「光と影」ジョーカー フォリ・ア・ドゥ Eijiさんの映画レビュー(感想・評価)
光と影
ホアキン・フェニックスとレディー・ガガの演技と歌唱はもちろんのことながら、場面一つひとつの隙のない美しさに魅了されました。
光と影がつくる映像が生み出す緊張感とその合間を埋めるあたたかな歌声とハーモニーが、アーサーの心の浮き沈みが落とした影のようでもありました(脱獄を試みたときに歌っていたのは、三谷幸喜さんの「THE有頂天ホテル」でYOUさんが熱唱した曲でした)。
自分を必要とする人に出会えたときの高揚感、それをきっかけとした盲目的な日々、相手が夢を捨てたように見えてしまったときの失望とその失望が生む絶望。
腐った社会のなかで、もがくように必死に生きる男女の出会いからその締めくくりまでをみせられました。
失意の中で起こるウソのような奇跡、それを機に疾走しながら目指すのは当然あの人と約束した場所。そこで待ち受けていたのは思っていたものではなく、また元の暗い影が落ちた生活に戻ることになる。影に操られながら生きているんだと自分を理解させながら過ごしていたときに不意に面会の人が訪れる(もしかしたら面会は作り話か?)。あの時、彼は誰の面会を想像していたんでしょうか。
最後にみせたホアキン・フェニックスの表情は言葉にならないくらい見事でした。
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サイモン64さんのコメント
2024年10月14日
確かにあのシーン、無かったですね。終盤の核となるべきシーンだったかと思います。何らかの理由があってストーリーを途中で変えられたのではないかと思います。