劇場公開日 2023年9月1日

「良くも悪くもアトラクションのファン向け」ホーンテッドマンション Spiさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 良くも悪くもアトラクションのファン向け

2025年10月27日
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鑑賞方法:TV地上波

楽しい

東京ディズニーランドにも存在する人気アトラクション「ホーンテッドマンション」の実写映画化作品。

20年以上前にも同タイトルで実写映画化はされたのだが、あちらの作品はホーンテッドマンションの名を借りたほぼオリジナルのコメディムービーといった内容で人気アトラクションの実写化を期待していた人達からは否定的な意見を集めてしまった。かく言う私も前作はコメディ映画としては別に悪くはないもののホーンテッドマンションの実写化に成功したかという点で言うとNOを突きつけたくなる内容に思えた。

そんな苦い思い出のあるホーンテッドマンションの二度目の映画化である本作はかなりチグハグな粗が目立っていた。
一応コメディ映画を意識してか頻繁にギャグを入れ込んで笑いを取ろうとするのだが小学生しか笑わないようなしょうもないギャグばかり。かと思うと話の本筋は家族を失った男が生きる意味を見付けたり、父親を失った少年が父の死を乗り越えて成長したりとしょうもないギャグで笑うような人向けの内容とは思えないシリアスな流れになっている。良く言えばターゲット層が広いということだろうが、本作はどちらかと言うと描きたいものが散らかってる印象。
正直言うと前作のほうがコメディ映画方面にきっちり向き合ってる分、映画単体の質は上のように感じる。

では今作は誰向けの映画なのかと言うとそこはハッキリとしていてパークアトラクションのホーンテッドマンションにライドしたことのあるファン向け作品になっている。前作はあまりにもアトラクションとの乖離が見られたが今作はお馴染みのキャラクターやシーン、音楽を詰め込んであり、もしもホーンテッドマンションのお屋敷が実際に存在したらという部分が丁寧に描かれている。
アトラクションを知っていれば嬉しいシーンが続くのでまさにアトラクションの実写化という点では前作の雪辱を果たすことが出来ているように感じた。

一方でファンサービスに注力するあまりアトラクションを知らない人には伝わらない要素が多いのもまた事実。ヒッチハイクをする三人のゴーストはアトラクションではかなり印象的な存在だが映画では人気だからというだけで無理やりねじ込んだように説明もなく現れて意味もなく去っていくし、伸びる部屋のシーンは部屋の絵画を知っていれば元ネタがわかるのだが映画しか知らない視聴者は流砂だのワニだのダイナマイトだのは雑な盛り上げ方にしか映らないだろう。

また、アトラクションの要素が色濃く出てくるのが映画後半からになってくるので前半は非常に退屈に感じた。それを危惧して前述のくだらないギャグを頻繁に放り込んだのだろうと思うが、それがまたB級感を感じさせて映画の質を落とす要因になっている。
結局アトラクションの人気に便乗した部分にしか力を入れておらず映画単体の内容としては残念と言わざるを得ない。

しかしながら近年のポリコレ等の思想まみればかりだったディズニー作品と比べると少しだけ以前のような純粋なワクワク感が戻ってきたように感じる。また以前のようにディズニー映画というだけで期待が上がるような純粋な作品づくりを取り戻していってほしいと願っています。

Spi