大地よ アイヌとして生きるのレビュー・感想・評価
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宇梶静江さんのドキュメンタリー
自然とともに生き、すべてを神として敬い尊重し、必要なだけ感謝とともに利用させてもらう。
日本古来の八百万の神よりもより自然と同化して過ごしてきた歴史や経験や受け止め方が伝わってきた。
和人に親和性のある生き方。
親しみが湧くけれども、違和感もある
俳優の宇梶剛士氏の母がアイヌの出自で、若い頃から啓発活動に取り組み、様々な文化賞を受け、評価されていることを初めて知った。よく知られている俳優の母であり、自分の母とも同年代であることから親しみをもった。近年の映画『アイヌモシリ』や、『バリバラ』「2.4時間テレビ」で描かれ、表明されていた若い世代の葛藤も深いことであろうが、殺生を伴うことについての違和感は、依然として拭えない。
幸にして
上映後監督と会話する機会があったので、
視聴後の感想を伝えることができたが
感想を記載し残すことで記憶にも残るので
書き残す。
まず、アイヌ。と言う括りについて
今は北海道に居住するある一定の儀式、衣服
文化形態を持つ人々のことを一括し
アイヌと言うが
これは人々の理解を固定概念化することには役立てど
彼らが訴える課題解決には到底繋がらない
所業であると思い至った。
また、映画内、後藤新平賞受賞後の感想となるが
静江さんが語る祈りとはまさに自治そのものである。と言う感想である◎
古来より人は祈りを通じて自らとの会話。
理解の先を深遠へと深めて来た。
が、しかして、祈る時が減り祈る機会が失われるごとに
様式を改変し自治うを忘れ忘れないように努力してきたのだろう。
それが、洋式の改変ではなく
解釈の改変で対応するようになった現代ため
静江さんが訴える、
新興宗教と政党へと依存する
時代を迎えてしまったのだろう。
と。
本作は大袈裟な演出やカット割りなどは皆無
基本的に淡々と自然の映像と語りが続くだけの映画だが、見応え十分の秀作である。
ウェンシサムにならないように
自分も義務教育時代に「日本には農耕民族しかいない」と教えられてきた人間なので、そうかこういうところから疎外(阻害)の芽が生まれるんだなといろいろと反省してしまった。
宇梶静江さんが語るアイヌ文化…と言うよりは、宇梶静江さんの半生を通して知るアイヌの歴史と立ち位置とその文化と言いますか。
ナレーションは宇梶剛士さんです。息子さんですね。お声が聞き取りやすい。
身近なアイヌ文化を知る題材としてはゴールデンカムイとかシュマリとかがありますが、今作は当事者であるご本人が語るお言葉とだけあり、幼少時代のイジメ(疎外/阻害)から国が彼らの土地を取り上げた過去まで、生々しく語られていました。
またアイヌの歌やイヨマンテの場面まで触れているので、資料としても非常に貴重です。
なんで3.5かと言えば、ちょっと見せ方が叙情的過ぎて…海と詩の場面はもうちっとまとめてもらっても良かった(と言うか105分は個人的には長かった)。
ウェンシサムにならないように、もっとアイヌの方々とその文化に触れていきたいです。
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