almost peopleのレビュー・感想・評価
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アレキシサイミア
「失感情症」と日本語では訳されるが「感情の変化を失った状態」ではないといわれていて、あくまで「感情を認知することの障害」との事 情報はネットで引っ張ってきた
今作がこの症状なのかは不明だが、4人兄弟がそれぞれ喜怒哀楽が欠けた性質故、巻き起こる問題を、兄弟それぞれが主役として四話で構成されたオムニバス形式である 冒頭とラストだけはレインボーブリッジ麓でのレストランで会食という仲睦まじさを醸し出すシーンである
オムニバスなので、四話それぞれは関連性がない そもそも監督が違うので、感情の欠落に拠りそれぞれの主人公が思い悩むという構図は共通している 正しいレビューならば、それぞれのストーリーに対しての感想を書くべきなのだが、残念ながら観賞後、日が空いてしまったので、粗筋も覚束ないのである なのでザックリとした総論しか述べられない
作風は2話だけ別物(石井岳龍監督)なので、どうしても派手なので注目してしまうのだが、他の三作も丁寧に落ち着いた印象である
単純に欠落した感情が直るという粗筋ではない "喜び"の表現が言語化できず、街中でボイスレコーダー片手に雑踏の中から喜んでいる市井の人をみつけては録音し、ヒントを探す長男は、中々脚本が書けず俳優と一緒に様々な実験を繰り返すが、結局は会心の答は得られない 秋葉原に消える兄はその後、言語化できるのだろうか・・・ "怒"が湧かない次女は、二人の男とハラスメントを起す会社の告発サイトを立ち上げ、成功に向けて頑張る しかし二人の男は共同事業という間柄から恋愛へと発展し喧嘩→どちらか選べと理不尽な対応を迫られる 嫌気が差した次女は社会とは逆ベクトルである昔のフラワーチルドレン的団体に顔を出すようになるのだが、そこでも暴力が起ってしまい、怒りの感情を爆発させる人間の世知辛さを感じるのだが、その心情の意味を考え続ける "楽"しい感情が表現出来ない次男は同棲中の彼女との微妙な間隔の中で、楽しいとされる行為をすることで少しでも理解したいと考える "哀"しさを抱けない末妹は、高校を中退し島暮らしを始め、担任の男教師から退学届けの提出を求められるが、父親の承認がないと実効されないので父親と対峙する その中でそもそも教師への思慕があった末妹は教師との結婚を望み、承諾される
ざっと、粗筋を書いてみたがそれぞれの結論がガッツリ抜け落ちていることが誰の目にも明らかだ 何一つカタルシスは描かれず、明快な解決策も見当たらない しかし、共通設定は、それぞれ欠落を自覚しているのである
理解出来ないから理解するよう努力する その行為、過程そのものが大事なのだというテーマなのではないだろうか? 末娘が子供を産み、ラストで他の兄弟に祝福される 赤ちゃんはメタファーであり、それぞれ兄弟達は『もうすぐ人間』に近づく為には否応なく他の人と交わる事を怠けないという決意をあの会合で約束しあったのかもしれない それぞれの近況報告などたわいのない会話の中身ではなく、お互いを知るという崇高な目的の為、兄弟は会うのである
「今日、お父さんの誕生日だから農協から五万円貰えるの」
見終わってからチラシを見て「感情のかけた4人のきょうだいの物語」と知って納得した。喜怒哀楽がそれぞれ欠けているのか。まるで、4つのお題の共通項は何?というクイズに答えられず、解答を聞いて膝をたたく、そんな気分だった。まあ、さきにそのくらいチェックしてから鑑賞せいよ、って話なんですが、なまじ先に情報を入れようとすると、要らぬネタバレを平気で伝えてくること(例えば妻が死ぬとか先に知ると、ああこの女死ぬからこのフラグかと冷める)があるので、なるべく予告を見た時の直感で観るかどうかを選ぶのだ。
と、前置きしておいてから言いますが、このオムニバス形式の連作、4人の監督の個性というか世界観が違いすぎて、カレーとサラダと果物と天ぷらあたりがワンプレートに乗せられて出てきた感があった。カレーとサラダと果物はなんとか分けられても、天ぷらはねえだろ、って違和感がね。
簡素に感想を。
1.ボイスレコーダー ←喜びの感情が欠けている長男。
そもそも、人の気持ちがわかりにくい時点で、ライターには不向きなんだろうけど、そんな奴の言葉はむしろ奇をてらうから、独特な発想になるともいえるか。案外、一番身近にいそうな「欠如人間」だった。そして家族にいたら一番いとおしい存在だと思った。
2.ヒューマロイド ←怒りの感情が欠けている長女。
一番、理解不能だった。SFチックな世界も、役者の演技の質も。もしかしたら、このパートがなかったら、映画全体の印象はもっとハートウォームな、いいものになっていただろう。
3.Still OK ←楽しい感情が欠けている次男。
木竜麻生の存在に救われているのは、観ているこちら側も。なんでこんな男を好きになったのか、早く見切っちゃえよ、としか思えない。でもこの子は、人の足りない部分ではなく、人よりも優っている部分をちゃんとみてあげているんだな。「対話ってお互いが分かり合えないって確認することなんだって。対話にできることは歩み寄ることだけなんだって。」ここまで言ってくれてるのにね。楽しい、は独りよがりではなく、共に。でも井之脇海はそこに気づくことができないんだろうな。
4.ハネムーンベイビー ←寂しい感情が欠けている次女。
