「シャークの出てこないシャーク・パニック・サバイバル?」ブラック・デーモン 絶体絶命 bunmei21さんの映画レビュー(感想・評価)
シャークの出てこないシャーク・パニック・サバイバル?
『ブラック・デーモン』となかなかのタイトルのシャーク・ムービーで、恐ろしいメがロドンが登場し、次々と人々を襲う海洋パニック作品かと思い鑑賞。しかし、肝心の『ブラック・デーモン』と名付けられたシャークは殆ど姿を現さず、時々、黒い影が行ったり来たりする程度。この手の作品に期待したり、求めたりしたりするサバイバル・パニックとはかけ離れていて、映画.comの評価2.3も納得のB級、C級作品。
むしろ、地球環境に対して一石を投じるような内容で、海洋油田基地を舞台として、その杜撰な管理体制による海洋汚染や環境破壊への警鐘が主テーマとして置かれている。そんな環境破壊を起こしても見て見ぬふりをして、隠蔽工作に走る油田会社こそが、本当の『ブラック・デーモン』とも言えるのだろう。
家族旅行を兼ねて、メキシコの海洋油田基地の調査に訪れたポール。しかし、油田近くの街を訪ねると、街を挙げての開発油田のはずが廃墟と化し、活気を失っていた。ポールは、会社命令で油田調査に向かい、家族もその後を追って油田基地を訪れる。しかしその時、アスティカ文明に語り継がれる趙巨大ザメ『ブラック・デーモン』に襲われ、基地の多くの人々が、その餌食となったという事実を知る。油田基地の無線も壊され、ポール達は取り残される。
そこからは、巨大サメとのサバイバル・アクションかと思いきや、油田への時限爆弾が発覚し、それが管理体制の隠蔽工作を巡るサスペンスへと様変わり。『ブラック・デーモン』も肝心な姿をスクリーンに露になることも無かった。あれあれって感じで、クライマックスも、家族愛の王道を貫く形で、なんとなく、シャーク・パニックへの期待とは違う方向でエンド・ロールを迎え、消化不良の内容だった。