「前作は善人が狂人へ、本作は狂人が善人に。異なる物語」ジョーカー フォリ・ア・ドゥ ヤマッチさんの映画レビュー(感想・評価)
前作は善人が狂人へ、本作は狂人が善人に。異なる物語
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前作では育った環境や理不尽な扱いにより、心優しきアーサーが狂気と化して怒りと悲しみをジョーカーとなり爆発させます。彼の行為は多くの人から賛同され悪の教祖となりました。本作はその後となります。5人を殺害したアーサーは精神鑑定の為警察病院に収監され、裁判を待つ状態にいます。今のアーサーは狂人の面影はいっさいなく模範的に生活をしています。世間はジョーカーへの熱狂は続いており、病院内で出会う謎の女性リーもその一人です。
本作品は、怒りと悲しみからの行動は突発的なものかなのか、狂気によりジョーカーとなってしまったのかという展開となります。弁護士は二重人格を訴え、リーは狂気のジョーカーへと導いていきます。
前作とは異なる演出としてミュージカル要素を組み込んでいます。謎の女性リーをレディーガガが演じていることもあり抜群の歌唱力ではあります。リーの怪しさを演出するには効果がありますが、歌でアーサーの苦悩を見せてもあまり効果はないと思います。
愛されたいアーサーが突如愛された、その愛に応える為にジョーカーを演じることでより愛された。しかし、愛に目覚めたジョーカーでなくアーサーとして愛されたい。その行動は期待を裏切ることになっていることに彼は気が付かなった。冒頭のアニメ「俺と俺の影」の意味が理解できました。
本作は賛否が分かれています。これも前作に陶酔した鑑賞者としては、更なる狂気の振る舞いを求めていたがまったく異なる展開だったことへの不満にあると思います。
前作の続編ではあるもののまったく異なる切り口となった作品と考えれば、これはこれで評価できる作品と思います。
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