「面白かったがもう少し尺伸ばしてもいい」おまえの罪を自白しろ さじさんの映画レビュー(感想・評価)
面白かったがもう少し尺伸ばしてもいい
軋轢を抱えた家族と政治的駆け引きという大きくふたつのストーリーライン。原作小説からいくつか設定変更があるが、100分という映像作品に落とし込んで作品として成立させるには妥当な取捨選択・改変だったと感じた。原作の良さを壊すことなく1つの作品とするための工夫・取り組みなのだろうと感じた。欲を言えば政治的駆け引きの配分や描写をもう少し大きく取って欲しいとは感じたが、観客が若者が多いと見込まれることを考えると骨太サスペンス系作品の入口となるような作品だと思うので妥当な判断だとも思う。ただやはりもう少しキャストの演技合戦の場面なども観たかったし、原作のエグい駆け引きのシーンなどが割愛されていたのは少し残念だった。いい意味で説明しすぎないタイプの作品だと思うが、原作未読勢は初見での状況理解に時間がかかるだろうなと感じた。
腕利き・肉厚のキャストで固められており見ていて安心感があった。堤真一はやはり良い。演技巧者の新しい役柄を見れてそれだけでもこの映画は面白い。主演の俳優のキャスティングには正直意外性を感じていたが、芝居の空気を壊していなかったし、1人の若者の精神的成長譚をセリフ以外の仕草でも表現していて観ていて楽しかった。もう少しエグい感じの芝居も観てみたいなと思った。それも踏まえてもう少し尺伸ばしてもいい。
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