プチ・ニコラ パリがくれた幸せのレビュー・感想・評価
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フランスの国民的絵本シリーズ「プチ・ニコラ」が誕生するまでを描いた作品です。繊細な色彩の作品は絵がキレイで見ていて癒されます。
外国のアニメ作品はなるべく観ておきたい。
「プチ・ニコラ」の内容を良くは知らないのですが
水彩画テイストのポスターはお洒落。
予告編を観た感じも雰囲気があって良さそう。
観るしかないでしょ、というわけで鑑賞です。・_・;
◇
この作品は、ニコラ誕生のエピソードから始まります。
時代は1950年代の半ば。フランスは巴里。
絵を描く仕事の ジャン=ジャック・サンペ。
地方紙に描いた少年のキャラクターがお気に入り。
” このキャラクターが活躍するお話を作りたい ”
そう思ったものの、「自分には文才が無い」 …そうなのか。
ならば、「文章は他に書いてもらうしかない」 と
文筆業の友人に、作品の共同制作を打診する。
文章担当は ルネ・ゴシニ。
ジャン=ジャック・サンペより6つ年上だが、友人だ。
提案の内容を聞いて二つ返事でOK。
主人公の名前も決めた。「ニコラ」がいい。
作品のタイトルは「プチ・ニコラ」だ。 よしよし
ルネ・ゴシニは主人公のイメージ絵を持って自宅に戻り
物語の内容を考え始める。眼前にはタイプライター。
” 書き出しはこうか? ” いや ”こんな感じ? ”
考えるルネ・ゴシニの前に、小さなニコラが現れる。
言葉を交わす二人。ニコラはお話好きのようだ。
会話の中から、物語の冒頭のお話が浮かんできた。
” よし。これでどうだ ”
タイプライターを打つ手が軽快に動く。
タイプライターのバーが上下にはねる。
その動きに合わせ、ニコラもタイプ上を跳ねまわる。♪
とても楽しく、素敵なシーンです。
こうして生み出された「プチ・ニコラ」のお話と、
作者二人のエピソード紹介的な話とを交互に交える形で
お話は進んでいきます。
最初はニコラだけだった登場人物は
作者二人がお話の世界を膨らませ、増えていくのです。
ニコラの両親 … ニコラが大好きパパとママ。
ニコラの祖母 … ニコラを溺愛。なんでもあげちゃう
ニコラの隣人 … 女の子も欲しいよね。で登場。元気娘。
学校にも通います。ニコラは小学生。
ニコラの級友 … ケンカっ早い奴もいます
ニコラの級友 … いつもパンを食べてる奴も
ニコラの級友 … 輪から外れてマイペースな奴とかも 色々です
先生ももちろん登場。
指導係の先生 … 生徒を見守る厳しい先生。コミカルな面も。
担任の女先生 … 厳しさと優しさを持った若い先生。
家庭で、学校で、そして臨海学校で、と。
ニコラと仲間たちの世界はふくらんでいきます。
描かれるのは、ニコラたちの日常の生活です。
剣と魔法の世界は出てきませんが
普通の生活を丁寧に描いたお話が何とも言えず心地よい。
この作品を見ていて、心が癒される感じがしました。 はい。
観て良かった。満足です。
※ シリーズの一冊くらい購入してみようかと考え中です。
※ 読まなきゃアカン本がまた増えてしまううなぁ。…けど欲しい
◇余談気味です
” このシリーズの本にはこの人の絵でなけりゃ”
という定番の組み合わせ(文・挿画)がある気がします。
昭和まで遡ってしまうのですが
・高千穂遥と安彦良和
クラッシャージョウ、ダーティペア etc
・平井和正と生頼範義
ウルフガイ、幻魔大戦 etc
ず~っと遡って
・曲亭馬琴と葛飾北斎 (!)
なんていうベストセラーコンビもいたようで
( …古過ぎすね ・_・; )
意外と身近なところに、定番の組み合わせがありそうです。
何か他にありませんか?
◇最後に
子供の日常を描いた、絵本・小説・マンガは、
どこの国にもあるということが分かる作品でした。
子供のケンカはいいけれど、こういった日常が
大人のケンカ(戦争とか)で失われてはいけないなと、
しみじみ思います。
☆映画の感想は人さまざまかとは思いますが、このように感じた映画ファンもいるということで。
(オンライン試写会はネタバレがあってもなくても念のため伏せる扱い)
今年165本目(合計816本目/今月(2023年5月度)22本目)。
fanvoice さまのご厚意で少し早くオンライン試写会を見ることができました。
さて、こちらの作品ですが、今ではフランスの小学校、幼稚園などには広く置かれている定番の児童書であるようです。もちろん子供「だけ」が見て楽しめる作品ではなく、事実、日仏の相互の文化情報が一般的によく知られ、実際にモノのやり取り等がされていた時代においては、日本においては「最初は」大人向けの小説本という扱いであったようです(この点、終了後のミニトークショーより。なお、現在ではamazonなどで原作の翻訳といえる「当事者年齢層版」が当然買えます)。
ストーリーというストーリーを見出しにくい(成立にかかわった人は2人います。公式サイト参照のこと)ため、この当時のフランスの文化がどうであったのか、あるいは、作者が未来永劫読まれることになろうこうした児童書にどのような思いを込めて作ったのか、といった点が論点になってきます。くしくもこの当時、フランスはドイツによる第二次世界大戦の直前という状況でもあったので、それを示唆するような表現も出ます(ただし、具体的に撃ち合いになったり、人の思想を否定したり、特定の思想をおしつけたりといった部分は存在しない)。
※ 上記のような部分は「映画内では」その扱いですが、作品としての「プチ・二コラ」(フランス語版)ではその部分が入っているかは確認していません。
いろいろな見方ができる家がで、2人の登場人物が、今の現在、フランスはもちろん近隣国(主にフランス語圏)でよく読まれる「児童書」を生んだお話だという見方も可能だし、あるいは、「2人の登場人物」も、上記で描かれる「ナチスドイツのあらわれる影」という考え方ではある意味「追われる立場」であったのも事実であり、その観点から「自由な移動が事実上阻害されていた」というのも明確に言えます(ただ、フランス国内ではあまりうるさく言われなかった。占領すらされていないため)。このように「移動の自由(日本では憲法22の1、2)が若干阻害されているといえる、当事者の人生観」という見方でとるようにも可能だし、個々複数の解釈はできると思います。
結局のところ、日本でいえは小学生や児童の子に与える本というとムーミンであったりドラえもんであったりと、ある程度相場が決まっているようなところはありますが、それは当然各国変われば違うものになるわけであり、フランスにおいてはそれに相当するのが「二コラ」であり、それを生み出した2人の生き方、という論点になってくるのだろう、と思います(なお、こういう事情もあるので、2人のこうした「生き方」の障害となった部分についての説明は「一応」出ますが、「プチ・ニコラ」との会話でうまく深入りされないように配慮がされている)。
正規の公開日には、まぁ…。「児童書が好き」という方は珍しいと思いますが、自宅にリアル児童書を置いている方(つまり、子育て中、ということ)にはおすすめです。上記のような理由で、若干戦争に関する語等も出ますが、実際に撃ち合いがどうこうという話にならないので、児童の子でも理解はしやすいかと思います。
採点に関しては特に気になる点等ないのでフルスコアにしています。
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