「抵抗感や違和感」はざまに生きる、春 てつさんの映画レビュー(感想・評価)
抵抗感や違和感
クリックして本文を読む
宮沢氷魚氏演じる透が発達障がいであることが前面に押し出されているが、当事者でないことに抵抗があるものの、雰囲気はあるし、ご本人も当事者や医療監修者に学びながら演技の努力を積み上げられた作品ではある。小西桜子氏演じる春は、同棲相手がいながら、あやうさを感じる透に惹かれていく展開にも抵抗感が募ったものの、制作した監督自身の体験がそのようなものであったのなら、それも自然なものなのかもしれない。平井亜門氏演じる俊介は、春に透の特集企画を勧めながら、自分からは透に積極的に関わろうとせず、変わった人だと言い放ったり、春の嫌がるはずの右側に居ても春は反応しなかったところや、葉丸あすか氏演じる瑞希は、当初発達障がいへの理解のある様子がなかったにもかかわらず、透に惹かれていく春に忠告をする姿に違和感があった。むしろ障がい者に保護的な視点の持ち主が、障がい者を恋愛で傷つけないように身を引いてほしい、という忠告もありがちかと思ったけれども、そうではなかった。女性の気を惹いては打ち捨てる男性像としては、『谷間の百合』や複数の映画版のある『コレクター』の問題ある登場人物にも似た性格も含まれるのかもしれないと思った。芦那すみれ氏演じる百合の役回りに、ちょっと驚きを感じた。
コメントする