらいドンピシャな映像であの日あの時のトイレ前を思い出しそうになったりととにかく説得力が凄かったです。
赤血球の仕事は酸素を運ぶ、白血球は通報し退治するなどなどそれぞれの役職がしっかりしていますし、授業で習うよりもより分かりやすく楽しくというのを全面的に押し出しているのもとても良かったです。
後半は二胡の白血病が判明し、手術だったり放射線治療によって細胞達が消滅してしまうという本編では描かれなかった人間側の症状と体の異常を交互に見せていく流れは予想していなかったもので一本取られました。
想像以上に細胞たちがやられていく様子が映されるのでグロとはいかずとも死の描写がされるのでビックリしましたが、こんな風に戦って自分の体を守ってくれているんだなと思いましたし、不摂生はやめておこうという気分にもしてくれるくらいの説得力のある映像に圧倒されっぱなしでした。
若干白血球さんとのくだりは冗長だなとは思いましたが、盛り上がりどころはたっぷりでしたし、それくらい乗り越えるためには犠牲が必要だというのも重く描き切っていたので感心しっぱなしでした。
最後に出てくるスギ花粉だけキャラクターが違いすぎて笑っちゃいましたし、生まれ変わった白血球と赤血球が同じ体での再会を誓って自分の仕事に戻るって流れも素敵でウルッときました。
予告から思っていましたがサトケン含めるろ剣っぽいアクションが意外性があって面白いな〜と思っていましたが、本編ではそのアクションが出オチにならずにしっかりとかっこよさに繋がっていたのがお見事でした。
壁蹴りアクション、剣戟アクション、ぶつかり合いだったり投げ飛ばしだったりと攻守共に力が入っていたのもあって見応え抜群でした。
股抜けだったり壁際の攻防だったりと素早い手数なのもあって激しさマシマシなのと共に人間の体の中で異常が起こった時にはこうやって細胞達が頑張ってくれているんだなと視覚的な体験ができたのも良かったです。
マクロファージ先生が大剣を振りかざしながら出てきた時の興奮はとんでもなかったです。マクロファージ先生単体でもっと観たかったと思うくらいです。
しっかりと一つの映画として完成していましたし、教育的な面でも本当にタメになる作品に仕上がっていたなと思いました。
力の入った実写映画、これは大ヒット期待です!
鑑賞日 12/13
鑑賞時間 14:45〜16:50
座席 B-