後からそれを知っても、ちっとも共感はなかった。なぜなら、彼女の空虚感からはそれを感じていたから。だけど、この設定で丸々1話映画を作ってもいいんじゃないと思える魅力があった。それは次女役の子の存在感。一瞬でぱっと雰囲気を変えてくる。先生や父親の、この子に接する距離感もまたよかった。(一般的な常識というよりも映画の魅力としてだが。)ロケ地やバックのスライドギターも呑気な空気作りに一役買っていた。だけど、このタイトルはネタバレなんだけどね。エンドロールで初めて知るからいいのか。
そして、そのベイビーを囲むことで、4人のきょうだいに、それまでなかった感情が芽生えていくのだろうな。
企画書を読み直したほうが
喜怒哀楽の一つが欠けた人が主人公の話なんだよね。
欠けてるのは一つだけなんだよ。
第一話の長男は「喜び」が欠けてるけど、「怒り、哀しみ、楽しさ」は欠けてない設定のはずなの。でも「感情のない人」の描き方になってるの。
怒りや哀しみや楽しさはあるけど、喜びだけなかったらどうなるのか? という設定で話が進むはずなんだよね。そこがなかったの。
それで、職業・脚本家だから、喜びの表現が書けなくて、街中で喜びの声を探そうと頑張るっていう。
それもないね。喜びが書けなくて苦しむかも知れないけど、どうにか書くから脚本家になってるはず。
観てた印象は「横浜聡子なにやってんだよ」だったんだけど、脚本かなあ。
第二話、第三話も同じ問題を抱えてるの。木竜麻生は相変わらず良かったな。伊澤彩織だしてるから意味なくアクションやって欲しかった。
第四話は面白いんだよね。
寂しさが分からない次女の話なんだけど、その設定ほぼ使ってないの。でも面白いなら、その方がいいよね。
白田迪巴耶よかった。岩谷健司さんは若い女の人に言い寄られる役が多いね。そして似合う。
全体通じて退屈なんだけど、ユーロスペースはほぼ満席だったの。
この作品で満席にしてしまう我々はどうなんだと反省したけど、観ちゃうよね、企画は面白そうだったし。
歪んだ日常の延長で起こること。
4人のきょうだいがそれぞれ喜び・怒り・楽しさ・寂しさが欠けているという設定で、それぞれの生活に入り込んだ作品。
気になっていたので出張先で鑑賞。
4つのオムニバス形式になっていて、それぞれ撮ってる人が違うからテイストも全然違う。
なかでも2つ目は共感できない。というか、特撮もの!?と思いながら見るならそれなりだろう。
人を陥れるアプリ、あやしい宗教団体のような集団、アプリのヒロインが空中に現れる。それで何が伝えたいのがが分からない。最後の苦しんでいるのも何に苦しんでいるのかもよく分からないまま終わった印象だった。
他の3つがそれぞれに主張がはっきりしているし、それぞれの世界観も出ていたので共感できるできないはあるものの、単館映画系ノリで鑑賞できた。
ただ、寂しいからこそ相手を欲するあまりに結婚するという側面もあるのでは、と思うと寂しさが欠如しているから結婚とは違う気がした。
4人の父親はこんなやつなんだー、と分かったのも自分の中の落としどころとなった。
自認
2023年唯一の途中退出
2023年劇場鑑賞57本目 駄作 20点
申し訳ない、本当につまらなかった
普段当サイトのレビューは帰って落ち着いてからまとめますが、今作は取り急ぎ書いてます
オムニバスなので4つのショートストーリーが組み合わさっていますが、当方は1つ目はまぁ楽しめる所もあった
セリフと間の緩急とユーモアでクスッとなったけど、ストーリーと変な折り返しはあったので雰囲気でもっていった感じ
問題は2つ目で、これがまぁ〜〜〜〜酷い
音はでかいし演出下品だしセリフも棒読みだしセリフの言葉選びもダサい
まじで約40分間幾度となく途中退出前提で前屈みで荷物持っていまかいまかと席を立とうとしていましたが、井ノ脇くんと木竜ちゃんのストーリーが観たかったので、なんとか3つ目まで耐える
結論3つ目の冒頭5分くらいに退出しました 笑
空気を感じる会話とお二人に少し希望を抱きましたが、それより前の1時間長の怒りが奮い立って仕方なかったので、劇場を後にしました
ユーロスペースで上映終了後舞台挨拶もありましたが、お構いなしです
2023年は例年より劇場鑑賞が少なく9月末で約60本に留まっていますが、今年初の途中退出になりました
2つ目をどう捉えてどう評価するのかみなさんの投稿を楽しみにしてます
言葉で伝える感情、言葉で受け取る感情
4人兄妹がそれぞれの「欠けた感情」に困らされるエピソード4本からなる作品。
「感情が欠けている」というと極端な設定に聞こえるが、我々の感受性や共感力の強さにも個人差があり、相手の感情は可視化できず、言葉というワンクッションを置いてやりとりしている。皆そのややこしさが人間関係に良くも悪くも作用している日常を生きているわけで、4本の物語それぞれに共感できるポイントや想像を掻き立てられるポイントがあった。
4人が社会や他者との交わりを投げ出さないことや「感情が欠けている」ことを拒絶しない作り方が好印象だった。
極端になりそうな設定を日常の延長の物語に収めた工夫や、街を歩き回るシーンが共通している点、テイストの異なる4話をこの構成順にしたこと等、4話をオムニバスではなく1つの「almost people」の世界観に纏め上げようとする仕掛けが随所に感じられた。制作の裏話が気になる作品だった。
割と共感できます
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