「互いの好きなことを認め合う、ということ。」アナログ 猿田猿太郎さんの映画レビュー(感想・評価)
互いの好きなことを認め合う、ということ。
(ネタバレありということで最初から遠慮なく書きますが)例え半身不随になったとしても、自分のことを認めてくれること、それが一番大切な相手であるということ。結局は自分が一番大切ではあるのですが、それを認めてくれるだけで、自分の存在を守ってくれる。この映画はそういうことなのかと思いました。
しかも、この映画は多重構造になっていて、後から日記による答え合わせが待っている。しかも、自分の知らないところで自分の大事なところを知らないうちに認められていた、ということ。それを改めて知ることで、新たな感動が待っていた。
この映画、美男美女のステキな俳優さん達がステキな仕事をするステキ空間で、ステキなことを褒め合っているからこそステキな映画としてリリースされていますが(あ、別に皮肉を並べている訳じゃ無いですが)映画の主題はy=ax+bみたいな公式であって、つまり、「自分の好きを好きだと認め合う相手が大切」であって、別に舞台を変えても、つまり変数に違う値を代入しても成立すると思います。
例えば、オタクと腐女子とのネトゲでの恋だとか、それでリアルでオフ会で出逢って、本人同士はステキじゃ無いけど、それはそれでステキな恋になったりしないでしょうか(本人同士、身バレしてないのに相手が判ったりしたら面白いですよね)。あるいは、メタルのライブでモヒカン肩パットの世紀末デザインの衣装を着た二人が中指立てる恋愛とか、それはそれで楽しそうじゃないですか。
互いに欠点ばかり叩き合ってすれ違うだけで嫌悪するような日本だからこそ、まず自分の好きなことから見つめ直して交流することが、少子化対策の第一歩なのでは無いでしょうか。
あと、この映画の細かい演出で、物理的な二人の距離感で心の接近を表現しているのは判りやすくて上手いですね。あーあ、距離を置いちゃったね、とか。ハグにはこっちがドキッとさせられたなあ。やっぱりステキな俳優さんたちのステキな映画は良いですね。