「不寛容の時代だからこそ、対話が必要な大人に観てもらいたい作品です。」ぼくたちの哲学教室 知徳さんの映画レビュー(感想・評価)
不寛容の時代だからこそ、対話が必要な大人に観てもらいたい作品です。
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原題が”Young Plato”、つまり若き哲学者の葛藤のドキュメンタリーです。
カトリックとプロテスタントの血で血を争う北アイルランドの街、ベルファストが舞台で、この地で小学校校長を務めるケヴィン校長の子どもたちとの対話は、ソクラテスの「問答」そのものです。時に対立を繰り返しながら信頼を高めていこうとする子どもたちの姿が、今の私たち大人に求められているような気がしてなりません。
このような場面があります。従兄弟同士なのに殴り合いするディランを納得させたはずなのに、再び殴り合いが始まります。その理由は父親にやり返せと言われたことでした。いくら本人が暴力を否定しても、家庭の影響は計り知れません。そこで「何か聞かれたら、鵜呑みにせず聞き返せ。」と教え、ロールプレイでディランに父親役を演じさせます。ディラン役のケヴィン校長が「殴り返すとどんな気持ち?」と聞くと、「申し訳ない、悲しい気持ちかな」との父親の答え。そこでディラン役のケヴィン校長が「僕もそうなんだ。でも嫌いにならない?
」と聞くと、父親役のディランが「お前が一番の誇りだ」と言う。うーん、まさに対話のなせるわざです。
無知であることを自覚することがいかに大切か、物事に対して謙虚であること尊さ、知らないことを知らないでいることの罪深さを改めて実感します。
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