「不快感極まることで引き込まれる」ソフト/クワイエット コージィ日本犬さんの映画レビュー(感想・評価)
不快感極まることで引き込まれる
今年一番、胸糞の悪くなる不快感極まる作品でした。
それでいて、つまらないわけじゃない、というかむしろ引き込まれる、強いフィルムでした。
黒人清掃員への侮蔑の眼差しと、直接喋るのを厭い教え子にクレームを入れさせる、主人公である幼稚園教師のクソ女の描写から始まり。
鉤十字の模様の入ったパイでナチ思想にはまった白人至上主義者なのを見せつつ。
アーリア人以外全ての人種への差別的発言と行動はエスカレートする一方で、そりゃもう酷さ全開。
行き着くとこまで行くんですが、観ていると最初に恐怖を感じ、次に腹の底から湧く怒りに支配されました。
監督自身、アジア系アメリカ人の母と、ブラジル出身の父をもち、様々な差別を受けてきた人。
彼女には暴走する白人至上主義者は「どこかにいる危険な人」ではなく、「隣人としてそこにいる危険」。
その監督が今まで見て感じてきた「アメリカで起こった真実」を描くという視点で作られているので、こんなにリアリティ溢れる作品に仕上がっているのだなと。
難点は、音楽。
怖いことが起きるシーンにやたら怖さを誘導する曲を被せるので、予想が容易で身構えさせられ、意外性や驚きが半減する感じ。
この点はもったいなかった。
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